「こんにちは~ ちょっとお話ししていいですか?」
オバチャンにロックオンされてしまった。早く戻って昼寝をしたいので素っ気なく答えよう。
「すみません、あまり時間ないんで」
「今日は新人の夢咲をご紹介しようと思いまして」
ん? ふと顔を上げると、いつもオバチャンの隣に22歳くらいの女性が並んでいた。まだあどけない細面にポニーテール、均整の取れたスタイルをライト・グレーのスーツに包んでいた。かすかにシャンプーの香りがする。
オバチャン、そう来たか。男子行員を夢咲さんで攻略する作戦だ。
「昼ごはん食べたらすぐ仕事に戻らないといけないんですよね」と、できるだけ面倒くさそうに答えた。
「お忙しいところ申し訳ありません。きょうはこのアンケートにだけお答えいただけますか? お礼に当社のクリアファイルとボールペンを差し上げています。
勤務先の電話番号をお書きいただけましたら、後日予定をお伺いしまして、ご都合の良い時間にお伺いさせていただきます」と夢咲さん。
まだ慣れないのだろう。ところどころ突っかかりつつ、頬を紅く染めながらお願いされたら、ノーとは言いにくい。断るつもりだったアンケートに答えてしまった。
若い娘と地頭には勝てない。
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