長いので、赤字のとこだけ読んでくれれば大丈夫です。

 

 

 

 

 前編では、私の過去を語ってきた。今の私の歪んだ人格は、だいたい前編に起こった出来事のせいだと思われる。

 

 今回はだいぶ時を飛ばして、高校3年生~大学1年生、つまり現在の話である。

 

 小学生の頃と中学生の頃も、まあ色んなことがあり、両親との仲はすっかり険悪になった(ちなみに、小学生の頃に一緒に住み始めた父方の祖父母は、私が中学生の頃に家を出ていった)。

 

 私と両親の歯車は、まったく噛み合わない。私も両親もストレスMAX。まるで後期のビートルズのように荒んだ雰囲気である。

 

 

 

 私がここまでボロボロになってしまった理由は、おそらくロックにこだわりすぎたからだ。大学受験のときでさえ、ロックのことしか考えていなかった。

 

 両親は、こう忠告してくれたのに。

 

大学受験はまどかに合ってないと思うよ。全然 勉強しないし、人と関わるのも苦手だし

 

 なのに、私はこう言った。

 

「やだ、受験する! 私は何かを成し遂げて、どこかに行きたいの! それに上を目指すってロックでしょ? だから上の大学を目指すの。勉強はしたくないから、AOだけで受験する」

 

 それに、親に反抗したい気持ちもあった。それまで勉強なんかしたくなくて、受験も絶対したくなかったのに、「合ってない」と言われたとたんに やりたくなった。

 

 両親は分かってくれて、お金を払ってくれた。父は、大学に提出する論文を書くのを手伝ってくれた。通っていた塾も、AOのことを色々と教えてくれた。

 

 両親はいい両親だ。特に、父はいい父親だ。幼い頃は厳しすぎる父が嫌いだったけど、それは父の良いところでもある。

 

 けれど、父への思いは複雑で、今でも心から大好きと言えない

 

 このように、私は両親の忠告を聞かずに、大学へ行った。だからこうなってしまった。

 

 

 

 以下は、私が両親に渡した、『今のやるせない気持ちを紙に書き出したもの』である。☆が3つあるところから始まり、☆が3つあるところで終わる。

 

 

 

☆  ☆  ☆

 

目標①自分の力と意思で何かを成し遂げること

 

・母の「自分の力でやりなさい」という言葉→「やってるつもりなのに!」

 

・大学受験(AO)「私が受かったのは父と塾のおかげ。自分の力じゃない」

 

→大学へ来るたびに「私は自分の力で生きれない奴なんだ」

 

ノリと勢いで受験した自分に比べ、周りはきちんとした意思を持って入学してきた。そのことへのコンプレックス

 

 

 

目標②人の目を気にしなくなること。ただし、普通の人と気にし方が違う

 

普通の人「これしたら変って思われちゃうかな? 不良っぽいと思われちゃうかな?」

 

私「これしたら普通の人って思われちゃうかな? 優等生っぽいと思われちゃうかな?」

 

「ちゃんと人の目を気にしない人に見えてるかな?」と、常に人の目を気にしている

 

 

 

<逆学歴コンプレックス発動>

 中卒・高卒がカッコイイという考え

 

両親「成功者はどの道に行っても成功する。中卒でも大卒でも関係ない。中卒の成功者は家が貧乏とか特別な理由があっただけで、金があれば大学も行けてる」

 

 ↓

 

「本当の意味で学歴が関係ないなら、大卒でも中卒みたいにカッコよくなれるはず!」

 そういうことをテーマにした小説も書く

 が、やっぱり中卒カッコイイと思ってしまい、コンプレックス発動

 

 ↓

 

 こんなことを考えてる時点で、私はカッコイイ人にはなれない

 私はたとえ中卒でも大卒をうらやみ、大卒になったら中卒をうらやみ、

 どっちにしても何もしないんだろう

 

 ↓

 

 それがイヤだから、最近は学歴やコンプレックスのことを考えないようにするため、自分の意思でギターを買って…学校もなるべく楽しみ、なるべく文句を言わぬように…

 

 ↓

 

 しかし、

 

母「自分で考えてやりなさい」

 「文句ばっかり言わない!」

 

父「まどかは自分で考えてやってると思うよ」

 

 

私「パパが認めてくれても、お母さんに認められないと納得できない…

 

 自分の力と意思でやってるつもりだったけど出来てなくて?

 

 文句 言ってないつもりだったけど実は言ってて?

 

 学歴のこと気にしてないつもりだったけど気にしてて?

 

 え…私 なんもできてないの? もーなんかどーでもいーや…」

 

 ↓

 

 どーでもよくなったが、ギターの練習だけはサボらず諦めずやろうと決める

 (これをサボればとうとう私の価値はなくなるから。意地で喰らいつく)

 

 ↓

 

私「自分の力と意思で頑張ってると思ってたけど、お母さんには認められなかった。

 

 目標①が遠のいていく…

 

 お母さんからの評価を気にしてる時点で、目標②も達成できてないし…」

 

☆  ☆  ☆

 

 

 

 父に支えられ続け、母に認められない自分が惨めだった。その間にも、父が稼いだ金で暮らしていく。

 

 同時期に、「中退=ロック」という考えが浮かぶ。しかしその後、途中で何かをやめるのはロックではないのではないかという考えも浮かんだ。中退ってロックな感じしてたけど、一度決めた道を突き進むことこそがロックなんじゃ…? あれ、ロックな考え方ってなんだ? 少なくとも、こうやってウジウジ悩むのはロックじゃないよな…。ロックな人間になるには、体裁だけではなく、本当に心の底からロックにならなきゃいけないのに、私は「どうしたら世間にとっての『ロックな人間』に見えるだろう?」と気にしてばかりいた。本当のロックン・ローラーは、大学を中退しようが卒業しようがどうでもいいのだ。ただ、人の目を気にせず、自分の道を突っ走る。それこそがロックン・ロールなのに、私はひどい勘違いをしたまま、ここまで来てしまったのだ。

 

 ロックに憧れて他人の目を気にしてる私なんかより、たとえばロックに微々も興味を示さず自分の人生を生きてる人の方が、よっぽどロックだよ。

 

 ロックになれない自分。このことは、私にとってひどいコンプレックスとなった。

 

 学歴に悩むのは、自分に関することだけではない。妹の中学受験のことを考えるのも、イヤでイヤでしょうがない。

 

 そう、両親は、妹を中学受験させるかで迷っている。そして私は、絶対反対だ。その理由には、私のワガママも含まれている。

 

 

 

○妹の中学受験がイヤな理由

 

・自分は小学生時代、勉強を怠けてきたのに、妹に頑張ってほしくない。妹に、自分より賢くなってほしくない。

 

・妹は断れないタイプだから、「受験したくない」と思っても、それを言えなさそうで怖い。

 

『アルジャーノンに花束を』を読み、高い知能と幸せは比例しないのだと強く思った。「賢い人は、そうでない人を見下す」という、強い固定概念があった。妹に、そんな人になってほしくない、と。

 

・妹は確かにあまり勉強してないけど、習い事をすごく頑張ってるし、工作が趣味で、いつもすごい作品を作ってる。勉強なんかより、自分で何かを作る方がずっと大事だ。おまけに成績も悪くないから、今のままでいいはずだ。

 

・自分が小学受験をさせられたことを知ったときショックだった&引っ越しでみんなと違う学校に行くことになって寂しかった。それなのに、妹にまた同じことさせる気? 何年後かに、妹が私と同じように、受験させられたことをショックに思ったらどうすんの? みんなと違う学校に行って、寂しくなったらどうすんの? 私でさんざん失敗したじゃんかよ。第一子は失敗作だっただろうが。第二子でも同じことする気かよ。

 

 

 

 もう1つムカつくのは、父が何度か「妹の中学受験、どう思う?」と聞いてきたことだ。私はそのたびに反対だと伝えてきたのに、まるで聞かなかった。結局、父にとっては自分の考えだけが重要なのだ。なら最初っから聞くなよ。

 

 まあそんな感じで、最初は父が妹の中学受験を言い出し、母がそれに賛成する形だった。だが今は、父が「やっぱり受験させる必要ないんじゃないかな」と言い、母が受験させたがっている。私は父と意見が喰い違うのはなんとも思っていないが、母と喰い違うのは悲しい。小さい頃、母は私の1番の理解者で、父に怒られているときも庇ってくれたから。