●概要
一等無人航空機操縦士講習とは、登録講習機関に登録したドローン教習所で実施する無人航空機操縦者技能証明(ドローン操縦士ライセンス)取得に対応した講習です。講習を修了すると「指定試験機関」が実施する「無人航空機操縦士試験」での「実地試験」が免除されます。今回は経験者コースで受講しました。
等級:一等/二等
受講料:221,100円(税込)
受講期間:学科9時間/実技10時間(3日間)
修了審査:減点式採点法 80/100点以上で合格
場所はJR常磐線「友部駅」から送迎車で10分、ドローンビジネススクール茨城にお世話になりました。ニ等無人航空機操縦士技能証明書(画像㊨)
●無人航空機操縦士とは
日本ではこれまでドローンに関して民間資格が存在していましたが、2022年12月5日より国家資格である「無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」が開始されました。国家ライセンスを取得するには国土交通省指定機関にて「学科試験」、「実地試験」、「身体検査」の合格 が必要となります。国家ライセンス取得には、二通りの方法があります。
①「学科試験」「実地試験」「身体検査」を指定試験機関で受験し取得する
車の教習所で例えると、免許センターの一発試験に相当します。
②「学科試験」「身体検査」を指定試験機関、 「実地試験」を登録講習機関で受験し取得する
●資格取得までの流れ
1.技能証明申請者番号の取得
ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)にて、「技能証明申請者番号」を取得してください。一発免許でもドローンスクールに通う場合でも、まず最初に技能証明申請者番号を取得します。
2.学科・実地講習を受講
ドローンスクールで、取得を目指す資格に応じたコースを受講します。私はニ等無人航空機操縦士を<初学者コース>、一等無人航空機操縦士を<経験者コース>で受講しました。
3.実地修了審査を受験
実地修了審査はドローンスクールで行われます。修了審査に合格すると指定試験機関での実地試験が免除になります。
4.学科試験・身体検査を受検
無人航空機操縦士試験(ClassNK)にて試験申し込みを行い、学科試験はCBT形式での受験、身体検査は書類受験または会場での受験を選ぶことができます。 その際、該当する手数料を納付する必要があります。
●学科試験
無人航空機操縦士試験(ClassNK)からの申し込み後、プロメトリックから試験日程の予約が必要です。
等級:一等/二等
試験方式:CBT(三肢択一式)
受験料:【一等】9,900円【二等】8,800円
試験時間:【一等】70問/75分【2等】50問/30分
合格基準:【1等】90%以上【2等】80%以上
身体検査の受検方法は、書類受検と会場受検の2種類があります。書類受検では、運転免許証をスキャンまたはスマホで撮影したデータをアップロードすることで提出が可能です。
受験料:5,200円
必要書類:有効な公的証明書の提出(運転免許証など)
5.無人航空機操縦者技能証明書の交付申請
全ての試験に合格後、国土交通省航空局に対して、無人航空機操縦者技能証明書の交付申請手続きをドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)にて行ってください。 その際、該当する手数料(3,000円)を納付する必要があります。
6.無人航空機操縦者技能証明書の取得
無人航空機操縦者技能証明書が郵送にて届きます。
●一等無人航空機操縦士講習カリキュラム
学科講習:9時間
・無人航空機操縦者の心得
・無人航空機に関する規則
・無人航空機のシステム
・無人航空機の操縦者及び運行体制
・運航上のリスク管理
実地講習:10時間
・マルチローター技能講習
・シミュレーター技能講習
修了審査:約1時間
実地試験(基本)は机上審査・口述審査・実技審査で判定されます。100点の持ち点からの減点式採点法とし、各試験科目終了時に、80点以上の持ち点を確保した受験者を合格とします。
【机上審査】(5点 × 4問)
【口述審査】飛行前点検(10点)
【実技審査】スクエア飛行 / ピルエットホバリング / 緊急着陸を伴う8の字飛行(5点、1点、一発不合格あり)
【口述審査】飛行後点検(5点)
【口述審査】飛行記録(10点)
【口述審査】事故又は重要インシデントの説明(基本のみ)(5点)
【口述審査】事故等発生時の処置の説明(基本のみ)(5点)
一等無人航空機操縦士は、ドローンを「人の上」で飛行させることを許可する国家資格です。この資格を取得すると、カテゴリーⅢ飛行、つまり立入管理措置を講じない特定飛行を行うことが可能になります。これまでにドローンのライセンスを取得されている方については「経験者」となり、受講内容と試験内容、受験費用が大幅に軽減されます。私は二等無人航空機操縦士(初学者コース)で取得してから、一等無人航空機操縦士(経験者コース)を受講しました。各ドローンスクールで様々なコースが用意されているので、ご自身の操縦経験と照らし合わせて最適のコースを選ぶ事が、資格取得のための最短ルートともいえると思います。
●実技試験の練習方法
【ドローンのご紹介】
私はDJI Phantom 4 Pro+ V2.0を所有してます。 この機種のメリットは送信機のスイッチ1つでA:ATTIモード(手動操縦モード)に切り替える事が可能です。 無人航空機操縦士(ドローン国家資格)の実技試験ではATTIモードでのフライト技術が必要となるため、オススメです。
【RealFlight Evolutionのご紹介】
ドローンの操縦を上達させるには繰り返し練習するしかないのですが、一方で練習時間というのは限られてしまうと思います。そんな時に便利なのがパソコンで操縦練習が可能なフライトシミュレーターです。 実技試験で必要なATTIモード(Altitude Hold)での練習もできます。
●感想
2022年12月5日より国家資格である「無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」が開始されました。とはいえ、自動車のように免許を持っていないと運転できないというわけではありません。新設された制度が対象としているのは、あくまでもレベル4と呼ばれる「特定飛行」であり、それ以外の飛行は対象外となります。運行ルールに従って個人でドローンを飛ばすことは許可されているので、この点は注意が必要です。国家ライセンス(一等資格・二等資格)取得のメリットは、一部飛行申請の手続きが不要になったり、審査が簡略化されます。また、ドローン操縦の技術に対して、一定の信頼を得られるのもメリットです。今後は産業(ビジネス)分野のシェアが拡大すると見られており、その動向に期待がかけられているドローン業界。もし将来、ドローンを使った仕事に就きたいと考えているなら、無人航空機操縦士講習を受講してみてはいかがでしょうか。