「夜はご馳走やから食べ過ぎたらあかんで。」
お昼はサービスエリアで軽く済ませた。
雲行きがどんどん怪しくなり、
北杜市まで来たら大雨だった。
5時半、八ヶ岳高原ロッジへ到着。
まだ未成年だった田舎者のおばちゃんにとって、リゾート
ホテルはキラキラ輝いて夢の世界だった。
先生方がゴルフをしている間、お姉さんと森の中を散歩
したり草むらでバッタを捕まえたりして遊んだ。
フルコースのディナーを食べ、こっそりワインをお味見し
たった1泊の滞在を満喫した。
10年ほど前、八ヶ岳と蓼科を旅行し、思い出の地川上村を
訪ねた時、ロッジに泊まるつもりだったが満室だった。
今回こそはと張り切っていたら、新聞で無料宿泊券の懸賞が
あり外れても優待券をくれるというので応募した。
かなりお得やん。やっとやっと念願が叶ったわ。
夫はすでにうろうろしている。
基本落ち着きがなく、人目を気にするおばちゃんに注意
されることが多い。聞かないけど。
天井が高く気持ちのいいお部屋だった。
お風呂から森が見える。真っ暗で怖い。
夜はカーテンを閉めてお風呂に入った。
しばらく休憩してレストランへ行った。
予約の際に、追加料金を支払ってメインダイニングを
希望したが受け入れてもらえなかった。
優待価格やからね。残念。
夫はロゼを、おばちゃんは松本平シャルドネでかんぱーい!
サラダはサラダバーでセルフサービス。
嫌な予感がした。
テーブルには「高原へいらっしゃいディナー」とメニューが
置いてあった。
うん十年前にテレビで「高原にいらっしゃい」というドラマの
ロケ地になり放映された記念ディナーらしい。
サーモンのリエット
食べやすい。(どんな表現や!)
サツマイモのポタージュ
夫が「うわっ、このお皿の大きさ珍しい。味薄っ。」と言った。
大虹鱒のハーブ焼き
しんみりしたらあかん、こういうときは酔うしかない。
塩尻メルローを注文。
信州アルプス牛のポアレ フルーティソース
サツマイモのスープの後に付け合わせのジャガイモ、
芋攻めやないかーい、田舎者やと思うてバカにしてるやろー
と言いながらワインおかわり。
懐かしい感じのデザート
ダサい、ダサ過ぎる。
夫が「お前の作るフレンチっぽいメニューはレベルが高い
んやなと思うわ。」と言った。
これは褒め言葉と同時に、今をけなしている夫風の表現。
「しみじみと~、昭和を思う秋の高原。」とおばちゃんは句を
詠んだ。
昭和の時代、初めてフランス料理というものを食べる人の
ために考えられたんちゃう?というメニューだった。
お味も然り。夫、以下同文と言った。
「バーでオサレにカクテルでも飲む?」と聞くと
「田舎者やから基本に帰って部屋で地ビールを飲む。」
夫が言った。
いつの間にか基本の格好で嬉しそうにビールを飲みながら
「なかなかのディナーやったな。次はええ方のレストランで
食べような。」と夫が言った。
おばちゃんはリンゴのチューハイを飲みナッツをぼりぼり
食べながら「そうしよう、そうしよう。」と言った。
こんな夫婦にはあのレストランぐらいでちょうどいいのかも
しれないけど。
つづく。


























