長らくお待たせしました!
漫画の方に集中したいのでMH小説は一旦ここで切ります
今回はちょっとだけ特別仕様にしてあります。
ちょっとだけね(-_☆)
正確には途中で力尽きただけなんですけど(笑)
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クイーンが住む森に留まってもう数日が経っていた
気候も温暖で過ごしやすいところなので
左官達も時間を忘れそうになるほどのんびり過ごしている
他のモンスターもいるが人間さえ見たことがないのか
左官達を見かけると興味を持って寄ってくるモンスターさえいた
近くに通訳できる存在がいるので意外とコミュニケーションもとれていた
待月の話によると、最初は皆待月の真似をして温泉に入るようになったらしい
今では遠方からわざわざここに入りに来る者もいるとのこと
争いごとをしなければ誰でも自由に入っていいと言ってあるので
ここでいざこざを起こす者はまずいないという
待月「明日には帰ってしまうのか・・・寂しくなるな」
るり「あっちの様子も気になるしね。元々期限付きでこっちに来ているから・・・
距離を考えると中々ここには来られなくなるけど」
待月「そうだな、でももし来れるようならいつでもおいで。歓迎しよう」
るり「ありがとう、待月」
二人が盛り上がる一方、真夜は少し不安そうな顔をしていた
どうしたのかと待月が訪ねると、以前狂竜ウィルスに感染した話を口にする
母の元を離れるのもあるが、また狂竜ウィルスに感染したら・・・
真夜はそう考えてしまったようだ
るりが「大丈夫だよ」そう励ますが、やっぱり不安そう
すると待月が「心配ないよ」と我が子に声をかける
真夜「でも・・・もしまた狂竜化しちゃったら真夜は・・・」
待月「真夜はもうその病にはかからぬ、ここ数日私の血を口にしていただろう?
真夜の中には抗体が出来ているハズだ、心配はいらぬ」
るり「そうなの?」
待月「我が種は卵から生まれてしばらくは母か父の血を口にする
その時に”廻る者”が撒く病の抗体を親から貰うのだ
真夜が病にかかったのは親から抗体を貰っていなかっただけ・・・
だからもう大丈夫、真夜の中には私の血が宿っているからな」
それを聞いて真夜は安堵の表情を浮かべた
るりがその抗体は他の種族にも効果があるのか尋ねたが
一時的にはあるようだが持続はしないとのことだった
血を飲むことに抵抗がなければ試してみるか?と言われたが
恐らく帰ったらゴア・マガラとの戦いが待っているので答えは出ている
真夜は抗体が出来たばかりで効果が低いだろうから待月の血を貰うことにした
待月「帰り際に黄月からも血を貰うと良い、少しは効果が長引くだろう」
るり「助かるわ、これで心置きなくゴア・マガラと戦える!」
その日の夕方、るりが入った後に温泉に入っていた左官達が上がると
月詠がある場所に案内すると言い、更に森の奥にある洞窟へ向かった
そこにあったのは森守龍の鱗や爪、牙にタテガミとかなりの量の素材
ぴよ「・・・これ、一体どうしたんだ?」
月詠「クイーンが貴方達が来た時にお礼に差し上げようと取っておいたものです。
他の種との戦いで剥がれたり欠けたりしたものになります。
”廻る者”との戦いに役立つと思いますので好きなだけ持って行ってください」
まる「あのすみません、宝玉とか天鱗とか普通にあるんですけど・・・」
月詠「我が種ではそれに価値などありません。人間は違うようですがね」
左官「これだけあれば武器だけではなく防具も簡単に作れますね。感謝します」
持てるだけ森守龍の素材を持って待月のところへ戻ると
待月が”廻る者”に関するこちらが知っていること教えてくれると言った
情報が少ないのでとてもありがたい。待月が語り始めた
待月「”廻る者”は以前も話した通り、子供の頃は世界を飛び回り
成体になる時期が近づくと生まれた場所に戻ると言われている。
先代のクイーンの時代にこの地に訪れたことがあるらしい・・・が
その鱗粉を吸い込んだ他の種の者が正気を失い暴れ始めてしまった。
仕方なく我が種が総力を挙げ、狂ってしまった者を討伐し、”廻る者”を追い出したそうだ。
森を守るための苦肉の策だったが、それ以来”廻る者”はこの地へ来ていない」
左官「ここでもそんなことがあったんですか、貴方達のオルディーオのお陰で
人間はそのことを一切知らなかっただけなんですね」
待月「狂った状態は数日で治るそうだが、それを待っていては森を守れんからな・・・
私達は直接見たわけではないが”炎帝の者”の話では成体は美しい白銀の鱗を持ち
頭には2本の角があるらしい。戦い方は我が種に少し似ているそうだ」
ぴよ「・・・?」
月詠「成体となった”廻る者”の鱗粉を吸い込んでも狂った状態になるそうです
ですから我が種の抗体は一時的でも持っていた方がいいでしょう
この抗体を持っている者はとても少なく、我が種以外では”炎帝の者”や
”風翔の者”、後は”喰らう者”と”剛雷の者”くらいです」
るり「うん、凄く助かるよ!本当にありがとう待月」
待月「・・・戦うのは構わないが、ただ一つだけ約束しておくれ」
一同「・・・・?」
ここまで話してくれた待月だが、たった一つだけ頼みたいと願い出た
それはきっと”守の者”だから言えること・・・
待月「さっきも言ったが、”廻る者”は生まれた場所に帰る者だ
もしも成体となり、ある場所にずっと留まっているようなら
そこがその”廻る者”が生まれた地・・・”廻る者”が帰りたかった場所だ
だからあまりイジメないで、撃退するだけにしてくれ」
「分かりました」皆は答えた
真夜も頷いた。あんなこと言われてしまったけど、もし逆の立場なら
やっと帰ってこられたのだから邪魔をしないで欲しいと思うはず
待月は優しく微笑むと明日に備えて眠りなさいと言った
左官達も黄月に明日のことを改めて頼むと待月の隣で眠りにつく
しかし真夜には母に甘えられる最後の夜なので眠らず、ずっと母のそばで寄り添っていた
待月も今度はいつ会えるか分からない我が子へ一生分の愛情を注いだ
そして出発の朝、立つ前に左官達は待月の血を口にした
ゴア・マガラと戦うためとは言え、吸血鬼になった気分である
なんだか真夜が嬉しそうな顔をしていた
黄月「俺と別れる時にも俺の血をやろう、さぁ行くぞ。また背に乗れ」
左官「ありがとうございます!またよろしくお願いします」
待月達は自分の縄張りの外に出るギリギリのところまでお見送り
ちなみに荒夜は左官達に近づいては駄目と言われているので洞窟でお留守番
真夜が寂しそうな顔をしていたが、「また会えるよ」とるりが励ます
そして川を渡りきり、一度黄月が立ち止まり振り返ると駆けだした
待月と月詠は左官達に自分たちの声が聞こえなくなるまで
ずっと咆哮を上げ続けていた・・・ずっと、ずっと・・・
そしてまた3日かけ左官達は黄月の縄張りに着いた
結構時間が経っていたので自分の縄張りが荒らされていないか
ちょっと不安だった黄月だが、変わりがないようで一安心
黄月「もう少し時間がたったら、真夜の中の抗体も大人と変わらなくなるだろう
そしたら真夜の血を少し貰えばいい。効果が続くようにな」
るり「え!?でも真夜は子供だからそれはちょっと・・・」
真夜「真夜別にいいよ。今までるり達の血貰ってたからお返しできるし」
まる「本当にいいの?まぁ真夜がいいならいいか・・・」
左官「黄月が待月の伴侶になったことクレアさんにご報告させていただきますね
卵の事も・・・きっと自分の事のように喜びます」
黄月「そ、そうかな?まだ実感がないんだか・・・」
ぴよ「卵が孵ったら否が応でも実感するんじゃないか?」
黄月「そうだな。クレアとその伴侶、子供によろしくと伝えておいてくれ」
るり「ちゃんと伝えておくよ!黄月も元気でね」
左官達は人里近くまで送ってもらうと黄月と別れた。勿論血を貰った後で、
やっぱり真夜が嬉しそうな顔をしていた
そしてクレア達と合流しタンジアへと戻った
その途中クレア達に数日間で起こったことを全て話した
でもやっぱり一番喜んだのは黄月が待月の伴侶になったこと
目を輝かせながら話を聞いていた
バルバレに戻る船に乗る時はクレアとジュンの協力を得てなんとかなった
こちらへ来る時は不安な顔しかしていなかった真夜
でも今は希望に満ち溢れた表情をしている
船が港へ後少しで到着するという時、真夜が左官達に頼みたいことがあると言ってきた
左官「頼みたいこととは何ですか?」
真夜「あのね、バルバレに向かう時に原生林に寄って欲しいの
そこで真夜のこと降ろして欲しいんだ」
るり「原生林に?どうして?」
真夜「ちょっとね、会いたい人がいて・・・必ず戻ってくるから、いいでしょ?」
原生林に会いたい人・・・というと思い当るのが一つしかない
しかし必ず戻ってくると言っていたので左官達も了承した
るりも絶対に戻ってくるようにと真夜に固く約束させる
そして港へ着くとすぐに馬車を手配し、バルバレに向かう
約束通り真夜を原生林で降ろすと自分達はそのままバルバレに向かった
バルバレに戻るとこの1ヶ月の間に何が起こったか情報収集にかかった
ゴア・マガラと戦うために準備を急ぐ左官達・・・・
一方その頃、原生林では・・・・
真夜『二度と・・・とは言っていないよ?剛雷さん、あの時はありがとう
剛雷さんの言う通りオルディーオに会って、母さんの気持ちを知れて良かった
ちゃんとお礼が言いたくてさ、本当に感謝してる』
ラージャン『・・・わざわざそんな下らんことを言うために来たのか?暇なヤツだな』
真夜『それだけじゃないよ!剛雷さんにお願いしたいことがあってね
・・・真夜を鍛えて欲しいだ。”廻る者”と戦うために・・・・』
真夜の本当の目的はお礼を言うことではなかった
ラージャンに自分を鍛えてもらうこと・・・しかしあっさり断られてしまった
ラージャン『・・・今のお前では”廻る者”に勝つことなど到底出来ぬ
さっさとお前を育ててくれているという人間の所へ帰れ』
真夜『そんなこと分かってる、でも戦う時に足手まといにはなりなくない
体が弱くても出来ることだってきっとある!精一杯やれることをやりたいの・・・
母さんの期待にも応えられるように・・・そのためにもお願いします!』
真夜の必死の頼みにラージャンは少し考えた
”廻る者”と相対すれば命を落とすかもしれないとも言ったが
真夜の気持ちは決して揺るがないものだった・・・
ラージャン『・・・俺はそういうことを教えたことはない。幼子相手の力加減も知らん。
お前に大怪我を負わせてしまうことも十分考えられる。
それでもお前は俺に鍛えて欲しいと言うのか・・・?』
真夜『剛雷さんがいいんだ、牙獣種最強の名を持つ剛雷さんに・・・』
ラージャン『・・・変わったヤツだなお前は・・・
いいだろう、ただし・・・死んでも知らんぞ?』
その日、原生林にはいつもより強い風が吹いていた
まるで何かを歓迎するかのように・・・
そして確実に”廻る者”、ゴア・マガラと戦う日も近づいていた
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