一週間前から左脇が痛い。
どう表現していいか、わからないが
どこかで引っ張られるような痛みだ。
昨夜など手がもぎ取られるような
痛さだった。
鎮痛剤を3回も飲んだ。

翌朝回診の際、それを伝えると
痛い箇所を確認し、腕を組んだ。
「ひょっとしたらガンが
広がっているのかもしれない。
とりあえずCTを撮ってみましょう」
と言った。

午後3時頃、私は看護師さんに
車椅子で引かれ
CT撮影を行った。
撮影が終わり部屋に着いて
まもなく主治医がやってきた。
「やはりガンは脇の辺りまで浸潤していて
神経に触っているようです。
これからもっと広がり
あちこちが痛くなるでしょう。
緩和チームに相談して
今後の痛み解消ついて考えましょう」
と恐ろしいことを言う。

不思議なことに日中は
鎮痛剤が効いているのか
気が紛れているのか
それほど痛くない。
夕方、夜中、明け方に痛みが走る。

今日も夕食後、痛み出した。
あまりの痛さに寝ることにした。
夜7時頃に寝て、いま目が覚めた。
まだ9時半だ。
痛さが甦ってきたが
なぜかブログを書かなくちゃと思い
いまこうして書いている。

だんだん痛くなり、それが広がる。
と聞いて恐くなった。
これ以上痛くなるのか。
もう手も上がらなくなってきている。
手も上がらなくて
ブログを打つ指まで痛くなって
その時は書けなくなるかもしれない。
出来れば、その時まで
書き続けていたい。

前のブログでも書いた
A L Sのご主人を持ち、やがて亡くし
ひとりでガンと闘っている女性の
ことを話した。

いま、彼女はガンが再発して
私と同じ病棟の同じ階に入院している。
彼女は私を慕い、毎日電話をしてくる。
時には、日に何度もかかってきて
長電話になることもあって
正直閉口する時もあった。
でも、私は頼られているのだから
無碍にできないと思い
彼女の話に耳を傾けた。

一昨日、いつものように電話が
かかってきた。
だが、口振りがいつもと違っていた。
息を切らし、開口一番
奇跡がおきた‼️と叫んだ。
何事かと思い、よく聞くと
昨夜、眠っていると
友達たちが私の回復を願い
祈っている。
そんな彼らの後ろは光に包まれていた。
とその光景を話した。
後光か。
もっといろんなことがあったが
口では表現できないとも言った。

そして朝が訪れた時
立つことも座ることも困難だったのに
すっと立つことができて
トイレには車椅子に乗らないと
行けなかったのに
看護師さんの手を借りるものの
さっさと歩けるではないか❗️
もう嬉しくて嬉しくて
あなたに知らせずにはおれなかった
と言った。

彼女自身も言ったが、まさに奇跡である。
彼女は友達の祈りが光となって
私に届き、パワーとなって
私に奇跡を起こしたのだと
感動していた。

よくもうダメだと思われた
末期のガン患者が
ある日、突然ガンが消えていたという話は
よく聞くし、私の周りにそんな人がいた。

この世の中には、科学では証明できない
不思議なことは山ほどある。
科学でわかっていることなんて
ほんのちょっぴりで
わからないことの方が多い。

どこにでも天使が跳ね
どこにでも悪魔は潜んでいる。

それらは自分の心の中にも混在する。
もしや、心と天の神が
いつも交信しているのかもしれない。
そしてビンゴになった時
奇跡が起こるのかもしれない。

要は、日頃の心の持ち次第ということか。






長いこと入院していて、共同部屋にいると
いろんな人との出会いがある。
特に私のように血液系の患者は
空気清浄機がついた部屋が当てがわれる。
そのせいか、何度も同じ人と
同室になることがある。
そうすると、顔見知り同士
話す機会も増えてくる。

私は寂しがり屋で
それなりに人には嫌われたくないので
それなりに愛想を振り撒く。
言っておきますが、それなりに、です(笑)

いまお話しする方は
リピートの人ではないが
なんとなく、ほっとけない人だった。
きちんとしていて
はっきりものを言う人であった。
子どもが成人して
ご主人とふたりで静かに暮らしていた。
だが、ご主人は筋萎縮性側索硬化症になった。
通称ALSである。
つい先日、刑事事件にもなった
病気である。

彼女はご主人が難病ALSになって
自宅で介護をしていた。
だが、本人までがガンになった。
ご主人は施設に入られ
彼女は入院して
治療に専念することになったのだ。
私は神様はなんという仕打ちをするものだと
他人事ながら、身に詰まされた。
ご主人は痛いのと心細さで
毎日、彼女に電話をして
悲痛を訴えた。
時には死んでしまいたいと言い
殺してくれ‼️とまで叫んだ。
ご主人の気持ちもわかるけど
彼女も抗がん剤治療でヘトヘトになっている。
電話を切ると、すっかり疲れ
その後は思い悩んでいた。
その姿がとても愛しかった。

彼女が退院することが決まった時
私は、家の電話番号とケータイの番号を
書いたメモを渡し、淋しくなったら
電話したらいい。
私と話すことで紛れるなら
どれだけでも付き合うよ、と。

それから半年くらい経った頃
彼女からケータイに電話があった。
忘れていた頃の電話である。
ご主人が亡くなり
いま家でひとりで暮らしているという。
ひとりで暮らしていると言っても
体はすっかり衰え、介護の人の助けがないと
暮らせない状況だと。
あれほど主人の嘆きに悩まされていたのに
死なれたいま、こうもしてあげたかった
ああもしてあげたかった
と後悔しているという。

私はそんな思いも、経験も
したことがないけれど
そんなことを考える必要がないと言い
もしもっと長く生きられたら
疲れ倒して、あなたが
もたなくなってしまう。
こう言ってナンだけど
ご主人はいい時に亡くなられたんだと思う。
これからは自分だけのことを考えて
ノビノビ生きなくちゃ、と励ました。

そして、この機会に断捨離をして
スッキリさせて、心新たにした方がいい。
ついでに簡素にする死後のことも
考えておくといいよ
とハッパをかけた。

すると、なんということでしょう❗️(笑)
彼女は私の提案を取り入れ
捨てられるものは全部捨て
ついでに家の修理をして
スッキリさせたと言う。
気持ちまでスッキリしたと弾んだ声で
話してくれた。
私は提案したものの
私自身、断捨離が進んでいない。
恥ずかしい限りだ😅
死後のことも考えたらしく
すでに納骨堂に手続きを済ませていた。
いや‼️彼女の行動力は、アッパレである。

その彼女がまた入院した。再発である。
しかもガンは全身に転移しているという。
私も同様だが、えらくショックを受けていた。
彼女は以前から腰の骨が変異しており
歩くのが困難。
その上、皮膚がんにも侵されていた。
身体中が痛くてのたうち回り
それを鎮痛剤で抑えていた。

私は長い距離は歩けないが
10メールくらいのところなら
手すりを伝って、どうにか歩ける。
その距離くらいのところにいる
彼女の病室を訪れた。
彼女はぐったりして寝ていた。
私はそんな顔をみて、帰ることにした。
すると目を覚まし、私の顔をみて驚いた。
「えっ❗️大丈夫なの?」と自分のことより
私のことを真っ先に心配した。
それからいろんなことを話をした。
彼女は、体がえらくても
いつもきれいな言葉使いで歯切れのいい
しゃべり方をしていた。
でも今回は違っていた。
力のないか細々とした声で弱々しかった。
それほど辛いのだ。
私は早く退散しなくちゃと思い
席を立とうとすると
もう少しいて。というので
話を続けた。
それでももうそろそろと思い
手を振ると、笑顔が現れたので
ホッとした。

私も会いたさ一心で
必死になって部屋に行ったので
さすが帰りは息切れがして
部屋につくと、すぐに横になった。

彼女に会って、いろんなことを
考えさせられた。
人生はどうなるか、わからない。
彼女に一条の光が指して
少しでも楽になるように
願うばかりです。