海辺のまち 月がかさをかぶっておぼろげで
空には 闇が広がっていた
朝焼けがくるころに
人影があらわれて
みずほとよんだ
おとうさんがわらっていた
うみべのまちだった
表札に 私の名前とお母さんの名前
海の上にうかぶつき
私の名前とお母さんの名前を
一度だけ呼んで かき消えた
白昼夢 眠ってもいないのにみた幻
わたしのねがいか わたしのいのりか
それはわからないけれど
私は眠っていなかった 本当に
何から話そうか
何を一番に言おうか
あふれかえる言葉をまとめることも出来ないくらい
あなたが帰ってきてくれて
うれしい
おかえりなさい
後ろ姿を見つめ続けた数日間
本当に一ヶ月もない間に
何年もかけて思うような考え事をみんなでしたね
誰よりも一番悩んだのはあなただったでしょう
だけどその一歩を踏み出すのも
貴方以外の誰でもなかったんだよ
踏み出せたのもあなたの力
家はここにある
これから先どうなっていっても
家はここにずっとあるそしてあなたをまっている
壊れてなおらないものなんてきっとない
間違っても貴方は壊れた訳じゃない
むしろ新しくなったんだよ
同じ道をぐるぐるしていたのを
やめれたんだよ
そう思うよ
抜け道をやっとみつけたんだね
よかったね ほんとうに ほんとうによかったね
その道はもしかしたら茨道かもしれない
でこぼこで転んでばかりの道かもしれない
でも越えて越えて歩いていった先には
きっと綺麗な景色が広がっていて
歩いて歩いて一周したら
家がちゃんとあるよ
ここに家をたてよう
みんなの家やさしくて あたたかい家
すれ違いもくい違いもある家
だけど ずっとあなたのそばにある家
毎日新しい灯をつけて
毎日新しいドアをあけよう
毎日誰かが誰かの帰りをまっていて
私は毎日そのドアの向こうにいるよ
おかえりなさい いってらっしゃい
きっと帰ってきてね
まわりまわったその先に
あなたの家はちゃんとあるからね
いつの時も どんな時も