鑑賞日記 悪は存在しない | 東大阪市 弥刀 大蓮 美容室R-cubic  パーマ 手入れの楽なカット

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「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督と音楽の石橋英子による共同企画。自然が豊かな高原に位置する長野県水挽町で、自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送る巧とその娘・花。しかしある日、巧の家の近くでグランピング場を作る計画が持ち上がり……。第80回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞。

 

自然が豊かな高原に位置する長野県水挽町。東京からも近く、近年も移住者は増加しており、ごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧(大美賀均)とその娘・花(西川玲)は、自然のサイクルに合わせた、慎ましい生活を送っていたが、ある日、巧の家の近くでグランピング場を作る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が政府からの補助金を得て計画したのだが、彼らが町の水源に汚水を排水しようとしていることがわかり、町内は動揺する。そして、その余波は巧の生活にも及んでいき……。

 

濱口竜介新作。
タイトルで主張。それで観客を誘導。その方法は有効に機能している(と思う)。
宙ぶらりんにされた観客は、方向性を失いながらラストへと誘われる。
悪は存在するのだ。それぞれの悪が・・。

主人公が娘を迎えに行き、車で去るシーンがいい。
主人公の視線らしきカメラの次の動きに驚く。
そのカメラの動きは、ラスト近くでもう一度。今度は逆に動く。

この驚きのカメラの次のカットもいい。
横移動するカメラが主人公を追い、死角に入った瞬間娘が現れる。
デヴィッド・ロウリーをほうふつさせる。

そして、逆のカメラの動きの後には娘が去る。
固定カメラが、縦移動の主人公を見つめる。

ジム・オルークのギターをバックに林の移動シーン。映画は素晴らしいカットからはじまる。ラストでも、同様の移動カメラ。今度は月が出ている。
その長いカットを見ながら、「濱口は、ずっと前からこういうのをやりたいと思っていたんだろうな・・」と思う。

石橋英子の提案からはじまった彼女の演奏用の映像『GIFT』。
その映像の原本として作られた物語。
そのためか大胆だ。

一幕目は、タルコフスキーの映画でも見ているような空間映像。
何も主張していないのに、痛いほど伝わる。

二幕目で、物語は動き出す。
一幕目を執拗に見せられた観客。タイトルは『悪は存在しない』。心のやり場に困る。補助金目当てのプロジェクトはやっぱり許せない。

三幕目。
国のバカな政策(補助金)とコンサルタント。
悪は存在する。それは経済だ。
しかし、経済がなければ私たちは生きられない。
私たちは、すでにバランスを崩しているのだ。
グランピングの施設だけがバランスを崩す悪ではない。

そのグランピング施設の予定地で崩れたバランスの一つがが牙を剥く。
そして、起こるフィードバック。

バランスは崩れ、その連鎖が続いている。
この世界は終わる。連鎖の果に・・・・・・。

前作『偶然と想像』がとんでもない傑作だったがゆえに地味だ。
しかし、実に恐ろしいテーゼを静かに示した映画だ。
石橋英子は音を乗せていて楽しかったことだろう。
ジム・オルークのギターは最後まで不穏。そういう映画だからね。

とんでもない逸品が差し出された。
悪は存在しない。行動原理だけが存在する。
しかし、それを時に悪という。
    評論 岡本吏郎より 抜粋

 

池田感想

はじめての第7芸術劇場(十三)

十三は雑多な街で 面白い

映画は とても秀逸

ミクロではみんな 善なのだと思う

マクロでは 悪なのかもしれない

主人公のセリフ

「要はバランスなんだよ」が響く