2022年4月から駿府周辺の旧東海道を撮りためた写真で振り返った。
2月から旧東海道にこだわらずに「駿河の国で寄り道」として振り返っている。
折からの家康ブームに乗って
「駿府城公園」「浅間神社」「臨済寺」「瑞龍寺」を記事にした。
今回のテーマは「増善寺」「建穂寺」。
家康に関連した寺と言えば「臨済寺」「清見寺」が有名。
「清見寺」は東海道筋にあるので、「興津宿」の時に巡った。
ほかにも府中宿周辺に縁がある寺は多いが葵区慈悲尾にある「増善寺」もよく紹介されている。
静岡斎場の脇を抜けて沢を上ると「増善寺」がある。
<この寺の見所>
今川家古文書類〔静岡市指定文化財〕
紺紙金泥経〔鎌倉時代〕
今川氏親の墓、松平豊前守勝政〔初代城代の墓〕
安部七観音の霊場
駐車場脇に寺の謂れが書かれた看板が立てられているので読む。(概略)
増善寺は681年に開かれた真言宗の寺で、「慈悲寺」と呼ばれていた。
1500年駿河の国守の今川氏親の求めにより再興し、曹洞宗に改め、今川家官寺「増善寺」となった。
1526年、今川家中興の祖と呼ばれた今川氏親が亡くなると、この寺で盛大な葬儀が営まれた。
寺には、苔むした氏親公の墓とともに460年前に造られた等身大の木像が安置されている。
寺宝として、今川家古文書をはじめ、徳川家康寄進の天目茶碗・扇・硯などがある。
〇増善寺(慈悲山増善寺)本堂
〇山門
通常利用されていない山門。参道は苔むして荘厳な空気を感じることが出来る。
徳川家康公と増善寺のエピソード。(概略)
1560年まで今川家の人質となっていた家康(竹千代)は、当山にしばしば鷹狩のため遊びに来た。
等膳和尚はこの地は殺生禁断の聖地であることを竹千代に悟した。
竹千代の父、広忠の墓参りをしたい旨相談された等膳和尚は人質の身である竹千代を葛駕篭にいれ、背負い清水港より出航させた。
〇観音堂
安部七観音(駿河七観音)の霊場
観音堂の奥は墓地になっていて、一番上に「今川氏親の墓」がある。
〇今川氏親の墓
〇今川家霊廟と書かれている。
境内には寿桂尼の歌や今川を讃える歌碑が建てられている。
〇歌碑
碑文
戦国の華と栄えていくくに
誉れ妙なり
寿桂尼 大方
碑文
釈教の心を 今川氏親
いかかえむ四十あまりの年のをに
とかぬ所の法のまことを
〇高僧道昭法師の遺跡と彫られた石碑
安部城と今川の菩提寺についての説明書きがあったので読む。(概略)
寺の裏山に南北朝期の安倍城跡がある。
安倍城主狩野貞長との戦乱の末、今川氏は根拠地を駿府に移し、守護大名として、東海に君臨するようになった。
氏親は、度重なる内紛が起こる中、安倍城をひかえた自然の要塞の地「慈悲尾」に今川家の菩提寺として安息の地を求めた。
次は「増善寺」から「建穂寺」へ向かう。
「増善寺」のある慈悲尾から直線距離は南へ1km。
山を迂回するので約3km、途中「千代」「山崎」を通って「羽鳥」へ向かう。
羽鳥小学校辺りから山側に入ると「建穂」(たきょう)という町名。
建穂寺の創立は平安時代。
駿河七観音(安部七観音)の霊場でもある。
現在寺はなく、町内会で管理する観音堂の中に仏像が保存されている。
〇観音堂
説明看板を読む。(概略)
建穂寺(瑞祥山建穂寺)
建穂寺は、白鳳年間(654~669)に道昭法師によって開基された真言宗の古寺。
奈良時代に僧「行基」が聖武天皇の病気回復を願って彫った観世音菩薩を納めた寺。
今川氏の時代や江戸時代には、保護が厚く、徳川家康から480石の朱印を受けた。
明治政府による神仏分離の宗教政策などにより廃寺。
古くから建穂寺の舞として伝えられている稚児舞は家康の要請により浅間神社の廿日祭に奉納されている
小さなお堂には釣り合わない仁王(金剛力士)が立っている。
仁王のためのお堂のように見える。
昔の建穂寺は駿府を代表するほど栄えた寺だったそうだ。
お堂の隙間から中を覗いてみると様々な仏像が並んでいる。
〇堂の中は仏像が建ち並ぶ
〇様々な神仏
〇50体ほど鎮座している。
「観音堂」から500mほど東の山麓に「建穂神社」がある。
〇建穂神社
〇建穂神社拝殿
建穂神社に建穂寺の説明看板があったが、神社のいわれが書かれていない。
以前は建穂寺を中心とする神仏混淆の場だったが、明治の神仏分離や火災などのために廃寺となり神社となった。
神社は寺に付属していた施設だった。
〇建穂神社本殿
今回は「増善寺」「建穂寺」まで行ってみた。
次回「駿河の国で寄り道(6)」では駿河七観音霊場「法明寺」へ。
「駿河七観音」
高福山法明寺 曹洞宗 静岡市葵区足久保奥組
補陀落山鉄舟寺 臨済宗 静岡市清水区村松
鷲峰山霊山寺 真言宗 静岡市清水区清水大内
布袋山平沢寺 真言宗 静岡市駿河区平沢
大窪山徳願寺 曹洞宗 静岡市駿河区向敷地
慈悲山増善寺 曹洞宗 静岡市葵区慈悲尾
瑞祥山建穂寺 (真言宗) 静岡市葵区建穂
宗派は現在のもので、時代によって変わった寺もある。