概要

作業環境測定士とは職場における有害物質などの測定を行うことで、その環境改善を図ると同時に労働者の健康を守ることも主な職務としています。作業環境測定士には、デザイン・サンプリング、分析(解析を含む。)のすべてを行うことができる第1種作業環境測定士と、デザイン・サンプリング、簡易測定器による分析業務のみができる第2種作業環境測定士の2種類があります。

試験級:第1種/第2種

受験料:【第1種】10,600円~27,100円(選択1科目~選択5科目+共通4科目)【第2種】11,800円(共通4科目)

受験資格:労働衛生の実務経験がある者など(詳しくは、HPをご覧ください)

合格率:【第1種】69.0%【第2種】35.8% ※令和3年

試験日程:【第1種】8月【第2種】8月、2月

資格取得の流れ

国家資格である作業環境測定士になるためには、まず資格取得試験(国家試験)に合格する必要があります。さらに、合格者は法令で定められた登録講習を受講し、厚生労働大臣の指定を受けた「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」へ申請・登録することで、はじめてその資格を取得することができます。

講習の種類

この登録講習は、第2種測定士をめざす方のための第2種講習(共通科目)と、第1種測定士をめざす方のための第1種講習(共通科目+選択科目)の2種類に分けられています。また、第1種講習の選択科目はさらに5科目に分けられています。ただし、第1種測定士をめざす方も第2種講習(共通科目)を先に修了することとなっておりますので、必ず共通科目を先に修了させて下さい。第2種講習(共通科目)は3日間の講習、第1種講習の選択科目は各科目について2日間の講習です。今回、私は第1種作業環境測定士登録講習[金属類]を受講しました。

受講料:79,100円(税込み)+テキスト代1,760円(税込み)=80,860円

受講資格:作業環境測定士試験 合格者など

受講時間:2日間 全13時間

修了試験:学科試験と実技試験により実施します。

修了証:修了試験に合格した方に後日郵送で交付します。

登録申請料:第2種→第1種 手数料3,450円+登録免許税33,000円

 

場所はJR「田町駅」より徒歩8分 三田労働基準協会ビルでした。参加者は24名。

カリキュラム

□学科/実習 13時間/2日間

<1日目> 

・講義「分析機器の取り扱い上の注意」<9:15~11:15>
・原子吸光分析法による鉛の定量分析「有機溶媒抽出法」<11:15~16:45>

<2日目> 

・原子吸光分析法による鉛の定量分析「直接法」<9:15~12:15>

・吸光光度分析法によるクロムの定量分析「液体捕集法」<13:15~15:00>

・実技試験<15:00~16:00>

・学科試験<16:00~16:30>

 

講習は座学から始まり、直接法および抽出法により作成した検量線より、試料液の濃度をそれぞれ求め、環境空気中の濃度を算出し、最終日に学科と実技の試験があります。1日目の午後から計算及びレポートの作成があり、2日間で計3回のレポートを提出します。作業環境を評価するための分析、計算の過程で関数電卓を使います。講義中は電卓の使い方は教えてくれませんので、これらが出来るようになってから登録講習に参加された方が良いと思います(計算方法)。また、この登録講習は他の講習とは違い、学科試験で出題されるポイントは教えてくれませんので、講習全体を通してしっかり聞き逃さないようにしましょう。実技試験が不安な方は「作業環境測定実技基礎講習Cコース」(27,000円)というものを事前に受講しておくと,修了試験のうち実技試験が免除されます。(画像㊨)

修了試験について

修了試験は筆記試験と実技試験により実施され、それぞれ70点以上が合格となります。実技試験<15:00~16:00>は、原子吸光分析法と吸光光度分析法の中から出題されます。実習で学んだ手順を、説明しながら試験官に実演しますので、講義中の注意点を聞き逃さないようにしましょう。学科試験<16:00~16:30>は○×形式の問題が大問1と大問2に、大問3が計算問題の合計で20問です。この登録講習の学科試験は第1種の国家試験より難しい試験です。私は昨年の12月5日に不合格(画像㊧)になっていて、今回で2度目の受講です。受講料が高く難関試験という事もあり、ここで対策について詳しく解説したいと思います。

1、再受講料:33,000円(税込み)

2、再受講は、1年以内の期間に1回に限り有効です

3、再受講する場合のコース ①全時間受講コース、②2日目受講コース、③計算演習レポート作成コースからお選び頂けます。(画像㊨)

対策

日本作業環境測定協会が行う登録講習は全部で4つ(放射性物質以外)。その中でも一番難しかった登録講習は金属類です。私が難しいと感じた順番に並べると、金属類>有機溶剤>特定化学物質>鉱物性粉じんです。もし、これから初めて受講を考えてる方はできるだけ難易度の低い講習から受講することをおすすめします。登録講習に向けての予習についてですが、「作業環境測定のための機器分析の実務」や「作業環境測定ガイドブック[金属類]」(画像㊦)が販売されてますが、正直これはやらなくても修了試験には影響ないと考えてます。テストの内容は全て、講習初日に配られるテキストとレジュメから出題されるからです。

対策①

・学科試験の○×形式の問題ではテキストとレジュメだけではなく、<1日目> の講義「分析機器の取り扱い上の注意」の講師が口頭で説明した内容から5問くらい出題されました。講師の説明は一字一句メモをしましょう!

対策②

・計算問題は最終問題で5問ありました。内容は全て、3回のレポートから難しい組み合わせて出題されています。この修了試験は70点以上を合格としていますが、計算問題は100%できないと合格は無いと思って下さい。

対策③

・3つあるレポートの中でも、特に「原子吸光分析法 鉛(有機溶剤抽出法)実習レポート」の計算は繰り返し練習しておきましょう!スマホ

感想

なんとか合格ラインには達したかなという感じ照れ。作業環境測定士とは、労働者の職場などの作業環境における有害物質を作業環境測定法に基づいて測定し、労働者の健康を守るための業務を行う国家資格者です。この資格があると、作業現場の有機物や放射線などの測定、分析を行うことができます。その結果をもとに作業環境測定士は事業所や工場、工事現場、病院などの働く人たちの作業現場などに対し、作業環境を改善するためのアドバイスを行います。作業環境測定士になるためには資格取得試験を受ける必要があります。またその試験に合格後、さらに登録講習を経たうえで厚生労働大臣の指定を受けた「安全衛生技術試験協会」へ登録し、はじめてその資格を取得することができます。認知度は低いですが、労働環境の場ではたくさんの作業環境測定士が日々測定、分析を行っています。あなたも作業環境測定を通じて環境改善をサポートする作業環境測定士を目指してみてはいかがでしょうか。