将棋指しの皆さんこんばんは。
イケミゲルハイネです。
※
将棋研究記事についてはソフト最善手ではなく、手の流れとして指しやすい手や、手が広い局面へつながる安全な手を中心に扱っていきます。
・ はじめに
これから回を分けて、対振り飛車戦法である天守閣美濃について紹介していこうと思います。
自分は元々振り飛車党ですが、最近は居飛車を指すことも増えてきました。
対振り戦法としては居飛車穴熊が有力戦法ではありますが、振り飛車党としては美濃囲いに近い戦型の方が戦いやすいため、この戦法を研究しています。
穴熊で指すのが苦手な方や、居飛車を指される振り党、元振り党の方の参考になればと思います。
今回は第一回目。まずは駒組の前に、振り飛車が玉頭銀に来たときの対策を見ていきます。
初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲2五歩△3三角
▲6八玉△3二銀▲7八玉△9四歩▲9六歩△4三銀(第1図)
玉頭銀 第1図 (14手目△4三銀まで)
通常は△4三銀のとき△6二玉などと駒組を進める流れになると思いますが、△4三銀は早めに攻めの構えを見せる威嚇のような手。
居飛車側は△5四銀などからの速攻に備えたいところ。
14手目△4三銀からの指し手
▲5八金△5四銀▲5六歩△6五銀▲5七銀△7六銀▲3六歩(第2図)
玉頭銀 第2図 (21手目▲3六歩まで)
歩ごし銀には歩で対応ということで△5四銀の進出には▲5六歩。
△6五銀には▲5七銀と5六の地点を受けつつ右銀を進出させます。
そして、△7六銀に▲3六歩が大事な一手。ここから居飛車側は、後手の銀が不在なため弱点となっている角頭を攻めていきます。
ここで次の後手の候補手としていくつかの手が考えられますが、ここでは
①△4五歩 ②△6五銀 ③△6二玉 をみていきます。
それぞれメインとなる筋を紹介しますが、それぞれ違う筋に合流することがあると思うので3つともご覧いただければと思います。
§①△4五歩
△4五歩は銀が玉頭をにらんでいるうちに角をさばいてしまおうという攻撃的な一手。
実際は無理攻めですが迫力があります。
21手目▲3六歩からの指し手
△4五歩▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲同飛成△8七銀成▲6八玉△4六歩▲同銀△3二金▲2一龍△6二玉▲8八歩△(玉頭銀 結果1図)
玉頭銀 結果1図(38手目△8六成銀まで) 先手勝勢
途中△8七銀成は王手龍狙いの勝負手ですが、冷静に▲6八玉とかわしておいて問題なし。
以降、後手は攻めを止めると▲8八歩から後手を引いてしまうため先手を取り続けましたが、最終的に▲8八歩が決まりました。この局面は先手が駒得しやすく、受けても攻めても先手が勝勢と言えるでしょう。
また、△2三歩に代えて△6二玉のような受けの手の場合は▲7七歩と銀を追い返しておけば十分でしょう。
§②△6五銀
続いては△6五銀です。この手は歩をかすめ取った銀を自陣に戻して活用しようという手。
先手は銀が戻る前に角頭めがけてカウンターを返します。
21手目▲3六歩からの指し手
△6五銀▲3五歩△同歩▲4六銀△3六歩▲2六飛△4五歩▲3三角成△同桂▲3五銀△6二玉▲2四歩△同歩▲同飛△3七歩成▲同桂△1五角▲2一飛成△3七角成▲3四歩(玉頭銀 結果2図)
玉頭銀 結果1図(41手目▲3四歩まで) 先手優勢
途中△3六歩に代えて、いきなり△4五歩だと角交換した後、飛車のコビンに拠点が残らない分だけ先手が指しやすいでしょう。
また、本譜△6二玉は守勢に回っているようで実は罠を張っています。角交換した後は3三や2二の地点で駒の清算を行ってしまうと常に角による両取りの筋があるため注意。そのため、その後は3五の銀により4四の地点をカバーしながら戦っています。
結果2図では瞬間的に後手の桂得ではありますが、この後お互い桂香を持ち合って終盤へというところでしょうか。
そうなった場合、囲いの差で先手が指しやすいでしょう。
§③△6二玉
最後に△6二玉について見ていきます。この手は後手玉を先に安全にすることで激しい攻め合いに備える手となります。
また、先手が銀を渡すと香を釣り上げてから△9八銀や(▲9七桂となれば△9六銀)という8七の地点を狙った端攻めがあります。そのため、銀を質駒にしないように指したほうが無難です。また、端歩を突いてきた場合、取り込ませて手を稼いだほうが良いでしょう。(端攻めは①、②の変化からも出てくる可能性があります)
21手目▲3六歩からの指し手
△6二玉▲5五歩(玉頭銀 第3図)
玉頭銀 第3図(23手目▲5五歩まで)
まずは▲5五歩。4五歩から角をさばかせないように角道を止めます。
①や②の変化と違い、後手玉が攻めに備えているため、相手に角をさばかせたくはありません。
23手目▲5五歩からの指し手
△7二玉▲3五歩△同歩▲2六飛△6五銀▲4六銀△3六歩▲同飛△4五歩▲3五銀△4六歩▲同歩△5四歩▲3七桂△5五角▲4五桂△8八角成▲同銀△5二金左▲4四角△5五角▲5三桂成(玉頭銀 結果3図)
玉頭銀 結果3図(45手目5三桂成まで) 先手有利
途中▲3五歩と突き捨ててから▲2六飛が重要な一手。先に銀を追い返すことで端攻めのリスクを軽減します。
また、△4六歩に対し▲同歩に代えて▲同銀とすると△4四飛▲3七桂△7四飛▲7七歩(玉頭銀 参考1図)という流れになりますが、先手の角が使いづらく少し嫌な形です。
玉頭銀 参考1図 (39手目▲7七歩まで)
結果3図からは△4四飛▲5二成桂△同金▲4四銀△同角▲3二飛成と進むと予想されます。
そうなった場合、後手は駒得ですが、先手も後手陣に龍を作っており不満はないでしょう。
ここからは、終盤の捻じり合いとなりそうです。
以上で、天守閣美濃 その1 玉頭銀対策を終わります。
次回からは対振り天守閣美濃(対四間飛車)について書こうと思いますので、よろしくお願いいたします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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