駿河の国で寄り道(9)駿河七観音「徳願寺」 | れいんぼうの部屋

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釣りの記事をメインにしようと思っていましたが
釣り以外の記事の方が増えています。

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2022年4月から駿府周辺の旧東海道を撮りためた写真で振り返った。

 

前回まで「駿河七観音」を6寺訪ねた。

 

 

今回は「駿河七観音」の最後「徳願寺」を訪ねる。

 

「駿河七観音」は「静岡茶発祥の地」の「足久保」にある「法明寺」から物語が始まる。

718年(723年と書かれた資料もある)に聖武天皇が18歳の皇子だった頃、重病になった。

東国にある「楠の大木」を観音菩薩として刻み、これを7つの寺に安置し病気回復を祈願するようお告げがあった。

当時全国行脚の修行をしていた高僧の「行基」を駿河国へ向かわせ、法明寺境内の高さ50mを越えるクスノキの巨木から七体の観音菩薩像を彫った。

最初の1体を平澤寺に、他の6体を駿河国安倍郡の6つの寺(法明寺、増善寺、霊山寺、徳願寺、建穂寺、鉄舟寺)に安置し、王子の病気回復を祈願したところ皇子は快復した。

 

布袋山平沢寺  真言宗  駿河区 平沢
高福山法明寺  曹洞宗  葵区  足久保 (もと真言宗)
慈悲山増善寺  曹洞宗  葵区  慈悲尾 (もと真言宗 慈悲寺)

鷲峰山霊山寺  真言宗  清水区 大内

大窪山徳願寺  曹洞宗  駿河区 向敷地 (もと真言宗 大窪寺(だいあじ))
補陀落山鉄舟寺 臨済宗  清水区 村松  (もと駿河区根古屋の久能山にあった真言宗 久能寺)

瑞祥山建穂寺 (真言宗) 葵区  建穂


 

旧東海道から北へ1km。

駿河区の「向敷地」の山腹に「徳願寺」がある。

 

「徳願寺」は昨年の初夏に投稿した記事「駿河の国をwebで歩く(14)」でも少し触れたがもう一度振り返る。

 

 

「徳願寺」へ行くには、車では大きく迂回するが徒歩では麓から直登できる。

 

〇徳願寺参道入口

 

参道入口を50mほど登ると「山道パーク」と書かれている徒歩専用の山道になる。

 

〇徳願寺山道パーク

 

5分も登ると間もなく山門に出会う。

 

〇徳願寺参道

木に覆われて静寂の中にある。

 

〇徳願寺山門

寺の正面入口は少し回り込んだ所にある。
由緒書きがあったので読む。(概略)
本寺は福井県の慈眼寺

本尊は「行基」作の千手千眼観世音菩薩
創建  717 真言宗

創立  1457年 曹洞宗

開祖  1499年に「天叟祖寅大和尚」

開基  今川氏親の母「北川殿」

 

 

〇「大窪山 徳願寺」本堂

境内の歴史が書かれている看板を読む。(概略)
徳願寺山頂には掘切りを伴う曲輪状の山城の遺構がある。

山頂に祀ってあった千手観音を降ろして現在の寺がここに開かれた。

徳願寺の前身は、安倍7観音の一つ。

鎌倉初期の「久能寺大般若経」(静岡県文化財)の奥書に登場する「大窪寺(だいあじ)」という山岳仏教寺院だった。

現在の徳願寺は戦国時代に「今川氏親」の生母で北川殿(北条早雲の妹)が曹洞宗に改宗し今日に至る。

 

本堂脇の境内に書かれていたが「北川殿の墓」がある。

 

〇北川殿の墓

 

山門の脇には地蔵堂が建てられている。

 

〇地蔵堂

 

徳願寺から静岡市を一望できる。

 

〇ビューポイント

 

本堂脇の説明板にも書かれていたように静岡の市街地や富士山を遠望できることから古の遺構が多く見つかっている。

徳願寺山頂には山城の遺構があるなど鎌倉末期の南北朝時代ころから重要な場所だったらしい。


現在一本になっている写真の手前に見える流れは藁科川の流域で、安倍川はもう少し東側で別に流れていた。

堤防も今のように整備されていないので、決まった川越え場所とは限らない。

 

東海道が整備される以前の東西の交通は、いろいろなルートを通って人々は往来していた。

そのルートの一つが「徳願寺」のすぐそばを通っている「手児の呼坂」だった。

 

〇手児の呼坂

説明書きを読む。(概略)

我が国最古の東海道の大旅路だった東路は日本坂、手児の呼坂、舟山を経て駿河の国府に通じていた。
平安朝の頃に宇津ノ谷の山路が開けた後も江戸初期に東海道五三次の街道が整備されるまで重要な官道だった。
「東路の 手児の呼坂 越えがねて 山にかねむも 宿りはなしに」をはじめ万葉歌集が残され、紫式部、宗長など多くの歌が詠まれた東路の歴史と文学を秘めた峠路だった。

 

 

今回の「徳願寺」まで5回に分けて駿河七観音を巡った。

 

 

次回「駿河の国で寄り道(10)」ではこの「徳願寺」から最古の東海道をたどる。