試合当日はなんともいえない天気であり、生暖かく、グラウンドに向かう電車の窓には雨がかかっていた。
「本当に大丈夫か?」不安にもさせられた。
試合開始の約30分前に野球場に到着した。
数年ぶりに見るが、相変わらず整備されたとてもきれいな野球場である。
ただ、私にとっては何一つ良い思いでのない場所であり、すぐに逃げ出したい気持ちでいっぱいになってしまった。
先発を告げられ、同時に捕手も教えられた。
先発捕手は、ゴリではなく、リョウタであった。
リョウタは大学まで 野球をやっており、技術、リード等においては文句なしの男である。
また、この東京にくるまで私の投げ込み練習に一生懸命に付き合ってくれた。
ただ、私にとって、ゴリの存在は大きい。
野球だけではなく、仕事や遊びなどでもゴリはいつも私を支えてくれ、ともに苦しみを分かち合った仲である。
正直、技術はリョウタより劣ると思うが、私の精神状況を誰よりも理解し、的確な助言をしてくれる。
そんなゴリを私は心から信頼していた。
そのようなことから、正直、先発捕手を聞かされたとき、戸惑った。
リョウタも私とゴリの関係はよく知っている。
もうひとつのチーム(今後、ここでは「ヤンチャーズ」にしておこう)でも、私とゴリ、ノリとリョウタがいつもバッテリーを組んでいた。
そんなことだったので、リョウタも私と同じ気持ちだった。
「キャップ、私が先発です。ゴリさんになんていえば。。。。。」
リョウタがアップの最中、声をかけてきた。
私としては、的確な回答を探すのに困惑していたのが正直なところである。
自分に問いかけた。
ただ、この職員野球部は「勝つ」ためのチームである。「楽しむ」ためのチームではない。
勝つためには、勝つ野球ができる技術・キャリアが必要である。
ひょっとしてゴリにはその何かが不足していたのかもしれない。
そうであれば、その不足していたものを認識し、一緒に努力してつければいいのだ。
そう割り切って、私は、リョウタとともにがんばろうと声をかけた。
今日の私の正妻は、ゴリではなく、リョウタである。
いよいよ、恐怖のマウンドが目の前に迫っていた。
逃げ出したかった。。。。。。