審査を行ってくれるS氏は
トレガーアプローチを日本に紹介してくれた
第一人者である。
もともとはスピリチュアル系のエキスパートで
世界を飛び回っている。
その中で、トレガーアプローチに出会い
その魅力を知って、日本にも広めたいと思ったようです。
S氏は、知る人ぞ知る、有名人だが
少しも傲ったところがなく、
フランクで時にはブラックユーモアを飛ばす
とてもユニークな人だ。

さて、私のレベル2のレベルアップへのテストが始まった。
少々緊張しながらも、それなりにこなしたと思う。
S 氏は腕を組みう~んと声をつまらせ
「相手の体をあまり感じているようには思えない。一応、真摯に取り組んでいるように見えるので、これからステップアップしていくことに期待して、今回はクリアしたことにしましょう」と、大目にみてもらった。
とりあえずほっとして、家路に向った。

次回につづく。

伊勢志摩を最後の旅とし、
名古屋から飛騨線で富山に帰ることにしていた。
名古屋駅からの出発までには、
時間があったので、タクシーに乗り込み、
運転手の案内で名古屋見物をすることにした。見物と言っても、
車中からの見るにすぎないものだったけど。
車が走っていて、広さ、碁盤の目のように整備されている道路に感心されられた。

再び名古屋駅に戻った。
それでも時間がまだあった。
私たちは駅の構内を観察しようということになり、食堂街など見ながら、ぶらり歩いていた。
すると、制服を着た鉄道公安員に呼び止められた。
「どこから来たんだ。何をしているんだ」と
詰問された。
これまで旅をしていて、富山に帰るんだけど
列車の時間まで間があるので、
その辺を散策いていると言うのだが信じてもらえない。
どうも家出娘と思われたらしい。
私たちってそんなに田舎者にみえるのかしらと思い、憤慨して抵抗したが信じてもらえず
とうとう公安室まで連れていかれ
列車が来るまで、ここで待っていなさいと
言われた。
そこで頭をよぎったのが、もしや学校に通告されるのではという懸念。
指導部のお局ババアに通告されて、
私服でいったのがばれるのではないか❗と。
おとなしいY 子とK子は、不安で落ち着かない。
J子と私は、公安官に信じてもらえなかったこと、田舎者と思われたことが腹ただしく
抵抗を繰り返していた。
やがて、発車時刻も近づいてきたので
公安室を後にした。
公安員の人は「気をつけて帰るんだよ」と
優しい目をして送ってくれた。

列車は岐阜を過ぎて、しばらくしたら
周りには雪が積もっていた。
心なしか、寒さが柔らかかった。

未明に家路に着いて、少し眠って
学校に向かった。
今日は、私たち卒業生を送る謝恩会の日である。
会場が設けられた講堂には、
クラスメートが一同に集まり、異口同音に
今回の卒業旅行について感想を聞かれた。
どうも、他にも旅行に行ったグループが
旅行に行ったらしい。
その際には、指導部のお局様には
「気をつけて、行ってらっしゃい」としか言われなかったみたいだ。
私たちとのこの差は何なんだ❗
まー、私服で行ったことはばれなかったようだし、高校生活の最後を飾るには
いい思い出になったことは確かだ。

のちに、たびたび四人で会ったが
出てくるのはその時の卒業旅行の話ばかり。
他に話すことがないのかと思うほど
繰り返す私たち。
今では、会うこともなくなったが
私の大切な思い出。
思い出の引き出しをたまに引いて見るのも
いいものだと、しみじみ思う今日この頃です。


串本から伊勢志摩には
どのように行ったか、よく覚えていないが
途中から宿舎へはバスで向かった記憶がある。
と言うのも、そのバスには、珍しく男性の車掌さんが同乗していたのだ。
しかも、若くかなりのイケメン❗
私たちは、見とれていて、
おもわず降りるのを忘れてしまうところだった。 
そんなものだから、降りた際、
四人とも溝に落ちてしまった。
私たちは顔を見合わせて
笑わずにはいられなかった。
たが、辺りを見渡せば真っ暗。
ここからどう行けば、宿舎にたどり着くのか
検討がつかなかった。

途方に暮れていると、一台のトラックが止まった。
運転手が、中から
「どこまで行くの?」
「伊勢志摩のユースホステル」と言うと
「そこなら途中だから乗せて行ってあげるよ」
と言う。
私たちは迷った。もしやいかしげな人。
どこか知らない所に連れていかれるのでは。
でも、このままでは宿舎にたどり着けない。
夜も段々更けてきている。
最終的には、
四人だから大丈夫だろうと
いうことになって、乗せてもらうことにした。
乗ると言っても、後ろの荷台だった。
トラックは真っ暗な中、
どんどん山の方に登って行った。
やっぱり、よからぬ所へ連れ込まれるのか
と、私たちはますます心細くなった。
突然トラックが止まった。
どうしよう。と私たちは手を繋ぎ
怖さに震えた。
「着いたよ」と前で運転手が言った。
恐る恐る降りると、目の前に
ペンション風の建物が立っていた。
これこそ、私たちが夢に描いていた
ユースホステルだ❗
私たちは、これまでの恐怖は一瞬のうちに吹っ飛び、お礼もそこそこに宿舎に走っていた。
中に入ると、ペアレントと先客に歓迎され
食事も大層美味しかったのを覚えている。
その後の、くつろぎタイムも
みんなで歌を唱うなど、今回の最後の宿に
ふさわしい満足のいくものだった。
私たちは、ひさしぶりに気持ちのいい朝を迎えた。
高台に建つ宿舎の窓からみる景色も
あご湾を望み、爽快そのもの。
私たちは宿舎を後に、あご湾展望台まで登った。
展望台からみる景色は最高だった❗
複雑に入り混んだ海岸線。
ぼつんと浮かんだ岬と島々。
日本にもこんなところがあるのかと
私たちは、感動し、言葉もなかった。
荷物を置き、下にあった自販機まで飲み物を買いに降りていくことにした。
そうすると、2~3人が、私たちの荷物の辺りでうろうろしていた。
私たちは、もしや荷物が盗まれるのでは、
と思い、慌てて上に登った。
すると、彼らはその辺の景色を眺めている人に過ぎなかった。
私たちはバツが悪く、不自然に
景色を眺める仕草をとるしかなかった。
あぁ、昨夜とおんなじだ。
またもや私たちは顔を見合せた。
誰も何も言わなかったけど
四人とも、この時ほど自分たちを田舎者だと
自覚したことはなかったと思う。

次回につづく。