「で、アンタ、この手紙を知っているの?」
友里はオイラの顔に便箋を突き付けた。
飾りっ気のない事務用の便箋に、たったひと言 〈探さないで下さい〉 と記された手紙。
オイラの部屋に届けられたのと・・・。
「うん。
オイラも受け取った。
でもさ、少し違う」
「違うなら、横から口を挟まないでよ!」
「いやいや、文句は同じなんだ。
〈探さないで下さい〉」
「じゃ、どこが違うの?」
友里は怪訝そうにオイラを見た。
「字体だよ。
この部屋の物はゴシック体で、オイラの部屋に届いたのは明朝体」
初めのうちは同じだと思っていたが、よく見ると字体の違いに気付いた。
そして、もうひとつ。
「なるほどね。
すると、アンタは誰から受け取ったの?
山下?」
「知らない。
送り主の署名がないんだ、知る由もない」
「何よー、知る由もないだなんて、偉そうに」
友里の頬が膨らんだ。
「本当の事だもんよー」
「言い方ってものがあるでしょ」
「お楽しみのところ悪いですが、先進めてもらえませんか」
オイラと友里の会話に、鮎川が割り込んだ。
鮎川はオイラたちがじゃれ合っているように感じたらしく、低姿勢で遠慮している。
『探さないで下さい』→ 次話(17)