レントゲン室に向かう頃には12時をまわっていました。


暗い廊下で1人待ちました。



どうして息子がこんな事になってしまったのか、どうしてケガをしたのが息子だったのか、どうして息子が痛い思いをしなければいけないのか。。。



考え出すと辛くなり、1人になったとたんに涙が溢れました。



息子は中学に入り、ゲームをやめ、空手に一生懸命になっていました。

遠くまで高速で出稽古に行ったり、お兄さん先生に筋トレや体力作りや基本的な事から、組手のノウハウまで指導してもらい、頑張っていました。


来月大会も控えていました。


今までやってきた成果が見れるから楽しみだねーと、保護者や先生、お兄さん先生と息子、みんなで話していました。



それなのに、


なぜ、なぜ、なぜ



もしかして、これは夢?

レントゲン室から出てきたら、以外と大した事なかったねと言われて帰れるんじゃないか

などと考えてもいました。



レントゲン室があき、先生が『来て下さい、これが限界でした。やはり手術になります。出来るだけ早くしたいので、明日手術を押さえるつもりでいます。診察室で詳しい話をしましょう』と言われました。



普通にしている息子の腕を擦りながら、頑張ったね、と声をかけ診察室まで歩きました。

泣かずにこらえようとしましたが、声が震え泣いてしまいました。


息子は『泣いてるの?大丈夫だよ』と言いました。


診察室で手術の説明と明日の予定だけ聞き、外へ出ました。

息子は救急の部屋のベッドに連れていかれました。当然私も行けると思っていました。


ですが、コロナなので、もう会わせられないと言われました。


お財布も携帯もない、途中で喉がかわくかもしれないから、せめてペットボトルだけでも置かせてと頼みましたが、ダメでした。



『ごめんね、みんなコロナだからこうしているんだ、1人許せばみんなから批判が出る。息子さんは大丈夫!しっかりしてるから、何かあれば見に行くから』と言われました。



私は、せめてナースコールを側に置いてほしいとお願いしました。


胴着のまま、手首も曲がったまま、何も持たずに病院に泊まることになった息子。


私は身の引き裂かれる思いでした。


私より身長は高いけど、まだ中学1年生。

末っ子で可愛がってきた息子。


息子の姿が頭から離れず、心配と不安とぐちゃぐちゃな感情に押し潰され、泣きながら病院内を歩き帰路につきました。

時間は深夜2時半でした。

総合病院に着くと、救急車で運ばれた方優先でしばらく待たされました。


息子は痛みを堪えながらじっと待っていました。


ようやく看護師がやってきて、事情を聞かれました。

拳サポーターはこれから浮腫むので取るように言われ、気をつけながら取りました。


すると、腕が手首から変形していました。

私は驚きのあまり目をそらしてしまいました。


そして、レントゲンを取りに連れていかれました。


当日の夜勤は内科の先生でした。

レントゲンを見ると、ボキッと折れていました。

私は声をあげて、『折れてるじゃないですか!!治るんですか!ねぇ、ちゃんと元に戻るんですかー!!』と叫びました。

息子は静かに聞いていました。


内科の先生は『まぁ治りますよ。ただ、僕では専門外ですので、今から急遽整形の先生を呼びますので話して下さい』と言いました。



診察室から出ると、連れてきてくれた保護者と稽古をつけてくれているお兄さんが待っていました。

私は泣かずに、お医者さんについ叫んじゃったと笑って話しました。


2人は全部聞こえていたよと静かに答えました。


コロナのため、その後かけつけた旦那も含め外に出るように言われ、私は息子と待ちました。



しばらくして整形の先生が到着し、これからの流れを説明してくれました。



まず、部分麻酔をし、レントゲンを見ながら先生が力ずくで骨を元に戻すということでした。

それでうまく戻れば、そのまま数ヵ月安静にして完治。

ダメならボルトを入れる手術をするとのことでした。


先生は手術の可能性が高いけどやるだけやってみましょうと言いました。


そして、息子と二人でレントゲン室に向かいました。

2021.9.16   21:00頃


息子は試合形式の練習で、高校生のお兄ちゃん相手に突きを出そうとして飛び上がり、それを避けようと相手は蹴りで息子に転かし技をしてしまい、息子は空中を舞い右手から落ちたそうです。


私は迎えに行く途中で連絡をもらい、慌てて車を走らせました。


その時はまだこんなに大事になるとは誰も思ってなかったと思います。


救急車をまつ時間がもったいないと、保護者の皆さんが判断し、救急で病院に電話して、私と息子を乗せ運んでくれました。


息子の右手がどんな姿になっているか、拳サポーターを付けていたので、まだ誰もわかりませんでした。


これから、長い夜の私にとっては地獄の時間が始まりました。