7月にお芝居を3本(4公演)観ました。
たまたま重たいテーマが重なったので、楽しい観劇だけどしんどくもありました。
①『カッコーの巣の上で』
松尾スズキが笑いと痛みで鮮烈に突きつける、人間賛歌の物語。
ここでは絶対権力を持つ看護婦長ラチェッドによる指揮のもと、入院患者を監視・統制している。そんな精神病院に、陽気で破天荒な若い男が入院してきた。男の名はランドル・P・マクマーフィー。マクマーフィーは刑務所の強制労働から逃れるため、精神異常を装っていた。
患者の人間性までも統制しようとするラチェッドの管理体制に反発するマクマーフィー。そんな彼の行動や言動は、それまで無気力だった入院患者たちに生きる気力を与えていく。
ある夜、マクマーフィーは女友達を病院に連れ込み、パーティを催し、今まで吃音のせいで女性経験がなかった入院患者のビリーに女友達をあてがう。ところが、その乱痴気騒ぎをラチェッドに知られてしまい・・・・。
病院内にいる人と、病院外にいる人の境界はどこにあるのか?
ラチェッド婦長を筆頭に、外にいる人たちが中にいてもおかしくないとも思える。
精神異常とは何をもって判断されるのか?
難しい!
出演していた皆川猿時さんが、「ジャック・ニコルソンの顔が怖くてこの作品を敬遠していた」とコメントを出しているのですが、私もです。映画は怖くて見れないので、芝居ならと観てきました。
②『華氏マイナス320°』
作家 レイ・ブラッドベリが1953年に発表した『華氏451度』はディストピアSF小説だったが、この『華氏マイナス320°』なる戯曲は、野田曰く……「正しくない科学に基づいた、正しくないSF(サイエンス・フェイクション)」 ……だという。
舞台のはじまりは、とある化石の発掘現場。そこでは久しぶりにさまざまな化石の骨が次々と発掘されるものの、発掘チームは目もくれない――そう、彼らが捜しているのは、「謎の骨」なのだから――この「謎の骨」の「謎」をめぐって、物語は現代から中世、さらには古代をも往還していく。果たして「謎の骨」の正体とは……?
ハーメルンの笛吹き男の話をモチーフとして、優性思想、障がい者を扱ったお話。
事件が起きてからちょうど10年をむかえた相模原事件を思い起こす表現もありました。
東京と大阪と2回観ましたが、2回とも深津絵里さん演じる耳の聞こえない女神が、生まれた子が耳が聞こえないと分かって言うセリフにひっかかりました。
私はこの何も聞こえない世界のすばらしさを知っている。もしも耳の聞こえる子が産まれたら、私はその子にどうやって、この何も聞こえない世界のすばらしさを伝えられただろう。
自分が生きる世界が素晴らしいと思うことは、誰もが思っていいことです。
このセリフに引っかかる自分に、常は隠している偏見を自覚します。
本戯曲は、雑誌新潮の6月号に全編掲載されています。ぜひ読んでいただきたいです。
③『死の笛』
安田顕が“奇跡”と称した座組みは今回も健在。
脚本は、数々の話題作を手がけ国内外で評価される日本を代表する脚本家・坂元裕二。
演出は、緻密な演出でドラマ・映画のみならず舞台でも多くの名作を生み出してきた演出家・水田伸生。
両者が創り上げる世界で、実力派俳優の安田顕と林遣都が互いに呼応しながら圧巻の芝居で物語を紡ぐ。
2年前にチケットが当たらず、観ることができなかった演目。
今回2回観てきました!
戦争と再生医療(再生科学)をテーマにしたお話でした。
全公演終わっているのでネタバレします。
戦場の炊事係として働く敵同士の二人芝居なのですが、二人はゾンビなんです。すでに戦死しているのです。だけど、戦場の労働力としてそれぞれ復讐心と恋愛感情を働くモチベとして組み入れられて生き返らせれているのです。それも何十回も!
お話なので当然それを考えてやった人たち、(科学者なのか、お国のえらいさんなのか知らないけど)の思惑通りにはいかないわけで、人間の考えることのアホさを感じる舞台でした。
この戯曲も書籍化され、河出書房より出版されています。
ご興味のある方はぜひどうぞ。
3本ともに、演者さんが素晴らしかったです!
①でラチェット婦長を演じた江口のり子さんの怖さは飛び切り抜けてました。
②の主演、広瀬すずちゃんと阿部サダヲさんの身体能力すごい!
なんで、そんな動きできるねん!!
③の冒頭、ひと言もセリフを言わず、ただバケツで水を運んでキャベツ持ってくるだけで、なんで涙と鼻水流しながら泣けるん、安田顕さん!?
素晴らしい演者のみなさんのおかげで、メチャメチャ考える時間となりました。
※作品の紹介文は、それぞれの公式ホームページより引用しております。

