レッドウイングといえばアイリッシュセッター
セッターと略して呼ばれますがアイリッシュセッターとは元々犬の種類です。
アイルランド産出の猟犬でレッドウイングのブーツに以前はその姿がラベルに刺繍やプリントされていました。
上の画像は復刻版のラベルですが店主はオリジナルのブーツをレストア中なのでじきにご紹介する予定です。
猟犬ですが気性は穏やかで賢い犬のようです。お迎えしたい犬ですが成犬だと30キロを超えて体高も70㎝と大型なのでお散歩ではなくドッグランで走らせる必要があるらしくなかなか難しいかもしれませんね。
そのアイリッシュセッターを描いているのはレッドウイングが元々狩猟に使うブーツとして普及していったからなのですがポスターにもなっています。
当店にも置いてあります
そのアイリッシュセッターで人気なのが定番の#875と#8875です。
この2つは色違いなのですが#875は薄茶、#8875はレンガ色みたいな違いです。
年式により色味が違いますが革の質も違っていて#875はオイルレザーでほぼ生成のような仕上げ、#8875は着色されて表面が硬めです。黒系も同じですが汚れにくく使い勝手の良い革です。
磨き込むと濃くなっていく#875と違い#8875は日焼けで退色してしまうのでお手入れの仕方も違ってきます。
またいつも通り枕が長くなりましたが本題はここから...
今回のお預かりは通常の白いトラクショントレッドソールからビブラムソール#100にカスタムです。
カスタムの定番です
ミッドソールを外し内部のクッションコルクを抜いてシャンクプレートを固定してからクッションコルクを交換します。
画像は別の靴ですがレッドウイングはヒール別体のブーツ以外はこのプレートが入っていないので追加は必須です。
ミッドソールを外さずカスタムしてしまうショップもよく見受けますがこのプレートが入っていないと後日土踏まずが下がり、そのまま履いていると真ん中でくの字に折れてしまいます。
このプレートをホットメルトで固定してからコルクを充填していくのでブーツはしっかりと使えるようになります。
画像はわかりやすくするためにスチールそのままですが実際はナイロンテープでプレートをくるんで固定します。ナイロンテープなしだとコルクとなじみが悪いのと後日スチールが錆びてしまうのでサビ止めも兼ねてナイロンテープでくるみます。
そしてトップソールは硬化剤を混ぜるスペシャルボンドで圧着固定しますがヒールは力がかかるので釘留めします。
釘は中床まで伸ばして固定しますので中床に出てしまいますので上から中敷きを追加して足触りを良くしています。
釘は先端を潰していますが希に靴下に障る場合があるので念のため。
カスタムは色々見えない部分に手がかかります。
そして仕上げでもう一工夫。
ビブラムソール#100には同じ番手のヒールがありますが当店は黒のみ#1100というヒールを使用します。
左が#100 右が#1100です。#1100の方が彫りが深くワイルドなので当店は#1100を使います。ワイルドにするならとことんワイルドにしたいので。
ソールとのマッチングはぜったいこっちの方がいいと思いませんか?
修理ってショップによって異なります。
修理に正解は無いのでどれだけこだわれるかが大事なポイント。当店はこだわり続けて20年。こだわるから20年続くのかと思っています。
こだわりといえばもう1つ
先程記述しましたが#8875は退色してしまいます。なので若干色を入れながら磨いて仕上げますが各所のステッチを汚さないようにひと手間かけて磨いています。
特にグッドイヤーウエルト製法で縫製した糸や甲のモカシン糸はマスキングはマストです。白い糸が白いままになっていると引き締まって見えますから面倒ですがマスキングします。テープも1ミリ、2ミリ、9ミリを使い分けて仕上げます。
面倒ですが仕上がったブーツをお渡ししたときのお客様の笑顔でリカバーされちゃいます。
いつも笑顔ってホント良い物ですね
あと2日バリバリと頑張ります