●大菩薩 2012年10月21日(日) 快晴 温泉付き

 山梨県大月市 2,057m 日本百名山


 <参考コースタイム>

  JR甲斐大和駅→(バス40分)小屋平→(1時間10分)石丸峠→(25分)大菩薩峠→(45分)雷岩・山頂→(50分)福ちゃん荘→(15分)上日川峠→(バス40分)やまと天目山温泉→(バス15分)甲斐大和駅

 <参考歩行時間>3時間25分

 <参考歩数>15,000歩

 <立ち寄り温泉> やまと天目山温泉  

  参考ブログ→8月の大菩薩  
山   写真 温泉

大菩薩峠への登山ルートは、昔ながらの裂石経由の他に、マイカーかバスで上日川峠から入る道が使われるようになった。

バスで上日川峠に入るなら、JR甲斐大和駅から季節運行(時期によって土日のみ)のマイクロバス便がある。

8時10分の始発バスに乗るため、50~60人ほどの登山客が列を作ったので、臨時便が出たという。



われわれは次便の9時10分発のバスに乗る予定だが、30分くらい前からすでに30人以上の列。バスの発車間際、下り列車(9時3分着)が到着すると、駅頭にどっと人が溢れて、この便にも増発便が出た。



バスは途中、嵯峨塩(さがしお)温泉のバス停を通過。



実は、甲斐大和駅から大菩薩に向かうルートは、最近使われるようになったとばかり思っていたら、深田久弥の「日本百名山」を読み返してみると、大正12年5月に嵯峨塩ルートで大菩薩峠に登っているのを知った。今から約90年前の遥か昔だ。

それによると、「初鹿野(現在の甲斐大和駅)に下車し、嵯峨塩鉱泉から、雁ヶ腹摺・小金沢山を経て、大菩薩峠に達した」とある。

雁ヶ腹摺とは、”牛奥ノ雁ヶ腹摺”のことだろう。残念ながら、詳細なコースが書かれていないので、嵯峨塩鉱泉から雁ヶ腹摺へのルートは分らない。



初鹿野駅に未明に着き、大菩薩峠から裂石の雲峰寺に下った頃はすでに暗くなっていたというから、日帰りの強行軍だったようだ。



われわれが乗ったバスは、補助席を含めて満席状態。

多くの登山客が、上日川峠のひとつ前の「小屋平」バス停で下車すると思ったら、降り立ったのは、われわれ4名だけ。

恐らく皆、上日川峠から直接、大菩薩峠か大菩薩嶺を目指すのだろう。

小屋平に下車すると、石丸峠経て大菩薩峠に向かうことになる。このコースは、上日川峠ルートより30分以上時間がかかるが、途中の眺めが素晴らしい。

山   写真 温泉  小屋平バス停
山   写真 温泉

小屋平は三角形の底辺の真ん中
登山道入口で、上日川峠から登ってきた登山者に聞くと、前便で上日川峠まで行き、ここまで歩いて来て初めてバス亭があることを知ったという。

「知っていればここで下車したのに・・。30分以上ロスをした」と言っている。



登山道入口からはいきなりの急途だが、緑の笹原と黄金色のカラマツのコントラストが美しい。

山   写真 温泉  山   写真 温泉  
山   写真 温泉
30分ほど歩くと林道に出る。そこから視界が開けて、南アルプスの峰々が見渡せる。ほんのわずか冠雪した山は、駒ヶ岳か北岳か?

身近の山はすでに紅葉を始めて、見事な眺め。

サワサワと音を立てて、冷たい風が笹原を吹きぬけてくる。

山   写真 温泉  
山   写真 温泉
ほぼ真南の方角に見える、冠雪した富士山の眺めが圧巻。

このコースを選んだ理由の一つでもある。

500円札に描かれた富士山は、大菩薩連峰に連なる「雁ヶ腹摺」(牛ノ奥雁ヶ腹摺とは違う山)」から見た姿という。

われわれが見ている富士山(下の写真)は、ほんのわずか西寄りだが、ほぼ500円札の図柄といって良い。恐らくこのアングルの富士山の姿が最も美しいのだろう。

山   写真 温泉  

われわれが見た富士山
Series C 500 Yen Bank of Japan note - back.jpg
雁ヶ腹摺から望む富士山
徐々に高度を稼ぐと、カラマツ林の樹間から真っ青な秋空の面積が広がって目に眩しい。
山   写真 温泉
山   写真 温泉  

この山道の樹林は主に、カラマツ、ツガ、モミなどの針葉樹とブナ、シイ、ダケカンバの黄葉樹で、カエデやナナカマド類の紅葉する樹木は少ないようだ。

そのカラマツ林を抜けると、眺めの良い稜線に出て、再び富士山の雄姿が現われてきた。
山   写真 温泉
歩き始めてちょうど1時間して、熊笹に覆われた稜線に出た。見上げると不気味なほど色濃く染まった青空には、一片の雲すらない。

山   写真 温泉
再びブナの疎林をくぐり抜けると、凄まじいばかりに赤く染まった紅葉樹がある。

山   写真 温泉
山   写真 温泉  

この林を抜けると、牛ノ寝通りのなだらかな稜線が目に飛び込んで、本日の第一目的地、石丸峠がもう間近なことが分る。
山   写真 温泉  
山   写真 温泉  

山   写真 温泉

振り返ると人口湖の大菩薩湖、そのバックに南アルプスの山並が連なって、行く手も、振り返ってもこの景色を見あきることがない。山   写真 温泉  
山   写真 温泉  

草刈り機できれいに刈り込んだような、この笹原の女性的な姿は、大菩薩嶺からのダイナミックな景色と双璧をなす。

笹原に寝転がってうたた寝をするか、コーヒーを沸かしてのんびり昼食を摂りたくなってくる。

山   写真 温泉  

山   写真 温泉  

なだらかにタワンだところが石丸峠

ここでのんびり時間を費やしたいところだが、目指す大菩薩峠は、勾配のある笹原を30分登らなければならない。

山   写真 温泉
山   写真 温泉  坂の途中から振り返ると石丸峠の分岐がハッキリと分る
11時30分、スタートしてから1時間40分で大菩薩峠に着。

ここまでは、ほとんど登山客に出会わなかったが、さすがに峠は大混雑。
山   写真 温泉
大菩薩の山頂(雷岩)までは、まだ一時間ほど歩かなければならないが、時計を見るともう11時半なのでここで昼食。

バーナーで湯を沸かし、Yさん持参のドイツ土産のソーセージを温め、これまた相棒持参のワインで乾杯。
山   写真 温泉  山   写真 温泉  

 Yさんが持ってきた箸兼用のスプーンとフォークは面白いアイデア商品
峠で1時間10分も時間を費やしてしまったようだ。

峠からカヤトの尾根を登り、そこから賽の河原と呼ばれるガレ場に下って行く。
山   写真 温泉  

眼下に見えるのが、大菩薩峠と介山荘
山   写真 温泉  

大菩薩嶺に向かう稜線
山   写真 温泉  山   写真 温泉  
山   写真 温泉
深田久弥は、初めて大菩薩に登ってから十数年ぶりのある秋晴れの日に、再びこの山に登って、山頂付近の光景をこう描いている。


「その大衆はやがて峠から嶺にかけての、あたたかい陽を受けたカヤトのあちこちに群がっていた。花やかな女だけの一団もあれば、相思らしい二人組みもある。夜行の寝不足を補う昼寝をむさぼっているものもあれば、円陣を組んで合唱している組もある。底抜けに晴れ上がった秋天の下に、健康な青春謳歌の風景が展開されていた」。

この時代から恐らく半世紀を経た今、山ガールという呼び名は変わっても、山頂の風景はさほど変わらない。

山   写真 温泉

われわれはその日、嶺からカラマツ尾根を下り、福ちゃん荘を経て上日川峠に下って行った。



そこでちょうどタイミング良く、出発点の甲斐大和駅行きのバスがあったので、予定を変更して急きょそのバスに乗車。



途中、帰りを急ぐ女性組と分れて、男組は「やまと天目温泉」のバス停で下車。

恒例の湯上がりの一杯に溜飲を下げたのは、いうまでもない。
山   写真 温泉  

本日は帰路をかなり手抜きをしたせいで、山行歩数は15,000歩と少なめ。

しかしすこぶる秋の好天に恵まれて、マンゾク、満足の一日なり!

日帰り温泉:やまと天目山温泉

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