長澤まさみさんと森山未來さん主演の『おどる夫婦』を観ました。
なんとなく結婚したキヌとヒロヒコの10年間(2010年〜2020年)を描いた物語です。この10年には、東日本大震災、御嶽山の噴火、熊本地震、九州豪雨、そしてコロナパンデミックなど、多くの災害や危機がありました。日本に限らず、世界中で自然災害やテロが起こっていた時期でもあります。
ここからは作品の内容に触れます。
公式サイトでは、以下のように紹介されています。
とある夫婦の約10年間の軌跡を描く。
現代社会では非常に生きづらい性質を持っている夫婦。
故に二人は何となく協力するようにつがいになり、粛々と生活することを好んだ。
口にしたことはないが、自分たちのことを理解できるのは自分たちだけで、 互いに相手を理解していると思っていた。
しかし、世界は向こうから入り込んでくる。
共に生活する中で、やがてほころびが生まれたり、ズレが生まれてくる。
不器用な二人は、問題を上手く回避したり、解決するのが苦手であった。
ただ、世界に対してこの言いようのない焦燥感を理解できるのは、伴侶だけであると互いに信じている。信じようとしている。
二人にはわからない。自分たちは何で繋がっているのか。信頼とか絆とかよくわからない。愛がよくわからない。
そんな不器用な夫婦の10年の記録。
この紹介文を後から読んで、「そうか、二人は相手を理解しているつもりだったのか」と、ちょっと驚きました。観ている最中の私は、そうは感じなかったからです![]()
私は女性ということもあって、物語をキヌの視点から観ていたように思います。
母親とうまく折り合えず、不器用に自分の正しさを求めて生きるキヌ。
「嘘をついて生きているから幸せになれない」というキヌのセリフには深く共感しました。
けれどその一方で、彼女が他人の「幸せじゃない気持ち」には少し鈍くなっているようにも思えて。
母親にあれこれ押し付けられて反発しているのに、無意識のうちに、夫のヒロヒコにはそのミニ版のような押し付けをしてしまっている。そのことに彼女自身が気づいていない。そこに夫婦関係がほころびていくリアルさを感じました。
登場人物の多くが、「何か」と戦っています。自分を守るために必死で、無自覚に誰かを傷つけている。けれど、何かには勝てず負けたような気持ちになっている。そんな姿がとても人間らしいのです。
なんとなく結婚し、深く夫婦という関係に向き合ってこなかった二人。いろいろあって、10年経って、初めてその関係に向き合うことになるのですが、これからの二人がどうなるかは劇中では描かれません。
ラスト、キヌのセリフ(これが素晴らしいのです!)のあとに訪れる暗転の瞬間、
暗示されない二人の未来、(今度は幸せになるのか、はたまた同じことを繰り返すのか・・・)に想いを馳せました。







