ドラマです。6話です。
全6話×約50分。あっという間。
映画3本分。長いか(笑)。
日本では、8月27日にNetflixで公開となり、
いきなり話題にバンバンのぼるようになりまして。
頑張れば1日で観れるし…と、続々完走報告が。
…ということで私も追跡(?)しました。
D.P.とは、Deserter Persuit=脱走兵追跡を意味するそうです。
原作は、キム・ボトン著のWeb漫画「D.P 개의 날」
「개의 날」=犬の日。ドラマ原題もそのままです。
原題:D.P 개의 날
脚本: キム・ボトン / ハン・ジュンヒ
演出: ハン・ジュンヒ
俳優の誰々さんが兵役に、とか、BTSの入隊時期は?とか
耳にすることはあっても、2年の我慢…程度にしか考えなかった。
なんなら、男性が大人になる過程で、一度、『国』を真剣に考え
その一部に携わる事は良い機会なのでは、とも思ったりもした。
だけど、考えてみれば、一人ひとり男性というカテゴリーなだけで
能力も違うし、個性も違うし、今の時代でいうならLGBTとか
様々な事情もあるわけだし、みんな誰かの大事な息子や家族な
わけで、人生これからという真っ只中に2年も親元も友人からも
離れて、「軍」に身を置くんだもんなぁ…大変よね、ほんと。
この作品の冒頭、タイプライターでカツカツカツと打たれるのは
「大韓民国の男子は法の定めるところにより
兵役の義務を遂行しなければならない」
大韓民国兵役法 第3条。
Netflixはイントロが簡単にスキップできるんだけど、
飛ばすとこの文字の所に飛ぶの。毎回、これを見せられるの。
重い。
【あらすじ ストーリー】
子どもの頃から暴力を振るう父親に殴られないために修得した
ボクシングを得意とし、諦めにも近い無気力感と、母親や妹を
守りたいという本能的に身につけた正義感を併せ持った
アン・ジュノ/ジュンホ(チョン・ヘイン)は韓国陸軍憲兵隊に入隊。
二等兵として服務する中で軍脱担当官のパク・ボムグ
(キム・ソンギュン)に実直な性格と観察眼の鋭さを買われ
脱走兵を追う組織、軍務離脱逮捕組のD.P.(脱走兵追跡)に
スカウトされる。そしてハン・ホヨル(ク・ギョファン)とバディを組み、
様々な事情を抱えた脱走兵を追う。
※ジュノ表現とジュンホ表現がありますが発音の関係です。
第1話「花を持った男」
第2話「市場春夢」
第3話「その女」
第4話「モンティ・ホール問題」
第5話「軍用犬」
第6話「傍観者たち」
見応えある。見応えしかない。
社会の、軍の闇を切りこんでいくドラマ。
でも明るい解決は見えてこない。問題提起。
兵役という文化は日本にはないけれど、
「壮絶ないじめという名の殺人」は同じくある。
そして、傍観する人々も…。
【キャスト 出演者】
二等兵 アン・ジュノ/アン・ジュンホ: チョン・ヘイン
上等兵 ハン・ホヨル: ク・ギョファン
第103歩兵師団憲兵隊捜査課 脱走兵捜査官
パク・ボムグ中士: キム・ソンギュン
第103歩兵師団憲兵隊長補佐官
イム・ジソプ補佐官: ソン・ソック(友情出演)
D.P パク・ソンウ上等兵: コ・ギョンピョ(1話 特別出演)
第103歩兵師団憲兵隊 伍長 キム・イルソク: キム・ボム
第103歩兵師団憲兵隊 イ・ヒョサン一等兵: チュ・ジョンヒョク
第103歩兵師団憲兵隊 イ・ジョンス兵長: キム・フィギュ
第103歩兵師団憲兵隊捜査課 ホ・ギヨン 一等兵: パク・セジュン
憲兵隊の捜査官 ホン・ビョンテ: ウン・ジョンゴン
第103歩兵師団憲兵隊長 チョン・ヨンドク: ヒョン・ボンシク
アン・ジュノの父: クォン・ヘヒョ(特別出演)
アン・ジュノの母: パク・ミヒョン
アン・ジュノの妹 アン・スジン: イ・イェオン
ジュノのアルバイト先のピザ屋店主: イ・ジャンオン(特別出演)
練炭自殺を図る脱走兵 シン・ウソク: パク・ジョンウ(1話)
ウソクの姉: イ・ソル(1話・6話 特別出演)
脱走兵 チェ・ジュンモク: キム・ドンヨン(2話)
ジュンモクの母: オ・ミエ
ジュンモクの初恋の人 ヘジョン: キム・ソヒョン
サウナ社長: イ・ジュンオク(2話 特別出演)
首都防衛司令部第53歩兵師団からの脱走兵
ジョン・ヒョンミン: イ・ジュニョン(U-KISS)(3話 特別出演)
ヒョンミンの恋人 ムン・ヨンオク: ウォン・ジアン(3話)
ヒョンミンの父: イ・サンフン
ホ・チド兵長: チェ・ジョンヨン(4話)
チド兵長のおばあちゃん: 변중희
↓5話、6話
第103歩兵師団憲兵隊第3小隊 ファン・ジャンス兵長: シン・スンホ
第103歩兵師団憲兵隊兵長 リュ・イガン上等兵: ホン・ギョン
第103歩兵師団第3小隊 チョ・ソクポン一等兵: チョ・ヒョンチョル
チョ・ソクポンの友人で同伴入隊 一等兵キム・ルリ: ムン・サンフン
首都防衛司令部D.P.組長 キム・ギュ: べ・ボラム
首都防衛司令部脱走追跡官 テ・ソンゴン: ハン・オヨル
ペ刑事: ペ・ジェギ
ナ刑事: ナ・チョル
以下、個人的感想。ネタバレあり
・オープニングでは幼児時代、少年時代、思春期時代…と
人の成長を追っていて、最後は入隊式?の中にいる
アン・ジュノ(チョン・ヘイン)が、保護者のいる場所?を眺めている。
この見上げるジュノの顔が印象的なオープニング。
↑これね。この振り返り具合とか表情がね。
・暴力を振るう父親、仕送りしても父に渡してしまう母、逃げない母。
父から殴られないためにと、ボクシングを身につけるジュノ。
アルバイト先でも賃金踏み倒しされ、おつりをごまかしたと客に
言い寄られる。賃金代わりにバイクを貰い、売り飛ばして母に送金。
そのまま、翌日入隊へ。
先輩兵士から目を付けられ、嫌がらせをされる中、中佐のボムグから
面談に呼ばれる。途中離席したボムグの帰りをじっと待つジュノ。
忍耐強い…。
脱走した兵士に関するメモを見つけて、それに口をはさむジュノ。
花を買った記録→恋人の元?との推測に、ジュノは
脱走兵は本人確認証が使えないので、夜の街でホステスの花を
買ったりする仕事についているのでは?と意見する。その推察力を
かわれて入院中のDPの代わりを勤めることになる。
・ちなみに、ボムグ中佐は、応答せよシリーズの
キム・ソンギュンさん。今作品では、こんな笑顔は出てこない。
・1話の脱走兵は、ジュノが最初に手掛けた脱走兵。
先輩D.Pの口車に乗せられて飲みにでちゃって、
店の前でヘロヘロになっていたところ
ライターを貸してほしいと男に声をかけられる。
そのままライターをあげたら、それを使っての練炭自殺。
その男が脱走兵だった。飲みに行かず、捜索を始めていれば
助けられたのに。先輩D.Pを演じるのは特別出演枠の
コ・ギョンピョさん。感覚的にお隣の息子さん。
うちの息子?ボゴムくんに決まってるじゃないの(笑)。
意欲的に様々な個性的な役を受けている感じがして、良き良き。
先輩D.Pは区長らしくて、自分はギリ「兵役免除」されず
入隊したのに、友人らは外国籍持っていたり、医者に偽の診断書
書かせたり…という逃げた奴らだという場面がある。
不平等社会。
人が死に家族が号泣する中で、茶飯事顔の先輩DPに腹を立てて
殴りつけてしまうジュノ。
・パク・ボムグに面接のときに、自分の靴下の色は?と
突然聞かれるが、ジュノはボムグの背後にある鏡に映りこんだ
靴下を観て色を言い当てる。こういう視覚が広いというか、
感覚のするどい人いるよね。
・ク・ギョファンさん、すごく味のある笑いもとれる俳優さんだなー
お初かなー?と思ってたら、キングダムに出てたやん!
・頭の位置で壁に打たれた釘を背後にして、体をおされる。
後遺症を負う可能性もあるし、下手したら死ぬわけで
完全にいじめの域を超えてるよね。
除隊までの日数が物語進行の途中で何度も出てくるんだけど
「まだそんなに?(残ってるの?)」って、うんざりする。
それが、兵役についた人たちのそのままの気持かもしれない。
・2話からは、病院から退院してきた上等兵 ハン・ホヨルと
組むことに(脱走兵に刺されたことが原因で入院?)。
駅で飛び込み自殺を図りかけた脱走兵を追うことに。
初恋の人や深夜に目撃されたコンビニなど聞き込みを行う。
いびきが原因で「寝かさない」といういじめを受けていた兵士で
夜に活動が目立つことから、もしかしたら終着駅で目覚めてるのでは
と探し出し、終着駅にいるところを確保。電車に飛び込もうとしたの
ではなく、睡魔で倒れ込みかけていたのだった。
「睡眠」をさせないといういじめは酷い。
・3話。脱走兵を多く捕まえた褒美に休暇を与えられるジュノと
ホヨル。休みを楽しみかけた途端、他の首都防衛司令部D.P.から
の手助けのため、呼び出しを受けて休暇返上となってしまう。
女性からも金を巻き上げているクズな脱走兵の話。
ジュノは、首都防衛司令部D.P.から交際相手の調査を依頼されるが
脱走兵の実家を調査しにいく。案の定で家にいたが、けがを
負わされたあげく、逃げ切られてしまう。脱走兵は、ホストをやって
いて、交際相手に暴力をふるい金を貢がせていたことも判明。
ジュノにかつらをかぶせ(いつものヘイン君風)、この交際相手との
接触をし、いまだバイトで得たお金もこの男に貢いでいるのを知って
お金を貸してそれをエサに脱走兵を呼び出そうと試みる。
なんとか、ボクシング技術もあって、脱走兵は確保。
お金を取り返すが中身はすり替わっていて、女が持って行って
しまっていた。なので「その女」。
・4話。父が倒れたと聞き、病院に行くジュノ。他の患者もいる病室
のテレビを独占して、ボクシングの試合を大きな音量で見ていた。
このクソ父、私の名前はキム・サムスンの料理長です。
お久しぶりです。病院から戻ると、いつの間にか、ホヨルがジュノの
実家にお邪魔して家族と庭でバーベキュー中。ホヨルの社交性、
半端ないっす。あんなクソ父なのに、逃げない母親に絶望する
ジュノ。
・いびき暴行問題の件は、隊長から
「憲兵が人権を気にしたり、兵士の機嫌をとったりしては
軍の規律は守れない。これ以上、追求するな」と指示。
ほんと、あくどい。(もちろんフィクションですけど、こういう悪を
描けるエンタメ界であってほしい)
・4話の脱走兵は山道を長時間かけて脱走した模範兵士。
危険手当のでる訓練や、ギャンブルをしてお金をためていたという。
4話は祖母の痴ほう症、祖母宅の強制撤去問題で脱走するおばあちゃん子の兵士の話。この兵士の調査を始めると、彼は貧しい家の
育ちで、育ててくれた祖母は認知症。家も取り壊し寸前の状態
だった。優秀な成績で大学に入っていたが、バイトも掛け持ちし、
祖母が認知症になったタイミングで、中途退学して入隊していた。
祖母を療養施設にいれるため、お金が必要だった脱走兵。
入院費を溜めるまであと2か月、と聞いて、DPの二人は…
・4話あたりから、5話からメインとなる温厚で優しかった兵士
チョ・ソクポンが、新兵を殴って欲求不満を発散する姿が目撃される
ように。イジメの連鎖。ジュノも新兵を殴るよう、上から命令されたが
ホヨルの咄嗟の助けで免れる(ホヨルが別の場所にジュノを連れていき、殴ったように見せかける。ホヨル優しい)。連鎖。連鎖。
・心優しくアニメが好きな、元柔道選手だった兵士が脱走。
上等兵から酷いいじめを受けていてある日キレてやり返し、
半殺しにして脱走。軍は、憲兵の威信を失墜させるのではと
警察の協力を却下する。脱走兵は、いじめ加害者を殺すという
内容のマンガをwebに投稿していた。任期を終えて除隊した
加害者の家に行き、拉致するまで追い詰められた脱走兵。
軍は、特殊部隊まで出動する事態に。
軍の訓練で使用した防空壕へと逃げ込み、特殊部隊より先に
脱走兵を見つけるジュノとホヨルだったが、
「ずっと傍観者でいたのに、なぜ今になってここまでするのか」と
ホヨルに銃口を向ける。
特殊部隊に包囲された脱走兵は引きがねを引き、銃声が響き渡る。
もう、この加害側のファン・ジャンス兵長(シン・スンホ)がほんと、
クソなのよ。クソクソすいません。ほんと。もともとそういうアホな頭
だったのか、自分も上から暴力を受けた連鎖行動なのかはわからん
けど、あまりに酷い。それを受け続けた結果、心優しかった
チョ・ソクポン一等兵(チョ・ヒョンチョル)も心壊れちゃって…
血だらけで倒れ込む脱走兵…傍観者だった人間、その経験が
ある人の心をえぐる場面。
・ちなみに、この酷いいじめ(という名の立派な犯罪)を受ける
脱走兵は、「ホテルデルーナ~月明りの恋人~」で、のほほん
としていた主人公のルームメイトで御曹司のサンチェス役を
やっていた方。
・この事件で、ボムグ中佐は懲戒処分、大尉は転出命令。
ジュノは、一話で自殺を図った脱走兵の墓参りに行き、彼の
姉からも「なぜ傍観を?」と言われる。しんどいなぁ~。
マスコミは「軍生活に馴染めなかった鬱病兵士が起こした事件」と
片付ける。
軍に戻ったジュノは、行進で命令に従わずに反対に歩いていく…
・最終話、一旦エンディングまで流れた所で、同じくいじめを
受けていたと思われる兵士(5話のソクポンの友人)が、室内で
突如銃を乱射したとみられる場面で終わる。
・まだ生まれたて?ほやほやのドラマなので、本国のほうの
評判とか、日本ではどう見られていたのか、とかいった情報が
少ないんですけど、多分ね…多分、韓国としてはというか、国側は
こういったドラマはあまり歓迎したくない内容だと思うんですよね。
今、いじめは完全にないのか、というのもかなり難しいだろうし。
韓国では、この作品で「軍経験者へのPTSDを心配する」声が
あるとのことですし。なんでしょうね。日本でもだけれど、何を
どうしたら、「いじめ」という名の暴行や殺人が0件になるのか。
鬱々としてきますわ。ジュノも、もしや脱走してしまうのでしょうか。
でも、ジュノには逃げ切ったとして居場所がない気が。
・様々なwebなどを読んでいくと、
2014年に「漣川後任兵暴行致死事件」や
「江原道高城郡兵長銃乱射事件」といったことが立て続けに
起こったことにつなげる意見もありました。
軍の在り方や、軍ほど大げさなことではなくとも「傍観する者」に
ついて考える種になった作品です。
・この作品に出演している俳優さんたちも、基本的には
兵役経験またはこれから…なわけで。なんか…すごいな。
こんなに、明るく書きたい情報が書けない記憶メモも珍しい。
なんか全体的に呼吸ができてないみたいな文面になってしまった…
星は
★★★★★★★★★★
話数があり過ぎてたら、こうは評価していない気もします。はい。