太極拳では意識を複雑に使い分ける必要がある。套路の形を始め、虚領頂勁などの外形の要求、さらに内勁など、意識すべき事が多岐に渡る。もちろん一度に全部を意識する事は不可能だが、それぞれの意識に意味がある事を理解しながら鍛錬する事が求められる。そこで今回は意識して欲しい事として、脳の使い分けについて述べてみたい。この事は今まであまり触れらていないと思うが、実は効果があるので解説してみたい。先ず誰かに急に推してもらって、脳のどの部分が反応しているか感じて欲しい。分かってきたら、今度は脳の違う部分を意識しながら、また誰かに推してもらう。そうすると不思議なことに、最初に比べて推されにくくなっていると感じるはずだ。これは推された時に自動的に伝わる回路を遮断し、別の回路で身体を保つという事である。にわかには信じにくいかもだが、人は脳の違う部位を使うことで、運動時のバランスを保つ事を自然と行っている。しかし、誰かに推されたりすると、バランスを取るつもりでも、相手の力に抵抗する回路が働き、結果的に崩されやすくなる。そうなりたくないのに、本能がそうさせる事態が起きる。これを防ぐために、脳を使い分けるという術を身につけて欲しい。素直にやってみれば、その効果が体感できるので、是非お試し頂きたい。
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太極拳推手で相手を崩していく手法として、自身の身体を緩めて、相手に侵入していく事を挙げてみたい。推手では相手を推していく程、より推し込もうとみ力みガチとなる。しかし、それは相手に崩されやすい危険な状態でもある。逆に緩める事が出来れば、相手の攻撃を躱しながら、さらに相手を攻めることが可能となる。緩める事が攻撃になるのは、矛盾に感じるかもだが、勁力を用いるには力を使わず、意識を通す必要がある。それには緩める事が必須だと理解願いたい。
人は普段、身体の各部位を意識せずに動いている。しかし太極拳においては、細かく各部位を意識して動かす必要がある。そのために意識したいこととして、身体を部位に分ける、分解する事が有用であることについて、今回は述べたい。動きの基礎である下半身であれば、股関節、膝関節、足首のそれぞれが動く意識を持つ。例えば平行歩の姿勢であれば、動く前に、分解を意識できるよう、この三つの関節を少し揺らしてから、崩れるように動き出してみて欲しい。最初は頼りなく感じるだろうが、他人に両腕を制約してもらって、これを試すと、力を用いずとも相手を崩せる感覚が得られるかと思う。決して力んでは上手くいかないので、脱力しながら各関節の揺らぎを感じて欲しい。相手に纏わりつきコントロールしていくようイメージしてトライされるのも良いだろう。相手にじゃれている様な感じで練習してみて頂きたい。