(「Daddy Long Legs(あしながさん2)」からの続き)

 

 ビルが彼女と新たに交わした約束とは・・・。

 

 ①友達を沢山作る事。②成績表を見せに来る事。③その時友達も連れて来る事。④自分を本当の兄だと思う事。こんなところだったと思いますが・・・。

 

 そして、後日解った事ですが、両親と相談し、彼女が高校を卒業したら、ビルの両親の養女にする事にしたのだそうです。義兄妹と言う事になるけど・・・、大丈夫なんかい。

 

 両親との引き合わせに付き合わされて、と言うか「干爹」にさせられた白楽雲です。「干爹」とは義理の父になる事です。一生の付き合いになります。

 

 私の場合、あくまでも形式的にです。既に、本当の親の了解を得ています。金を渡したかは分かりませんけどね。私はただただ、ニコニコ微笑みながら観てただけ~。

 

 この後、二人の関係がどうなったのかは分かりませんが(ビルは数年後クビになってしまったので)、後年、日本で再会した折に聞いたのは・・・。

 

 ビルの父親(元銀行の幹部)の元部下と結婚したんだそうです。本当かどうかは分かりませんけどね。根掘り葉掘り聞く訳にいきませんしね。

 

彼女が幸せな人生を歩んでいる事を(干爹としては)願うばかりです。

 

 私はと言うと、工場の従業員であった妻と結婚する事になったのですが・・・、経緯については過去記事の「年貢の納め時」、「続、年貢の納め時」を参照願います。

 

 結婚を決めて暫く経ったころ、小学生から電話がありました。随分会ってなかったので、初め誰だか分らなかったのですが、「求救你(助けて)」と言っています。

 

 要領を得ないので、ビルを呼んで聞いてもらうと、彼は一通り話を聞いた後、何やら捲くし立てると電話を切ってしまいました。「何があったんだよ」と聞くと首を横に振っています。

 

 彼が言うには、崖西鎮から珠海市の卡拉OKに鞍替えしたのですが、違法行為で公安につかまってしまい罰金を支払って欲しいとの事。

 

 「それなら何で電話っ切ってんだよ」、「假的(嘘です)」、「何で・・・」。

 

 ビルが言うには、珠海に行ったと言う事はマカオで一旗揚げようと思ったからに違いなく、マカオ入境ビザの取得のための金欲しさであろうと言うのです。

 

 その証拠に、郵便口座に送金してくれと言っているが、拘留されているのであれば直接届ける必要かあると言うのです。何とかしてやりたいと思ったのですが、なるほどです。

 

 中国人のマカオ入境ビザ(2週間)は当時800元(8000円)が必要でした。また、審査に通らなくてはならず、審査官に袖の下が必要なのです。1000元以上、いやもっとかな・・・。

 

 私の妻の工場での月給が800元でした。国営企業の大学新卒で2000元とも言われていた頃で、工場の通訳が1500元でしたから、簡単に作れる金額ではなかったのです。

 

 彼女が私に身体を投げ出したのは、このためだったのかと、複雑でした。私は勘違いさせてしまったのかも知れません。彼女の風貌では稼ぐことは難しいでしょう。

 

 因みに、崖西での春の対価の相場は500元、互いの親密度や交渉によって300元又はそれ以下、場末の卡拉OKならば100元位と聞いています。珠海なら1000元以上だったかも。

 

 一般の中国人男性には、場末が良いところで、余程頑張らないと無理ですよね。香港人・マカオ人・外国人と政府・公安の要人、成金・マフィアと言った人たちの憩いの場所なのです。

 

 マカオには金持ちや外国人が大勢いるので、2週間で荒稼ぎしようと思ったのでしょう。しかし、あの風貌で客が付くんかい。いや、変な趣味の輩も多いのかも・・・。

 

 私には関係が無いものの、変な事にならなけりゃいいが・・・、と思いました。小学生にしか見えない彼女の大胆さは一体どこから来るのでしょうか・・・。

 

  今にして思えば、これほど明暗が分かれてしまうものなんですね。女性に関して下衆だったビルと君子ズラして何もしない、いや、出来なかった私と、何方が正解だったのか・・・。

 

 結局何もできない白楽雲・・・。   雲と共に去りぬ

 

 

 

(つづく)

 

 

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白楽雲

 

 

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