東京は梅雨空が続いていて、にぎやかなセミの声もまだ耳にしませんが、夏まっさかりの新刊が、フライング気味で発売します。
偕成社様刊の幼年童話『ミッチの道ばたコレクション セミクジラのぬけがら』です。挿絵は漫画家・イラストレーターのコマツシンヤさんに描いていただきました。

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主人公のミッチは、道ばたに落ちている変わったものをコレクションするのが大好き。キラキラしたビーズや縞模様の石ころ、三日月型の花の種など、片っ端から拾い集めては、「道ばたコレクション」として、自分の部屋の宝箱に大事にしまっています。

そんなミッチが拾ったのは、クジラのような形の木のかけら。木の幹からはがれて落ちたもののようでしたが、それはただの木のかけらではなかったのです。
ミッチがうっかりそのかけらに麦茶をかけてしまうと、干物がもとにもどるように、木のかけらは小さな小さな本物のクジラに変わってしまったのでした。
しかもこのクジラ、なんとセミのぬけがらが大好物で、「ミ~ンミンミン」とセミのように鳴くので、ミッチは彼を「セミクジラ」と名づけて、金魚鉢で飼うことにします。

セミクジラはとても頭がよくて、ミッチが教えた芸を次々におぼえます。食欲も旺盛で、ミッチのコレクションのセミのぬけがらをどんどん食べるのですが、からだはいつまでたってもセミサイズのままで、しかもだんだん元気がなくなっていってしまいます。
セミクジラが病気になってしまったのではないかと心配したミッチは、セミクジラのためにあるものをさがすことに決めます。果たしてミッチはセミクジラを元気にしてあげることができるのでしょうか…。


ミッチほどではありませんが、私も外で見つけためずらしいものを集めるのが好きな子どもでした。あれはたしか幼稚園の頃だったか、クジラではなくイノシシのような形の木のかけらを見つけまして、イノシシ年の生まれなものですから、おまもりのように長年机の引きだしにしまっていた、なんてこともありました。
『セミクジラのぬけがら』は、そんな思い出から出発してつくられた物語でもあります。

発売は7月17日となっていますが、全国の書店さんに本格的にならびはじめるのは、今週末以降だろうとのこと。梅雨明けまではまだ間があるかもしれませんが、夏を先取りする気分で読んでみていただけたらうれしいです。
 

2019年最初の作品が、1月23日(水)頃に発売になります。
講談社様の童話シリーズ「どうぶつのかぞく」のなかの1冊で、如月が書かせていただいたのはアフリカゾウのお話。題名は『よわむしトトといのちの石』です。



挿絵は以前『交番のヒーロー』の絵も描いていただいた田中六大さんです。トトをはじめ物語に登場する動物たちの表情を、とてもいきいきと描いてくださいました。

物語の主人公のトトは、まだキバもはえていない子どものゾウ。題名のとおりとても臆病な性格で、しかも大変なあまえんぼでもあります。
いつもお母さんにべったりくっついてあまえていたトトでしたが、その大好きなお母さんが、旅の途中で病気になってしまいます。
栄養豊富な「いのちの石」があれば、病気のお母さんを助けることができるかもしれない。そんな話を耳にしたトトは、「いのちの石」を手にいれるため、夜中にこっそり群れを離れ、勇気を振りしぼってひとりぼっちの冒険に出発します。
ですが夜のサバンナには危険がいっぱい。果たしてトトは無事に「いのちの石」を手にいれ、お母さんを救うことができるのでしょうか…。

正直に白状すると、最初に「アフリカゾウで」とご依頼をいただいたときは、もっとかわいい系の動物がよかったなあ、とか思ったりしていました。ウサギとかカワウソとかレッサーパンダとかそっち系の。
ですが執筆のためにアフリカゾウのことをいろいろ調べていくうちに、、そのやさしさや賢さ、そして家族への愛情の深さを知って、いまではカワウソやレッサーパンダにも負けないくらい、アフリカゾウのことが好きになりました。

作中にも描写をしましたが、ゾウは亡くなった家族の骨をちゃんと識別することができて、旅の途中で家族の骨に出会うと、故人を偲ぶように挨拶をします。野ざらしの骨を目立たない茂みに移動したり、枝葉を被せるなどして「埋葬」することもあるそうです。
ゾウが賢いということはなんとなく知っていましたが、そんなまるで人間のような行動をするなんて(という言いかたは傲慢かもしれませんが)、と取材をしながら非常に驚いた次第です。

『よわむしトトといのちの石』は挿絵満載で小学校低学年からでも読める作品となっていますが、大人のみなさんにも広く読んでいただいて、アフリカゾウに興味を持ってもらえたらと願っています。
なお、童話シリーズ「どうぶつのかぞく」は、2019年3月までに全8冊が発売予定。こちらのページからラインナップを確認できますので、好きな動物・気になる動物の物語があったら、ぜひ読んでみてくださいね!

 

『給食アンサンブル』の発売から、早くも1ヶ月が経ちました。丸善丸の内本店さんをはじめ、書店さんで特設コーナーをつくっていただいたり、いくつもの新聞でご紹介いただいたり、感想もたくさんいただいたりして、大変うれしく思っております。
その『給食アンサンブル』と、同じく雑誌『飛ぶ教室』で連載していた陣崎草子さんのスーパー爆笑児童文学『ウシクルナ!』の刊行を記念して、このたび神田のブックハウスカフェ様にて、陣崎さんと如月のトークイベントが行われることになりました。

 



11月9日(金)の19時から、「子どもの本をかくということ」と題して、いろいろお話をさせていただきます。要申込(有料)となっておりますので、ご興味を持ってくださったかたは、ブックハウスカフェ様のHPで詳細をご確認ください。

最近は講演などで話すのにも多少慣れてきたのですが、今度のトークイベントは対談なので、講演原稿が準備できないんですよね。
いつもはバッチリ原稿を用意して講演に臨んでいるので、果たしてそれなしでまともにしゃべれるのかハラハラしています。ですがいらっしゃってくださったみなさまにご満足いただけるよう、せいいっぱい頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


それからもうひとつ、こちらはもう終わってしまったのですが、10月4日に中央大学政策文化総合研究所の公開研究会でお話をしてまいりました。
そういうのは事前に宣伝をしなさいよ、という話なのですが、準備が結構ぎりぎりで、こちらで記事を書いている余裕がありませんで…。

しかしせっかくつくったので、研究会のレジュメをこちらにも載せておこうかと思います。
題目は「戦時下の少年少女雑誌と児童文学」ということで、2月の土屋文明記念文学館での講演に引き続き、主に戦時下の児童文学統制と、当時の児童文学の変化についてお話をさせていただきました。

 


公開研究会は学生のみなさんが聴きにいらっしゃるのかと思っていたら、主に研究チームの先生方をお相手にした催しで、当日会場に着いてからそれを知ってにわかに狼狽してしまったのですが、発表自体は幸いご好評をいただくことができました。
神奈川近代文学館やら都立多摩図書館やらあちこちめぐって、資料を読み漁った甲斐がありました。

もともと如月は大学院で日本の近代児童文学の研究をしていました。
近代児童文学のなかでも、特に『少年倶楽部』に代表される大衆的な少年少女雑誌や、そこに載った児童文学作品については、いまだにあまり研究が進んでおりません。
その研究されてない部分をもっと明らかにしたい、と思っているのですが、普段はどうしても本業の原稿優先になるので、講演会や発表会などのご依頼をいただくたびに、過去の資料を読みかえしたり、新たな資料を漁ったりしています。
今回の公開研究会でも、戦時期の『少年少女譚海』や『少女の友』に調査の幅を広げてみたところ、いくつか興味深い発見がありまして、このへんのこともっとくわしく調べたいなあ、と思った次第です。
博士論文は出せずじまいでしたけど、研究はやっぱり好きなんですよね。なので今後も作家業に支障が出ない程度に、戦前の児童文学の研究もちょっとずつ進めていきたいと思っております。

そんな奇特なかたはそうそういないと思いますが、もしそういう昔の児童文学の話で講演などしてほしい、というかたがいらっしゃいましたら、プロフィールページに載せているアドレスまでご連絡ください。
これまでの講演では、主に戦時中の児童文学についてお話をしてきましたが、大学院では戦前のユーモア児童文学や子どもの描きかたについて研究していましたので、そのあたりのことについても語れますし、戦前の児童文学全般についてもある程度くわしく話せます。

とはいえ、研究会の準備で原稿の執筆が若干滞ってしまっているので、ひとまずは原稿のほうに集中したいと思います。
次の新刊は年明けに出版していただく予定。情報が出ましたら、またお知らせの記事を書きにまいります。

 

『飛ぶ教室』で昨秋まで連載させていただいていた『給食アンサンブル』の単行本版が、本日発売となりました!
YAというカテゴリにいれていただけるなら、単著では『シンデレラウミウシの彼女』以来、実に5年ぶりのYA作品となります。おお、長い…。

 

 

『給食アンサンブル』は題名のとおり、給食をテーマとした連作短編集です。「七夕ゼリー」「マーボー豆腐」「黒糖パン」「ABCスープ」「ミルメーク」「卒業メニュー」の6つの物語が収録されています。
主人公はそれぞれに悩みを抱く中学生の少年少女。転校先の中学に馴染めない、まわりのみんなのように大人っぽくなれない、ひそかに思いをよせる親友の姉の力になりたい……そんな彼らの悩める心が、給食をきっかけに変わっていく、ささやかですが心温まる物語になっています。

 

単行本化にあたっては、文章を全面的に修正いたしました。連載中は毎度規定の文字数をオーバーしてしまって、削って削ってなんとかあの紙幅に納めていたんですよね。やむをえずカットした文章や、文字数を減らすために変更した表現も結構ありました。
単行本では文字数制限がなくなったので、カットした文章を復活させたり、表現もよりぴったりなものを選びなおしたりと、例によって印刷した原稿が真っ赤になるほど手を加えました。なので、物語の大筋は変わりませんが、文章の読み心地は連載時よりグレードアップしているのではないかと思います。

 

イラストは連載時に引き続き、漫画家の五十嵐大介先生が描いてくださいました。光村図書さんのHPでは、『給食アンサンブル』発売記念企画として、五十嵐先生と如月の対談も公開されています。
「スペシャル対談 ぼくらの給食、みんなの給食」

 

五十嵐先生が描いてくださった表紙イラスト、決して派手ではないのに、とても目を引く素敵な絵なのですが、この絵の女の子、実は収録されている6話のうちの、どの話の主人公でもないんです。
対談のなかで五十嵐先生も触れられているのですが、この物語は6話それぞれの主人公の物語であるのと同時に、各話の主人公の境遇を読者が自分に置き換えたり、自分のエピソードを思い浮かべたりできる、そんな広がりのあるみんなの物語なんだ、ということを表したくて、どの話の主人公でもない子の顔を表紙に描いてくださったそうです。なのでそれにあわせて、裏表紙側の帯の文章も、作中の主人公ではない誰かの給食中の心のなかを描いたものになっています。

 

いつもどおりの給食が、誰かにとっては特別な給食にもなる。そんな特別な給食をめぐるこの物語が、みなさんにとっての特別な給食を見つけるきっかけに、もしくは給食でなくても、ありふれた日常生活のなかにある特別ななにかを見つけるきっかけになったてくれたらいいな、と思っています。
単行本版『給食アンサンブル』、どうぞよろしくお願いいたします!

2月に発売した『声優さんっていいな』から5ヶ月ぶりとなる新刊『ふたりはとっても本がすき!』が近々発売となります。
小峰書店さんのHPでは、7月上旬発売となっていますが、実際の発売日は7月20日頃になる予定です。


(大きいサイズの表紙画像はこちら

『ふたりはとっても本がすき!』の主人公は、せっかちなチーターのチッタちゃんと、のんびり屋のカバのヒッポくんのふたり。
チッタちゃんもヒッポくんも本を読むのが大好きですが、本の読みかたは全然違って、チッタちゃんは猛スピードで次々にたくさんの本を、ヒッポくんは1冊1冊じっくりゆっくり本を読みます。
それぞれの読みかたで読書をたのしんでいたふたりでしたが、あるできごとをきっかけに、チッタちゃんが自分の本の読みかたのことで悩みだして……というお話。

明るく暖かみにあふれた挿絵を描いてくださったのは、いちかわなつこさんです。チーターの女の子という、かわいく描くのがちょっと難しそうな(主に口の両脇の黒い模様のせいで)主人公のチッタちゃんを、想像以上に大変かわいらしく描いてくださいました。
ちなみに主役の動物は、最初に思いついた時点ではウサギの女の子とカメの男の子だったのですが、すぐにべつの動物に変えることにしたんですよね。どうしてウサギとカメじゃなくしたのかは、物語を読んでいただければわかるかな、と思います。

『ふたりはとっても本がすき!』は、これまで出たなかでいちばんページ数が少ない作品で、小学1年生くらいからひとりで読めるかと思いますが、もっと年上の本好きさんたちにも、幅広く読んでいただけたらなあ、と願っています。

また、そろそろ夏休みということで、昨年発売した『なのだのノダちゃん まほうの自由研究』が、群馬県・神奈川県・静岡県・京都府の4府県で、読書感想文・読書感想画の推薦図書になっています。

 


感想文や感想画でなにを読むかまだ決まっていない小学生のみなさんは、『まほうの自由研究』を読んでみてはいかがでしょうか。たのしい場面が盛りだくさんの作品ですので、読書感想画には特におすすめ。そしておもしろかったら同シリーズの『ふしぎなコウモリガサ』『ひみつのわくわく七ふしぎ』もぜひどうぞ!

  

ネット書店では品切れになっていることがたまにありますが、シリーズ全作びっくりするほどたくさん増刷していただいたばかりなので、近くの書店さんで注文していただければ、比較的すぐに入手できるのではないかと思います。
ノダちゃんシリーズも新刊の『ふたりはとっても本がすき!』も、夏にぴったりの物語ですので、この夏休みにぜひ読んでみてくださいね!