鳩山首相の外交デビュー。


テレビ各社は随分と好意的に伝えているように見えた。


しかし、中身は得意の「友愛」を連発して発言していたイメージしかない。


中国には東シナ海を「友愛の海にしよう」などと生ぬるいことを言っていた。


これでは、したたかな中国に東シナ海の資源を根こそぎ搾取されるばかりである。首相自慢の東アジア通貨構想も中国に実権を握られかねない。


米国に対しても、焦点の「インド洋給油問題」は一言も発しなかったそうだ。首相は「バラク、由紀夫と呼びあう仲になった」と喜んでいたが。


そして、最大の問題は、温暖化対策で25%削減を表明したことだ。


これは国内でも産業界を中心に反対が多く、未だ同意を得ていないことである。国民負担もどのくらいになるのか不明だ。


国内でも同意を得ていないことを国際的に公約するとはどういうことか。


マニフェストに書いているからといっても、国民は全ての政策に同意しているわけではない。


明らかに国際社会での知名度を向上させたいという売名行為である。


首相は理想ばかり先行していて、現実がわかっていないのではないか。


性善説で他国を信用してばかりいては、いずれ痛いしっぺ返しをくらいかねない。


私には「首相は筋金入りのおぼっちゃまだな」というイメージしか残らなかった。







亀井金融相が騒ぎ出したモラトリアム法案。


中小企業の借入金や個人の住宅ローン返済を3年程度猶予するというもの。


ただ目立ちたいだけのパフォーマンスにしては度が過ぎる。


真面目に言っているなら正気の沙汰ではない。


こんなことをすれば、金融機関はつぶれる。都銀など大手銀行はともかく、信用金庫や信用組合の融資は大部分が中小企業融資である。


日本の金融機能が滅茶苦茶になるであろう。


苦しくなる金融機関には公的資金を投入すると言うが、また税金を使うのか。財源などないであろう。


そもそも大臣の言う金融機関が貸し渋りしているという根拠は何か。


麻生政権は20兆円もの中小企業に対する政府保証枠で貸し渋り対策を行い、金融機関は中小企業融資を推進してきた。金融機関はノーリスクで儲けられるのだから、貸し渋りする理由などない。


政府保証枠は各県の信用保証協会で審査されている。政府の政策であるため、通常の銀行融資に比べかなり緩やかな基準で審査されている。


貸し渋りされていると言うような企業は、おそらくこの審査にも通らない、再建見込みのない企業である。そのような企業は救ってもまたいずれ行き詰る。


それに加え、モラトリアムを導入すれば、間違いなく貸し渋りが起こる。


儲からない先にお金を貸すようなお人好しな金融機関などないのは当たり前である。


3年程度猶予するという意味も不明である。


3年経てば返済できる保証がどこにあるのか。たとえ景気回復しても、中小企業の利益や個人の給料が上がる保証なんてない。


日本は資本主義国であり、貧しい者は形振りかまわず政府が救えばよいというわけではない。


このようにモラトリアムは、百害あって一理なしである。


間違った正義感をお持ちの目立ちたがり大臣には即刻退場してもらいたい。






官僚のやることは全て悪か。


マスコミは官僚は悪であると決め付け、政治家もそれに便乗する。


でも、あなたは官僚の生の意見を聞いたことがあるだろうか。


マスコミが用意したコメンテーターの話や雄弁な政治家の話をテレビで見ることはあっても、官僚の話を生で聞いたことはないのではないか。たまに彼らの話を聞くことがあっても、それは司会者やコメンテーターの反論が付いていたのではないか。


明治以来、日本は官僚制度によって発展したきたのは紛れもない事実であり、官僚制度を擁護する人間もいるはずなのに、その意見が全く報道されないのは、マスコミが報道規制しているからに相違ない。


脱官僚、官僚主導が全て悪と言うけれど、そもそも私は今までだって充分に政治主導だったと思う。各省大臣が省庁の最高責任者であり、官僚は大臣の了承がなければ何も出来なかったのだから。会社で言えば、大臣は社長であり、官僚は社員である。


もし、仮に官僚に操られていたとするならば、それは官僚が悪いのではなく、操られていた政治家が悪いのだろう。もっと言えば、そういう政治家を選んだ有権者も悪いということになる。


官僚は、常に政治家(与党)に従ってきたのである。例えば、農水省の事務次官が選挙前に民主党の政策を批判していたが、民主党政権後は従う意向を見せている。これは、「政治主導」の結果でも何でもない。官僚はただ自分の職責を全うしているだけである。


確かに、渡りの問題や社保庁の不祥事など官僚側にも正すべきところはあり、全面的に擁護するつもりはないが、行き過ぎた官僚バッシングは必ず日本の将来にとってマイナスになるであろう。官僚の士気が低下するだけでなく、官僚を志す優秀な若者がいなくなるからだ。


日本の最大の問題は、マスコミが世の中の善悪を判断するところにある。


つまり、今回の問題であれば、有権者が「官僚が悪か」を判断する前に、マスコミが「官僚は悪である」と決め付け、悪であることを示す情報ばかりを報道して、有権者を洗脳していく。


どんなによい政策であろうと、マスコミが悪と決め付ければ、悪いデータばかり報道するし、逆もしかりである。


そして、マスコミが政策の良し悪しを決める基準は、どのように報道すれば視聴率を取れるかであり、日本のためでは決してない。

本当の政治主導とは、「官僚の手から政治を取り戻す」のではなく、「マスコミの手から政治を取り戻す」ことなのである。