●大菩薩嶺 曇りのち晴れ  温泉付

  山梨県 大菩薩嶺(2056m) 2009年8月9日(日)

 

 <参考コースタイム>

  甲斐大和駅→小屋平バス停→(50分)石丸峠→(30分)大菩薩峠→(30分)雷岩→(往復20分)→(30分)福ちゃん荘→(10分)上日川峠→(40分)仙石小屋→(25分)大菩薩峠登山口→(10分)大菩薩の湯

 参考歩行時間:4時間5分

 温泉:大菩薩の湯

*紅葉の大菩薩 (2012年10月

*石丸峠から牛ノ寝通りへのコース はこちら(2010年9月11日)
山   写真 温泉

「8月は、3000m級の山にテント持参で登ろう」という予定で、7月に雲取山に試し登山をしたのだが、これが予想以上にこたえたのと天候不順を理由に、あっさり計画を変更することにした。

日帰りで、しかも2000m級で涼しく、歩行時間の少ない山はどこだろうと考えて選んだのが、大菩薩嶺。

コースは、一般的な裂石経由では、結構な登りになるので、2年前に運行を始めた上日川峠行きのバスを利用する”手抜き”登山。裂石の登山口経由に比べて1時間半くらいのショートカットになる。

バスの発着所は、中央線甲斐大和駅。バス は4月~11月の土・日休日の運行とか(8/10~14日は平日も運行)。

乗客が13人乗れば満席になる小型バスだが、当日は臨時バスや貸切バスも出ているので、事前に問い合わせておくのも良い。

上日川峠へのバスは、高原道路のような景色の良い坂道を、ぐんぐん高度を稼いゆく。途中、信玄の隠し湯といわれる嵯峨塩(さがえん)温泉を通過。ひと気のない渓谷沿いのこの宿は、紅葉の時期に訪れてみたい鄙びた温泉地のようだ。

バスに40分ほど揺られて、終点の上日川峠の一つ前の小屋平バス停に9時に下車。小屋平バス停は、上日川峠から石丸峠に抜ける登山道の途中にあり、辺りは人家も施設も何もない。

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バス停は甲斐大和駅前          小屋平前のバス停

本日のコースは、石丸峠から大菩薩峠・雷岩を経て、上日川から裂石に下山する予定だが、残念ながらこのバス停の名は、ガイドブックや地図には記載されていない。時間的にいうと、上日川峠から30分ほど歩いたところにある。

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三角形底辺の真中に小屋平が(看板)

当日、臨時バスも含めてバス停に降り立ったのは、5組程度の登山客で、乗客のほとんどは上日川峠から直接大菩薩嶺を目指すのだろう。

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バス停を降りると、右側の道路わきに「石丸峠」と書かれた標識がある。身の丈ほど生い茂った笹に覆われた細道は、いきなりの急坂で息が切れてくる。

バス停の標高はおよそ1550mで、石丸峠は1900mほど。その差350mを50分ほどで詰めることになる。

唐松林と笹に覆われた薄くらい道で大汗をかいて、30分ほどすると鞍部に出てホッとひと息。途中、行く手の樹間から、富士山に似た山が見えたので一体なんの山だろうかと思っていたが、果たしてその山は富士山そのもの。あまりに間近に見えたので、地図を見るまで分からなかった。

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雲の上に富士山が見える
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さらに20分ほど歩くと、見晴らしの良い尾根に出て、本日の第一目標の石丸峠に着いた。
石丸峠は大菩薩への登山経路というよりも、小金沢山から大蔵高丸に抜ける縦走路に当たる。峠の下までバスが通ったために、この山深い縦走路の登山が楽になったはずだ。
ちなみに石丸峠の名前は、石摩羅(男根)峠だそうで、金精信仰に由来する。実はこの金精信仰と大菩薩の名前と関係があるという説がある。

戦国時代この辺りに金が採掘され、その鉱山師たちが祭っていたのが金精様と妙現菩薩。大菩薩の菩薩とは、国を守り幸福をもたらす北極星を神格化した「妙現菩薩」であるという。

もっとも大菩薩の由来には、このほかれっきとした説がある。

「甲斐国志」によると、その由来は、「新羅三郎、奥州を制するとき、・・・嶺上に達し、忽然として所在を失ふ。・・・義光が遥かに西眺して笛吹川を臨眺すれば、八りゅうの白旗、風にひるがえるを見る。すなわち神軍擁護の験なりとて、遥拝してして、お、八幡大菩薩と声に賛嘆す。これによりて、ついに嶺名となれりと云う」(深田久弥「日本百名山」より)。

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石丸峠は、小金沢山と大菩薩峠、そして、小菅に抜ける榧(かや)ノ尾山への3つの分岐点になる。

緑一色の小金沢山に伸びる尾根筋、真青な空、眩い白い夏雲、いま登ってきた道の向こうに碧い大菩薩湖が見渡せる。

ここで汗をぬぐって、久しぶりに見る夏らしい山の景色を堪能した。さすが2000mに近いせいもあって、草原を通り抜ける風が心地よい。
山   写真 温泉 大菩薩への道
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小金沢への稜線
石丸峠で小休止して、急坂を登り降りして30分後に大菩薩峠に着いた。実は大菩薩峠は、中学2年の秋に初めて登った山で、そのときは裂石から登って、富士見山荘のバンガローに宿泊した。
生まれて初めての山のせいもあって、かなりバテた記憶がある。

40数年経て変わったのは、その当時はなかった大菩薩湖の存在。人工湖ということもあって、正直目障りな存在ではある。山   写真 温泉 山   写真 温泉
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大菩薩嶺に向かう稜線
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大菩薩峠は、江戸時代、丹波から裂石に抜ける甲州裏街道(青梅街道)の要衝の地。その道も、丹波から裂石を通る「上峠」と、小菅から石丸峠を抜ける「下峠」の2つの峠があり、現在の大菩薩峠は明治13年に、この2つの峠が合流したところに定めたそうだ。上の峠道は、今でも丹波大菩薩道として登山客に利用されている。

ちなみに旧峠は、大菩薩峠の避難小屋がある賽の河原にあったという。

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山   写真 温泉

振り返ると、大菩薩特有の恐竜のような優美な曲線を描いた稜線が、雲に隠れる草原の端まで連なっている。

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西側の斜面がいっきに開けていて、雲の上に南アルプスの山々が連なっているのが見渡せる。
大菩薩峠から30分ほど稜線伝いに歩いて、ゴツゴツした岩肌の雷岩に着。大菩薩の山頂(2056m)は、この先10分ほど登った所にあるが、見晴らしが効かないので、ここで昼食を摂ることにした。時計を見るとまだ11時。登山口から2時間しか経っていないことになる。

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山   写真 温泉

雲の上に南アルプスの連山が見渡せる
昼食に30分ほど費やして、あとは唐松尾根伝いに福ちゃん荘を経て、裂石に下るだけ。本日は、裂石から歩いて10分ほどの所にある大菩薩の湯に浸かる予定。

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                         上日川峠のロッヂ長兵衛

上日川峠には60台分の駐車スペースがあり、本日はそこそこ埋まっている様子。結構マイカーを利用する登山客が多いようだ。

最近、下りは駆け降りるような速さになり、登山客を次々と追い抜いてゆく。下っているときは、さほど足に負担がかっていると思わないが、翌日から太ももやふくらはぎが腫れてくる。
 

廃墟になった千石小屋に着いたのは、山頂から1時間30分後の13時30分。ガイドブックの所要時間より1時間近く短縮したことになる。
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今は廃屋の千石小屋

千石小屋から道路わきの近道に入ると、大きな胡桃の木があるようで、地面一杯に、青々として沢山の胡桃の実が落ちている。

小さい頃、近所で良く胡桃の実を拾ったという相棒が、青い実を土に埋めて腐らせ、それを水につけて殻を取り出すという。

10個ほど拾って家で試すことにした。

千石小屋から裂石のバス停まで25分。そこでバスを待って大菩薩の湯に行こうと思ったのだが、本数が少ないので、温泉まで歩くことにした。

一体どのくらい歩けば良いのか気になったが、心配するまでもなく、10分ほどであっけなく大菩薩の湯に着いた。

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                      大菩薩の湯

大菩薩の湯 は、「大菩薩嶺の裾野に湧出した高アルカリ性泉で水素イオン濃度10・05が測定される極めてマイルドで貴重な名湯」という。

湯がツルツルして、まるで硫黄分が含まれているのかと思ったほど滑らか。世界的にも珍しいかなり高度なアルカリ性が原因らしい。

湯上りはもちろん生ビール。ここには珍しく大ジョッキ(950円)がある。

火照った身体に冷えたビールがことのほか美味い。

バスの時間の関係で、滞在時間が50分しかなかったが、入口にある土産物売り場で甲州産巨峰を購入。

大菩薩の湯から塩山行きのバスに乗って塩山駅へ。駅のホームで甲州の駅ならではのワインの・ワンカップを飲んでいると、突然の驟雨。


 

この駅のホームの端には、「日本最古の日の丸のあるまち」と彫られた珍しい石碑がある。塩山の雲峰寺に、「後令泉天皇から清和源氏源頼義へ下賜され、その後、甲斐武田氏の重宝となっている日本最古の日の丸の旗」があるのを記念したものらしい。

雲峰寺は、天平17(745)年に行基が開山したという。そういえば、むかし裂石の名前の由来は、行基が大きな岩の上に杖をついたために石が裂けたという話しを聞いたような気がするから、塩山は行基ゆかりの場所が沢山あるのだろう。


 

本日は、まだ時間は早いが、たまには陽があるうちに家に着くのも良い。ちなみに本日の山行歩数は23000歩なり。思ったより歩いた感じがする。

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石丸峠から牛寝ノ通りへのコースはこちら

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