Sちゃんにレポートを翻訳してもらい
国際トレガー協会に提出した。
しばらくして、ライセンスが届いた。
私は、それを額に入れ、しばらく眺めていた。

いろいろあったから、感慨深いものがあった。 
だが、感慨に浸ってばかりいられない。
私はプロになったんだ。
これからは、プロとして顧客を獲得いなくてはならない。
さっそく、ライター時代に付き合いのあったグラフィックデザイナーに、HP 制作とDM づくりを頼んだ。
サロンは、とりあえずこれまで練習場にいていた和室を当て、自宅サロンとすることにした。

開店準備は、順調に進んでいた。

その時、なぜか背中に痛みを感じた。
その痛みは日ごとに増し
だんだん体もだるく感じるようになっていた。
開店を目の前にして、体調不良とは❗
なぜか不吉な予感が、頭をよぎった。

次回につづく。

私がトレガーに取り組んで様子を見て
ライター時代、一緒に仕事をしていたH 子が
トレガーに、興味を示し、
自分もトレガーに取り組んでみたいと
常々語っていた。
その彼女に、私は時折ボディのモデルにもなってもらっていた。

テストから帰り、
さっそく彼女にボディになってくれるよう
お願いした。
快諾した彼女の体を前に、ワークを始める。
「どう?」と尋ねる私に、
彼女は「う~ん。なんか私の体の思いが伝わっていないような気がする」と言った。

なに?
とまたしても問題を投げ掛けられた。
再度、H子の前に立ち
ワークを行う。
自分の感覚が誘導するまま、手を動かす。
ワークはとても気持ちよかった。
だが、それだけだったのだ。
私はH 子の体を観ていなかったのだ。
ただ自己陶酔に浸っていたに過ぎなかったのだ。

唖然とした❗❗

私は自分の思いに捕らわれすぎて
トレガーは、セッションだということを
すっかり置き去りにしていた。

トレガーを取り組み始めた当初は
ちゃんと相手を感じていたはずなのに。
知らないうちに私は
驕り高ぶっていたのかもしれない。
もっと謙虚にならなくては。

襟を正して、仕切り直すことにした。

H子もようやく、
私の体を感じてくれているのが、わかる。
と、言ってくれた。

S氏に3度目のテストを受けるために
彼の大阪事務所行きの準備に取りかかった。

その時、S氏から電話がかかってきた。
「Sさん、大阪飽きちゃった。Sさん宅へ行って、そこでテストいていい?」と言う。

突然のS氏からの要請に驚いたが
私としても、大阪に行く手間が省けるので
承諾した。
S氏を空港まで迎えに行き
自宅の和室に設けたセッションルームで
テストに望んだ。

終了後、S氏は
「まー、いいでしょう。合格としましょう」
と言ってくれた。

やった❗❗

その後、私たちは
富山で評判の寿司店で食事をし、
空港まで見送った。

後は、感想文を提出して
ライセンス取得の申請をしなくてはならない。
言うまでもなく、トレガーはアメリカに本部をおく協会だ。
当然、レポートは英文で提出しなくてはならない。
英語力がからっきしないない私は
レベル1で知り合ったSちゃんに翻訳をお願いすることにした。

次回につづく。




プロテストは、これまでのレベルテストとは
少々赴きを異にしていた。

レベルテストとは違い、もうレポートの提出は
必要なかった。
違うのは、モデルによる手技テストを
2回受けなくてはならないことだった。
しかも、そのモデルが審査するのは
国際トレガー協会が認定する審査プロ。
審査員が自らボディになって審査するのだ。
加えて、2回をボディとなって審査する審査員は、別の人でなくてはならない。

日本では、認定されているプロは
S氏ひとりだけ。

もうひとりの審査員は
アメリカからやって来た。
審査員は、アジアの恵まれない子供たちを支援する男性で、途中たまたま日本に立ち寄ったのを機会に、審査を引き受けたのだ。
テストは、私と私の一期前のT子さんのふたりだった。

まず、その男性(名前を忘れた)をボディに
T子さんがテストを受けた。
結果は、即答された。
彼女は、すんなり合格が言い渡せられた。

私は、これまでいろいろ紆余曲折があったものの、自分てはそれなりに努力してきたつもりだ。
練習も充分に行った。万全だと思った。
私のテスト結果も、即答だった。
たが、結果はノーだった。

意外な結果に、大粒の涙が溢れた。
納得がいかず、悔しくてたまらなかった。
即座に、その理由を尋ねた。

彼は外国人のため多くを語ることができないのか、それとも語る必要がないと思ったのか
微笑みながら、その理由は語ってはくれなかった。
ますます、納得がいかない。

次に、S氏の審査を受けた。
S氏は、日本人だ。しかもこれまで多くの審査を彼から受けてきた。
彼からなら、OK がもらえると確信していた。
しかし思いも裏腹に、S氏からの返事もノーだった。

なんで❗なんで❗

S氏は、「う~ん。なんか感じられない」
ということを言ったような気がする。
(内容については全く覚えていない)

それを聞いて私は「は~ん?」って感じで
まだ納得がいかなかった。

私の焦燥感と憤りを垣間見たS氏は
特例として、もう一度だけ
テストを行う機会を与えてくれた。

失意のまま、
私は、翌日帰途に向かった。

次回につづく。