直径2mmのウレタンチューブで作成したモデル
外掛け結びと並んで、代表的な針結びの方法とされる内掛け結びを見てみる。
内掛け結びの特徴は、本線が叩き側に大きく回り込み叩き側から巻き目を作ることだ。
これまで見た他の結び方では、本線は針先側から巻き目を作っていく。
図で示すと、内掛け結びは赤線でたどった本線が、叩き側(図向かって左)に回り込んで巻き目が始まる。
他の結び方は、すべて叩き側は青線でたどった端糸の巻き目である。
内掛け結びの端糸は、軸と本線に巻き付いているだけで結び目がなく、最後に本線に留めてもらっているだけだ(この点は外掛けも同じ)。
本線を引っ張り、叩き側の結び目と針先側の端糸を強く留めたくても、巻き目の弾力が本線を押し戻し、思うように力は伝わらない。結び目の摩擦に対し、何重にもなっている巻き目の弾力が上回るのだ。
したがって、端糸を留める力は弱い。
よって端糸に逆方向から力が加わると比較的簡単に巻き目が緩む。
巻き目が緩むと、肝心の結び目も緩み、魚に針が引っ張られると簡単にすっぽ抜ける。
内掛け結びは、結束直後の緩みの少ない状態でテストすれば、外掛け結びとあまり遜色のない強度が出るだろう。
しかし、これは見かけ上の強度と考えなければならない。
実釣では、刺し餌を付けたり、掛かった魚を外したり、糸絡みを解いたりと、針の結び目には様々な方向から力が加わる。
釣りの現場で緩む結びは信頼できない。
特に締め込みが難しい太糸で、さらに張りの強いフロロカーボンを使う場合、内掛け結びは致命的な弱点を持っていると言えるだろう。
釣りの書籍、メーカーの解説Webページ等で、内掛け結びが数多く紹介され、外掛けより結びが少し難しいが強度のある結び方などとあるが、本当だろうか。
内掛け結びは、釣糸が柔軟性に富み引っ張れば締まるナイロンラインが主流であった時代の遺物のような気がする。