3月14日。最高気温は12.9℃まで上がる予報でしたが、六甲の山々は春の兆しを見せつつも、冷たい北風が吹き抜けていました。風速4〜5m/sの影響で体感温度は常に5℃〜8℃程度でした。
大阪マラソンから約3週間。疲労は抜け、コンディションは良好です。ロードからトレイルシーズンに移行し、最初のレースとなる「六甲縦走トレイルラン(38km / D+2000m)」に参加しました。今回はそのレースの記録です。
レース戦略と補給プラン
AIを使って、事前のコンディション分析をもとに、区間別の戦略と補給計画を以下のように定めました。
スタート前に設定した目標タイムは5時間45分〜6時間15分です。
区間別戦略
- Zone 1(スタート 〜 菊水山取付き)
- テーマ:自制(ウォーミングアップ)
- アクション:スタート直後の心拍数を厳格にコントロール。ゾーン2(143bpm以下)を維持し、スリップ防止のためフラットな接地を心がける。
- Zone 2(菊水山・摩耶山)
- テーマ:徹底したパワーハイク
- アクション:ランニングを捨てる。階段では手で大腿部を押すパワーハイクに徹し、心拍数が160を超えないように抑える。
- Zone 3(掬星台 〜 六甲山最高峰)
- テーマ:ロード走力の解放
- アクション:平坦・緩やかな下りは歩かない。ピッチ(174〜176spm)を解放し、キロ6分台までギアを上げる。
- Zone 4(最高峰 〜 フィニッシュ)
- テーマ:ダウンヒル・サバイバル
- アクション:「柔らかい着地」と「小刻みな足運び」を意識。真砂土のスリップに警戒しつつ、残りの脚でタイムを稼ぐ。
食事・補給戦略
- スタート前:起床後に普段通りの朝食(白飯+納豆)、2時間前に大福餅1個、30分前にアミノバイタル・ゼリー。
- 序盤戦 (〜13km):胃腸への血流が十分なうちにカステラ1個を消化させる。
- 中盤戦① (13km〜19km):菊水山〜鍋蓋山の急登区間でソイジョイ抹茶1個とアミノショット(1本目)を投入し、筋肉分解を防ぐ。
- 中盤戦② (19km〜24km):心拍数が上がる区間。消化に負担のないパーフェクトエネルギー(1本目)で脳と筋肉へ糖質を供給。
- 後半戦 (24km〜29km):ANDO1本、アミノショット(2本目)で血糖値を維持。
- 終盤戦 (29km〜38km):残り2本のジェルをこまめに流し込み、集中力低下と足攣りを防ぐ。
- 水分:水500ml + スポーツドリンク500mlをこまめに摂取。
ウェアリング
- サンバイザー+サングラス
- Tシャツ
- アームカバー(気温や天候によって着脱)
- ランニングパンツ
- レッグカバー
- ウィンドシェル(気温や天候によって着脱)
- トレランザック Salomon Active Skin 8(水、スポーツドリンク、ヘッドライトなどを入れる)
- ランニングベルト Salomon Pulse Belt(補給食、スマホ)
- シューズ(Salomon Genesis)
- 足の親指と人差し指に内出血防止カバー
- トレラン用グローブ
- エマージェンシーブランケット(ザックに入れる)
レース記録
大阪マラソンの反省を活かし、駅前の公園でトイレの行列に並んで確実に用を済ませてから受付に並び、参加賞のTシャツを受け取りました。午前7時半、須磨浦公園のスタート地点に立ち、冷え込みに合わせてウィンドシェルを羽織ります。
スタート 〜 第1エイド:鵯越駅前
プラン通り、中盤の菊水山〜摩耶山に備え、前半はゾーン2程度の心拍で温存しました。鉢伏山の登りで大阪マラソンの疲れからか、早くもわずかに足の重さを感じましたが、遅れすぎないバランスを探ります。旗振山から鉄拐山にかけて心拍が150台後半まで上がったため、おらが茶屋以降の歩行指定区間で呼吸を整えました。
高倉台でウィンドシェルを脱ぎ、栂尾山の階段地獄はゆっくりペースで止まらずにクリア。馬の背では指定通り歩き、景色をカメラに収める余裕もありました。このあたりから探っていたペースが掴めてきた感触があり、高取神社から鵯越への道のりも、登り最大160、下り140台を維持して安定したペースを刻めました。
第1エイド 〜 第2エイド:大龍寺駐車場
最初の難所である菊水山の登りではうまくリズムが作れなかったものの、大崩れを避けるため一定のペースで歩いて登り続け、立ち止まらないことを最優先としました。鍋蓋山から大龍寺にかけても、登りの心拍を160以下に抑制します。しかし、得意の下りで挽回しようと攻めすぎてしまった感覚があり、再び足の重さを感じはじめ、その後は意識的にセーブをかけました。途中でアミノバイタルを補給し、エイドではコーラ、団子などを補給しました。
第2エイド 〜 第3エイド:掬星台
市ケ原を越え、稲妻坂から最大の難所である摩耶山へ。一定のペースを守り、心拍を上げすぎないように登り切ります。中盤でアミノバイタル(赤)を補給して摩耶山を登りきり、平坦区間に入りましたが、想定以上に脚が重く、スピードは上がりませんでした。掬星台のエイドで提供されたフルーツポンチが冷えた体にはありがたく、とても美味しかったです。
第3エイド 〜 第4エイド:記念碑台前
ロード区間に入ると標高が高いうえに風が強く、体が冷え始めました。当面は標高が高い区間が続くことを考慮して再びウィンドシェルを着用します。着用にもたついた隙に後ろのランナーに抜かれましたが、着用してからそのランナーの背中を追うことでペースダウンを防ぎました。登りは歩き、下りとロードは走るというルールを徹底しました。
ここで予定していたANDOを補給する前にエイドに到着したのでANDOは補給せずエイドの補給食で補いました。これが後に反省点につながります。
第4エイド 〜 ゴール:温泉神社
記念碑台からガーデンテラスへの登り基調のロードでは、既に疲労が蓄積していましたが、極力歩かずに走り続けます。ここから山頂まではドライブウェイを横切りながら山道の登り下りを何度も繰り返して進む区間が続きますが、同様に登りは止まらず歩いて下りや平坦な区間はなるべく走ってペースを維持しました。やっとたどり着いた山頂付近は風が強く、すぐに山頂の裏道に入りましたが少し残雪がありました。
六甲最高峰を越え、その後は魚屋道の下りに入ります。脚が回る限りペースを上げ、キロ6〜7分台でひたすら下りました。登山者には歩いて挨拶と追い越しを徹底しました。
最後のロードで一瞬道を間違えかけましたが、警備スタッフに呼び止められ、無事、有馬温泉の温泉神社にゴールしました。下りに集中していたので、終盤の補給タイミングに迷い、結局予定していたジェルは使いませんでした。
記録は6時間16分3秒。順位は速報値で24位(エントリー324人中)でした。
データと主観による分析
帰宅後、蓄積した走行データと前述した自身の主観的なレース記録をもとに、AIに分析を依頼しました。出力されたレポートにより、現在の強みと課題が明確になりました。
① ペーシングと心拍制御(戦術的成功)
前半の菊水山・鍋蓋山において「大崩れを避けるため一定ペースで歩き」「心拍を160以下に抑制」というレース運びが、データ上でも平均心拍140台・最大心拍160台という数値で正確に裏付けられています。
最大の難所である摩耶山に向けて意図的に出力を抑え、脂質代謝を優位に保つ「ネガティブ・スプリット的思考」が機能しました。
② 中盤(29km〜34km)のペース低下のメカニズム
掬星台以降の平坦・ロード区間において、データ上でペースが落ち込み、心拍も上がりきらない状態が発生していました。この「脚の重さ」は筋破壊(ダメージ)ではなく、「エネルギー供給の谷間(低血糖の兆候)」と「寒冷刺激による末梢血管の収縮」の複合的要因と推測されます。
エイドでの固形物中心の補給に頼り、本来計画していた自前のジェル(素早く吸収される糖質)の摂取を失念したことで、一時的なグリコーゲン枯渇に陥りました。さらに寒さによる体温維持でエネルギーが消費され、中枢神経が防衛反応として出力を制限したと考えられます。
③ エキセントリック耐性とダウンヒル適性
中盤で脚が止まったにもかかわらず、終盤の魚屋道(下り)で一気にペースを引き上げられたのは、大腿四頭筋の筋細胞が物理的に破壊されていなかった(=着地衝撃に耐えうる強靭な筋持久力がある)証拠です。
Salomon Genesisの安定性と、足指先の内出血防止カバーという装備の工夫が恐怖心や痛みを排除し、ロード練習で培ったベースがトレイルの下りにも転化されています。
次戦に向けた課題
事前のプランニングと、レース中の心拍制御は確実に機能しました。大阪マラソンをはじめとした秋~冬のロードの経験は、トレイルレースでも活かすことができたと感じました。
一方で、中盤の失速はAIの指摘どおり、明確な課題を残しました。「エイドに着いたら食べる」という感覚ベースの補給から脱却し、時間管理による補給の徹底が必要だと感じます。また、「疲労下で重くなった脚を動かすための神経系への刺激入れ(ロング走終盤での締め走など)」も、AIの言う通り今後のトレーニングに組み込んでいきたいと思います。
レースの翌日は5kmのウォーキングを行い、2日目からはエアロバイクによるアクティブレストへ移行しました。疲労が抜けた頃に、また次のトレイルレースへ向けて準備を始めます。









