「ネギ、首に巻いたことあります?」
そう聞く、目の前の女性。
先週の金曜日に、彼女はインフルエンザに罹った。
私と8時間ほど仕事をしたあとにそれは判明した。
その休みからあけて、無事復活した今日の話題がネギだった。
彼女はちょうど一週間前の土曜から休養に入っていた。
私はうつらなかったの、大丈夫だったのか。
よくぞ聞いてくれました。
報せを受けた金曜の午後、私はビールを飲んでいた。
「マジか」と一人きりのカウンターで誰に云うでもなく言葉が出た。
誰かに「どうしましたか?」と聞いて欲しかったのかもしれない。
土曜日も出勤だったので、いつものように労働。
翌、日曜。
午前4時。目が覚めた。
普段なら仕事を始めている時間だ。
夜中の覚醒も珍しいことじゃないが、
その時は全身がバッキバキ。痛い。
背中も腕も足も肩も痛い。
リウマチにかかりたての頃を思い出す
全身の痛みに小さな悲鳴が出た。
が、慣れもあるんだろうが、私は痛みに強い。
思えば、体の熱さが違う。これは熱がある。
低いうなり声をあけながらも、体温計をとりに立ち上がる。
手にした体温計…驚くことに電池が切れている!!
なんで体温計は充電式ではないんだろう?
体温計ってあれじゃん?特殊な電池じゃん??
予備があるわけないのに、熱は突然やってくるじゃん?
「ねぇ、ねぇ。あなた起こして悪いけど、
体温計の電池が切れているみたいなの、買ってきて」
と、旦那に頼んでベッドに再び横……
いねぇ…いねぇよ、私には旦那なんて。
たとえ、40度の熱だとしても、確認手段としては
電池を購入、または体温計本体を購入してこなければ
熱の高さがわからない……
わかったところで日曜日だしやっている病院ある?それにインフルだとしたら徒歩圏内の病院がいいわよね?ってか私今日出勤なんですけど?代わりのいない出勤なんですけど?え?でもまだインフルだと決定したわけではないし、そう私は自己免疫不全の女…っていう椎名林檎の歌があってもよさげじゃないってか待ってまずは熱よ。どこの医療サービスに問うても、熱を聞かれるんだからまずは熱を測らないと立ち上がるのも痛いけど行ける?コンビニまで行ける?仕方ないのよあなたしかいないんだから…
と、
秒で考えて、自己保身のための完全防備と、
コンビニ店員さんを守るための武装とを整えて
真夜中の町をさまよったわよ…。
一人暮らしの悲しみ。
こんな状況でも歩ける痛みへの強み。
這ってでも、ってよく言うけど
こういう時に使うんだわね、ってな感じで
最寄りのコンビニで体温計を購入。
自宅ではかると、38度を超えてるー。うりゃあ。
でも日曜だし…インフルに罹った本人がこの苦しみの中で、
医師探したり、検査してもらったりしないといかんの?
と、明るんでいく空を観ながら、ぼーっとしてたのよ。
ぼーっとしちゃった。だって熱あるし。
もう一度、布団に潜り、手元のスマホで
「日曜 医者 インフル 検査」などで検索。
すると、電話でカウンセリングの後、往診も可能な
そんな医療サービスがあることを知る。便利な世の中だねぇ。
往診だなんて、優しいねぇ。
電話してみると、若い男性が応対してくれた。
ひとつひとつ症状を確認していく。
途中、確認作業のため一度電話をかけなおしてくれたりとかも
してくれて、「頼る人のいる」ありがたさを再認識。
で、結論。
「今朝から発熱っていうと、検査できるまで時間が必要だから
あと一日待ってみて」
ああ。土日休みのOLだと思ってるでしょ?違うの。
あと数時間後に出社するか否かを判断しなきゃならんの。
熱あるんだから休みでしょ、って?
発熱ぐらいで休める職場なら、こんな苦労してないのぉぉ…と
文句を言いかけたが、いったん頼れる綱をこちらから切った。
さて。私が休むといったら、誰が代打で出されるんだろうか。
まずそこだった。
今年一年、かなり体調が悪い時期もあったが
体調不良ぐらいで休めない職場になってた。
しかし、さすがにインフル疑惑という切り札を使えば
私の身の心配とかではなく、
職場の安全対策的に動いてくれるだろう。
…その日、久しぶりに体調不良で
お休みをいただくこととなった。
一年ぶりに体調の言うことを、
かなえられた記念の日となった。
結局、ただの風邪だったって話だったんだけど
ここで言いたいのは。
「体温計の電池は、こまめに確認」ってこと。
これほんと大事。
あそこが一番の苦境のピークだったから。