「行き先がわからないんだもの、家探しするほかないでしょ。
山下はどこへ行ったの?
教えなさい」
友里は胸の前で腕を組んだ。
「行き先なんて知らないよ。
―― おい、奴の身に何かあったのか?
突然の解雇で、呆然としていたが」
「解雇ねぇ―― 」
友里は眉を平らにすると、口の端を緩めた。
「違うのか?」
10年同じ屋根の下で暮らしたオイラには、彼女の表情が読める。
この表情は、オイラを小馬鹿にしている時のもの。
少々ムッとしたが、素直に問いかけてみた。
「山下と最後に会ったのはいつ?」
友里はオイラの質問に答えず、次の質問をしてきた。
「3日前の夜だ。
解雇されお先真っ暗だと、号泣してよ。
酒を付き合った」
「アンタの部屋で?」
「ああ」
オイラは友里の表情を窺った。
オイラを小馬鹿にする以外、何も読めない。
4年のブランクがそうさせるのか、それともオイラには端から友里の顔色を読む能力を持ち得ていないのか。
どちらにせよ、オイラの完敗。
『探さないで下さい』→ 次話(14)