産経ニュース(5月26日)より。
『プロ野球の楽天-西武戦(Kスタ宮城)を昨年5月に観戦中、ファウルボールが右目に当たり、失明寸前になった男性が先月7日、楽天球団などを相手取り、約4400万円の損害賠償を求めて起こした訴訟が、球界に波紋を広げている。球団側が敗訴すれば、さまざまな影響が出るのは必至。球界関係者は訴訟の行方を注目している。
訴状によると、原告は宮城県に住む47歳の税理士。負傷による休業損害、後遺症で今後に失われると予想される利益などを求め、仙台地裁に訴えを起こした。楽天球団とKスタ宮城を所有する宮城県が「適切にファウルボール等から観客を守るネット等の安全装置を設置することを怠り、本件事故を発生させた」というのが主な主張だ。
Kスタ宮城の内野席前には、高さ3メートルから5メートル程度の防球ネットがある。これを越えた打球で男性は負傷した。楽天の米田純球団代表は「コメントは差し控えたい」と言葉を選ぶものの、困惑は隠せない。
他球団にとっても対岸の火事ではない。楽天は治療費など約40万円を負担したが、訴訟に発展した。ロッテの横山健一スタジアム部主査は「球場は危ない面もあると認識していただかないと、(すべての)席を網で覆うしかありません」と話す。
内野席前の防球ネットを4年前に撤去した横浜の球団幹部は「いまのところネットを張る話は出ていない。ファンの方が選手と接触しやすいようにしたのであり、逆の方向に行ってほしくない」とこちらも困惑顔だ。以前から横浜スタジアムは、グラブをもった係員を観客席に配置する安全対策をとっている。
訴訟を受け、防球ネットの高さや警備体制などを大幅に変更した例はないが、各球団とも打球への注意喚起は、場内放送や電光掲示板で以前から頻繁に行っている。神経を使っても、「打球によるけがは、どの球場でも年に数件はある」(セ球団幹部)という。
(中略)
訴訟の行方によっては、防球ネットの高さや警備体制の大幅見直しも起こり得る。警備会社に所属するベテラン担当者は「プロだけの問題ではない。もし楽天が敗訴したら、アマチュア野球も影響を受ける。高校野球や大学野球はお客さんを入れられなくなってしまうのではないか」と指摘した。
○試合観戦契約約款 プロ野球の観客席から暴力団などを排除し、安全な観戦の確保を目的に定められた。基本的に入場券の裏面に印刷されており、観戦者に適用される。
第13条(責任の不存在)には「主催者は、観客が被った以下の損害についての責任は負わないものとする」との項目がある。「ホームランボール、ファウルボール、その他試合又は練習行為に起因する損害」が該当し、「主催者が負担する損害賠償の範囲は、治療費等の直接損害に限定されるものとし、逸失利益その他の間接損害及び特別損害は含まれないものとする」と記している。』
こういう訴訟を見ると、日本もすっかり訴訟社会になってしまったなと思う。
訴えられた球団や県はいい迷惑だ。
こういう人間がいるから、世の中にいろんな規制が増えてくるのである。
その結果、経済活動は狭められ、窮屈な社会になっていくんだと思う。
物言う人間だけが得する世の中にしてはダメである。
裁判所には良識ある判決を求めたい。