Aさんには奥さんと子ども(B、C、D)が3人います。
Aさんは3人の子どものうち、病弱な末っ子のDさんを受取人とする生命保険に加入していました。
そのAさんが先月がんで亡くなりました。
Aさんの相続人は、奥さんとお子さん3人の合計4人となります。
民法で決められている法定相続分は、奥さんが2分の1、お子さん3人がそれぞれ6分の1となります。
遺産は預金6000万円のみでしたので、相続分は奥さんが3000万円、お子さんが各1000万円です。
現行の税制では、5000万円+法定相続人数×1000万円までは相続税はかかりませんので、この相続においても非課税となります。
しかし、Dさんの兄B、Cは、 「Dは父さんの生命保険の保険金を4000万円貰っているので、それも遺産分割の対象に含めなくてはおかしい。」 と言い出しました。
さてDさんは、このB、Cの言い分どおりに保険金を遺産分割に含めなくてはならないのでしょうか?
答えは、「この生命保険金は遺産分割の対象に含まれない」 となります。
相続財産には、亡くなった方の不動産、動産、現金、預金、有価証券などのプラスの財産と借金などのマイナスの財産が有ります。
でも、受取人が特定された生命保険金や死亡退職金は、受取人の固有財産となり、遺産分割の対象にはならないのです。
ですから、Dさんはふたりの兄の主張どおりに、受取った保険金を相続財産として分割する必要はないのです。
ただし、生命保険金や死亡退職金はそれぞれ500万円×法定相続人数を控除した残りは、みなし相続財産として相続税の対象にはなる(相続税が発生する場合)ことはおぼえておいてください。
今後相続税の基礎控除の金額が低くなる方向ですので、今よりも相続税が発生するケースが増えることは間違いありません。 相続財産に不動産が多い場合など、相続税の支払が難しいケースもやはり増えるはずです。
今から生命保険などを活用した相続対策を考えておくことは、とても有効ではないでしょうか。