東京に戻ってからも、3人は…はなの事が忘れられなかった。
1週間が経っても、2週間が経っても…時間がどれだけ過ぎても、忘れる事はできなかった。
そして1ヶ月が経った今でも…。
「休憩入りまーすっ!!」
そんな時でも、仕事は待ってくれない。
はなの存在を知っているのは自分達だけなので、誰にも相談できなかった。
「……。」
「雄輔、どこ行くんだよ?」
「…ちょっとその辺、散歩してくる。」
ちょうど今、東京でも桜の見頃を迎えていた。
桜の花が満開で、木がピンク色に染まっている。
「……。」
上地は、小さな桜の木の前で立ち止まった。
あの大きな木とは比べものにならない、小さくて可愛らしい桜の木。
それでも、一生懸命咲いていた。
「…はな。」
桜の花を見つめながら、上地はポツリとはなの名前を呼んだ。
『どうした?今日は静かじゃな、雄輔。』
「!?」
聞き覚えのある声に驚いて下を向くと、そこには笑顔のはなが立っていた。
「はな?お前…なんでっ!?」
何が起こったのか理解できない…。
上地はとりあえず、つるのと野久保の2人を呼んだ。
駆けつけた2人も、そこにいたはなの存在に驚いていた。
「はなちゃん!?」
「え…なんでっ!?」
2人も状況がサッパリ分からず、目を白黒させていた。
『神様が…はなを人間にしてくれたんじゃ。』
100年以上生きたはなに、神様は褒美を与えた。
1つだけ、お前の願いを叶えてやろうと…。
《人間になりたい。》
今すぐにでも…はなはそう願った。
神様はその願いを叶え…そしてはなは、3人の前に現れたのだ。
「夏になったら海、連れてってやるからなっ♪」
「その前に、今度お花見しましょうよっ。」
「ぉ、いいねぇ~ww」
『相変わらず賑やかいのぉ…お前らはww』
3人が去ってから数日後、倒れてしまった桜の木は撤去された。
広場には1人の、白髪の老人が立っていた。
「長い間、お疲れさん…よく頑張ったなぁ。」
あの木が倒れた場所から、後日…小さな命が誕生した。
「あの時、わしはお前に命を救われた。だから次は、わしにお前を守らせてくれ…。」
学校建設の話は順調に進み、来年から作業に取り掛かるそうだ。
小さな芽は、広場の隅に移植され、そしていつか…綺麗な花を咲かすだろう。
サクラ咲クトキ…それは春。
桜は春を象徴する花。
春になると何かが終わり、そして何かが始まる。
悲しくて辛い、別れの季節…
でも、終りがあれば始まりもある。
辛くて泣いたその後に…その辛さの何十倍もの笑顔が、あなたを待っている。
春は別れと、出逢いの季節……。
「なぁ、写真撮らねぇ?」
『写真が好きじゃなぁ?3人は…ww』
「いいじゃん別にぃーっ。」
「この桜の木と一緒に撮りましょうよ♪」
「よぉーし…んじゃ、いくべ?みんな笑って~…♪」
春のそよ風に吹かれて、桜の花びらが風に舞う。
この日撮った写真には、4人の笑顔が写っていた…。
-終わり♪-