サクラ咲クトキ…《第11話》 | 雷♪のまとまりない日記♪

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3人が息を切らして辿り着いたのは…あの広場だった。

そこで彼等が目にしたのは…



「…うそだろ?」



満開の桜の木。


それはあの焼け焦げてしまった、はなの桜の木だった。



「なんで桜が…」



もう10年以上も咲いていなかった桜の花が、今満開に…綺麗に咲き誇っていた。

その存在を、誰かに主張するように。



「はなっ!!はなーっ!!」




『相変わらず騒がしいぞ…雄輔。』




木の陰から、はなが姿を現した。

いつもと同じ、薄いピンクのワンピース姿で。



「お前…今まで何してたんだよっ。心配したんだぞっ!?」


『少し…眠っておった。…すまん。』



風が吹く度に、桜の花びらが宙を舞った。




『最後に見てほしかった…この桜が咲く姿を。』


「…はな?」


『3人のおかげで…いろんな事を知れた。…こんな変な人間もいるんだという事も。』


「何…言ってんだよ?」


『嬉しかった…3人に出逢えて・・・・。』


「……。」


『今度生まれてくる時は…人間になりたい。人間になって…3人と本当の友達になりたい。』


「友達だろっ!?人間じゃなくても…そんなの関係ねぇじゃんッ!!」



上地が怒鳴ると、はなは笑った。

その目からは…涙が零れ落ちた。



『つる兄…直樹…雄輔。・・・・・ありがとう。』




3人の耳に、鈍い音が聞こえた。


木の幹に、大きな亀裂が入っていた。


音は次第に大きくなっていく・・・。



「嫌だ…はなっ!!」

「雄ちゃん離れないと…っ」

「雄輔、危ないぞ…ッ」



ロープを潜っていこうとする上地を、2人は必死で止めた。




『3人に出逢えて…本当によかった。』



音の間隔が徐々に短くなり…もう限界だった。



『また…いつか・・・・ッ』







バキ……ッ!!





大きな音と共に、はなの大きな大きな桜の木は…土埃をたてて地面に倒れた。





「嫌だぁぁぁーッ!!!!」




しばらくすると、土埃が治まり視界が良くなった。

3人の目の前には、花を満開に咲かせた桜の木が横たわっていた…。



「…嘘だよな?なぁ…はな。」


話しかけてみても、返事は…無い。


上地はゆっくりと桜の木に近づきながら、語り続けた。




「海…まだ見せてねぇよ?写真、いっぱい見せるって約束したのに…」


「雄ちゃん…」



「他にもまだ…お前の知らねぇ事、たくさんあんのに・・・・」


「雄輔…」




木の幹に触れると…ひんやりと冷たかった。

この木に初めて触れた時に感じられたぬくもりが、そこには全く無かった…。




「なぁ…なんか言えよ・・・・ッ」



広場は静まり返っている…。




「はなぁぁぁー…ッ!!!!」



上地の頬を、涙が流れていった…。











東京への帰り道、車の中は静かだった。

3人はずっと、下を向いたまま黙っていた。




はなと一緒に、4人で携帯で撮った写真。


そこに写っていたはずのはなの姿が…消えていた。

まるで存在しなかったかのように。



不自然なスペースを残して…写真には、3人の笑顔だけが写っていた…。





-つづく-