靴 カラーリング | rad-kensworks

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毎日に感謝
起業20年の靴修理人のブログです。

新年度になりました。

新しいスタートの方、違う環境でリスタートの方、色々な方が色々なスタートされる新年度です。

中にはスタートがまだ決まらない方もおいでかと思います。

皆さんがそれぞれにちょっとでも良い新年度になりますよう願う店主です。

 

さて、今日はカラーリングです。

カラーリングって色々なパターンがありますのでその中からいくつかご紹介です。

 

お手入れも行き届かずすっかりくたびれた状態のFerragamoのモンクストラップ。

およそ2年近く全くお手入れせずに履き倒すとこうなります。

ちょっと言葉尻がきついのは犯人が店主の息子だからです。

しかもこれは店主の靴。いつのまにか履きだしていたようで気付いたらこんな状態でした。

ガサガサになった表面を研磨して整えます。

浸透性の塗料を塗布後磨き上げて仕上げました。

息子に靴磨きを教えながら仕上げましたので今後はいくらか違うと思われます。

 

そしてお次は資材の問屋さんからの持ち込み。問屋さんのお客さんの修理ショップで傷にしてしまい補修しようとしてさらに悪化させた靴

車の傷のタッチアップみたいに簡単には直りませんので傷にしないよう修理して欲しいですね

 

お次は液体の靴磨きクリームを塗り倒して収集がつかなくなったスコッチグレイン

先端にスポンジの付いたとても便利なクリームなんですが、塗りすぎなのと塗ったあと磨かずに履いてさらに塗り重ねてしまったようです。

綺麗にしたかったのはわかりますがクリームは塗ったら余分なクリームを除去するためにしっかり磨きましょう。

元々の色の判別が難しかったですがタンの色を参考にカラーリングしています。

もちろん塗りすぎたクリームは全て除去し、極力薄くカラーリングしています。

画像だと単色に見えますが黄色味が強めのキャメルの顔料を塗布してから赤茶の染料、こげ茶の染料を別々に弱い霧状にして染めています。もちろん全て吹き付け塗装ですが革のデコボコな風合いを出すための行程です。

最後にクリアをかけて塗装面の保護。塗装だけで4行程かかりますがなんとか仕上がりました。

 

こちらはカラーアップ

上記のFerragamo同様に痛んでいましたがカラーリングでオリジナルに近い風合いになりました。

靴磨きだけでは中々元には戻りませんのでカラーリングしています。

磨くだけだと色の薄い所と濃い所の濃淡が残ってしまいます。かといって顔料でベタ塗りすると革の質感が無くなりますので

染料を浸透させて濃淡を消し、あとは全体をムラ無く磨き上げます。

顔料を使わないと後々靴磨きが普通に出来るので可能な限り染料を使ってカラーリングしています。

見た目が綺麗でも磨けないと結局靴の寿命が短くなりますので染料を多用しますができればこうならないよう日常のお手入れをしっかりしていただくことをお勧めします