最近アイリッシュセッター系全般より人気の高まっているベックマン
ちょっと前のモデルはラバーのハーフソールが加水分解してしまってボロボロになる物があり、当店でもチョコチョコとお預かりしています。
今日のお預かりは加水分解はしていませんがすっかり磨り減ってしまっています。
ベースのレザーも傷んでいましたのでそっくり交換になりました。
ベックマンは通常のワークブーツとは異なり3mmのレザーが2段重ねで作られていて、独特の雰囲気になっています。
そこで交換になりますがミッドソールがパルプ系の集成材を使っているので再使用は基本NGです。
集成材なので縫製のステッチ穴からポロポロと崩れますので当店ではそこもレザーで交換です。
トップのレザーも交換しますがミッドソール、トップソールとも3mmのレザーですがトップは硬すぎないようベンズではなくショルダーを使っています。
ベンズはいわゆる背中のど真ん中、ショルダーは文字通り肩です。食べるお肉のように革も部位により使い道が分かれていてベンズはレザーソールやベルトなどに使う硬めで目の詰まった部位です。
ベックマンはダブルソールなので硬くすると履き心地の低下に繋がりますのでここは拘ってショルダーをチョイスします。
ストアインのショップやブーツを知らないショップに頼むと普通にベンズの5ミリのソール1枚で仕上げてしまいがちですが全く履き心地が違ってしまいます。
今回はオリジナル風ではなくビブラムソール#705でのご依頼なのでブロックパターンの#2333は使わず厚手の#705で仕上げますが同時にヒールにもレザーの積み上げを足しています。#705は#2333より3mm弱厚いのでヒールも足してあげないとバランスが悪くなるんですね。
同じブロックパターンのダイナイトソールを取り付ける場合も同じでバランスを考えないと履き心地も耐久性も悪くなります。
外見だけの修理をするショップ、靴を理解していないショップはバランスも考えずヒールはそのままで仕上げてしまうのでお気を付け下さい。
そして完成はこんな感じ
いつも通りソールは溝掘りをして縫製糸を落としています。ひと手間かかりますが重要な手間です。ソール面の糸は松ヤニをコーティングした糸で縫製しています。
何となく営業しているショップには気付かない事を当たり前にやっているのがケンズワークスです。
踵の白糸が目立っていますがここはレッドウイング全般でよく痛んでいる部位なのでついでに縫製してお渡ししました。