韓国映画「82年生まれ、キム・ジヨン」 | ああいえBAR 旧館・支那竹銀座より

ああいえBAR 旧館・支那竹銀座より

「支那竹銀座」はラーメンズ小林賢太郎さんに名付けてもらいました。
負け犬というよりバカ犬。飼い主には従順素直。
悪そうなヤツや知らない人には、吠えたり噛み付いたり。
エサくれたら恩は忘れません。面白いエンタメを求めて日々彷徨っています。

書籍の話題性からか、

映画館も平日の昼間だというのに

ほぼ満員に近い入りでした。

 

新宿ピカデリー。

 

 

韓国では、2019年10月23日に公開されていましたが、

コロナの関係などで、日本の公開は延期されていて、

2020年10月9日、およそ一年遅れで公開されました。

 

監督: キム・ドヨン
脚本 : ユ・ヨンア
118分
原題: 82년생 김지영

 

【ストーリー・あらすじ】

結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。
常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような

感覚に陥ることがあった。そんな彼女を夫のデヒョンは心配するが、

本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻には受け止めない。
しかしデヒョンの悩みは深刻だった。妻は、最近まるで他人が

乗り移ったような言動をとり始めるようになる。
ある日は夫の実家で自身の母親になり文句を言う。

「正月くらいうちの娘のジヨンを私の元に帰してくださいよ」。
ある日はすでに亡くなっている夫と共通の友人になり、

夫にアドバイスをする。
「体が楽になっても気持ちが焦る時期よ。お疲れ様って言ってあげて」。
ある日は祖母になり母親に語りかける。

「ジヨンは大丈夫。お前が強い娘に育てただろう」
――その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、

デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず、
ひとり精神科医に相談に行く。

 

【キャスト】

キム・ジヨン: チョン・ユミ
チョン・デヒョン: コン・ユ

ジヨンの母 ミスク:  キム・ミギョン
ジヨンの父 ヨンス: イ・オル
ジヨンの姉 ウニョン: コン・ミンジョン
ジヨンの弟 ジソク: キム・ソンチョル
刑務所のルールブックのあの子だぁぁぁ
ジヨンの祖母: イェ・スジョン(特別出演)

ジヨンの娘 アヨン:リュ・アヨン / カン・ビョル

ジヨンの同僚 ヘス: イ・ボンリョン
チーム長 キム・ウンシル: パク・ソンヨン

デヒョンの母: キム・ミギョン
デヒョンの父: ソン・ソンチャン

高校時代のジヨン: パク・セヒョン
12歳のジヨン:キム・ハヨン

精神科医 チェ・ソヨン:キム・ジョンヨン
バスで助けてくれるスカーフの女性: ヨム・ヘラン(特別出演)

 

 

 

以下、ネタバレ含む感想です。

 

 

 

・私は未婚だし、多分生涯独身だろうし、子供もいないし、

私より若い世代のお話、共感するところはないだろうと思って

見に行きました。

ただ単に、旦那さん役が「コン・ユ」さんだというだけで、

観に行ったようなものです。

観終わって、なにか熱く思うものを得るほどだったかというと

そうではありませんが、共感はしました。

ああそうそう、そういえば、こんな女性差別は日常茶飯事あって

強く意識したことがなかったけど、考えてみればあれもこれも

酷い話だわ…っていった感じで。

この映画を見た女性で、ひとつも共感しないなんてことは、

ないんじゃないかな?

映画館を出た所で、少しご年配の女性たちが、

「ちょっと時代が古く感じた。これは一昔前の話よね」と

おっしゃっていたのが心に引っ掛かりました。

姑世代と思われるこの女性たちは、これらの差別や侮蔑をしない

いいお姑さんなのかもしれません。ここは東京だし、

今の時代にあった生活を送っていらっしゃるかもだし。

だけど、田舎に行ったらどうかな?と思いました。

私は先ほども言ったように結婚の経験がないまま人生を閉じそう

ですが、たった15年しか一緒にいなかったうちの母は、強烈に

夫の実家を責め立てていたし、ひどく傷ついたと言って毎回

夫婦喧嘩をしていました。そんな昔のことを思い出しました。

 

・私を韓国エンタメに嵌めた(笑)コン・ユさんと、ユン食堂という

バラエティ番組で可愛らしい姿を見せてくれていたユミさんで

夫婦役…そして、妻側のお母さんは、私の好きなキム・ミギョンさん。

いい!! 多少、生きづらくても、こんな家族がいたら、ジヨンになりたい!

専業主婦歓迎!!(笑) デヒョンのような旦那を急募!!!

 

・共感する気持ちはあるものの、納得のいかない点が。

決断力・実行力はないながらも、妻を思いやる気持ちはある

優しい夫(釜山出身)、産休明けでも自分の新しい会社での復職を

応援してくれる女の先輩、ものすごい良き理解者の実の母、

そして未婚の姉、女家族に鍛えられた優しい弟……

これだけでも十分すぎるし、恵まれたほうじゃないですか?

これがない女性はどう生きろというのでしょう?(笑)

 

・心の病を治すために一番必要なことは、患者が病院に来ること。

 

・ああいった心の病の症状に、亡くなった方を含む「憑依現象」

って、現実にありえるんだろうか?涙が止まらない、とか

ボーッとして何もしようとしない、とかはありがちだけど…。

 

・会議中の男性社員のなにげない一言が完全セクハラだったり、

子供を持つ母親に対する世間の冷たい目とか(これに関しては、

子供さえいれば何をやってもいいと思っている母親がいることも

事実で冷たい視線を浴びて当然の人も中にはいる)、一家で

男の子だけがもてはやされたり、正月や記念日なんかに

女は台所で手伝いを要求されるのに、男は座ったまま、とか

正月に実家に帰らないという提案を旦那がしたとしても、それを

することにより後々責められるのは嫁、とか、早朝に物音がしたら

気を遣って起きて義母を手伝うとか、危険な男性に追いまわされても

「短いスカートを履くから」とか「遅い時間まで出歩くから」とか

こっちのせいにされるとか、後継ぎとして息子ばかり贔屓されるとか

もう、本当、あるあるだらけ。
そしてなんで私は義母(姑)と嫁の関係をこんなに理解してるんだ?

 

・きっちりと仕事(教員)を持ち独り立ちした姉、自分がしてきた

苦労を娘たちがしないよう優しく見守る母、そしてジヨン。

そんな女強め系の家庭内で“育てられた”マンネのジソク

(キム・ソンチョル)は、女心を思いやれる素敵な男性になっていて

もう、婿選びは「女系家族に厳しく揉まれてきた男」一択なのでは?

とさえ思う。

 

・ユミちゃん、バラエティー番組でもマメに働ていた印象があるので

ジヨンが常に動き回ってせっせと家事をこなす様と重なって見えた。

 

・私はこの年になっても、夢は専業主婦なので(笑)

閉じ込められるとか、働きに出たいとかいう感情は芽生えないと

思うけど、世のなかには高い保育費だとか、シッター代を払って

それが給料のほとんどを消費したとしても、社会とつながっていたいと

願う女性が多いのは事実なのが、すごいなと思う未婚の私。

 

・独身既婚にかかわらず、女性なら「あるある」に膝をバンバン

叩きたくなると思うので、観に行ってみるのもいいと思う。

旦那が優しい人なら一緒に行くのがオススメ。

ちなみに私が観に行った日、席が満席すぎて隣席が取れなかった

と思われる男女。前後の列でバラバラに座ったんだけど、

男のほうが彼女に出来るだけそばにいたかったみたいで、

コロナ対策で本来空けなればいけなかった席に移動して観てました。

蹴り飛ばしてやろうかと思いました。以上でーす。

 

追記。

いろんな方の感想を見ると、やっぱり

「この主人公は恵まれている」という意見も結構ありました。

それと、男にはわからないんだろうな、という気持ち。あきらめ(笑)。

あと、少し時代錯誤じゃ…という意見も。
そこはやはり、田舎か都会かにもよるかな…。

あと、みんな映画館内のポスターの写真は撮るのね(笑)

この作品に関しては、ほかの方の感想を観るのもまた楽しい!!

 

総合☆の数は、

★★★★☆ (星4.1)