太極拳を練習される時、手に意識を集中されていないだろうか。形を覚える段階ではそれでも構わないが、癖にならないレベルで手の意識を薄めて行く事をお薦めしたい。では手には意識は全く置かないのかと問われれば、肘までが手で、そこから先は長い箸の様にイメージして欲しいとお答えする。分かりにくい表現かも知れないが、手に意識があり過ぎると、肩に力が入る。逆に肘辺りに意識を置くと、肩周辺の筋肉が緩めやすくなる。これを常とするテクニックとして、手を箸先とイメージすると言う要領をお薦めする次第である。箸先に力は入れにくく、器用にも動かせない、かつ挟んだモノを離さない注意力が必要となる。そんな感じを腕に持たせて、太極拳を練習していただきたい。
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太極拳では動作により体の様々な処を伸ばす必要があるが、力で伸ばすのでは無く、緩めながら意念を使って伸ばす様にすべきだと考えている。ストレッチとの関係は相当以前にも記述したが、人の体は無理に伸ばそうとすると、むしろ縮もうとするので、逆に縮むようにして伸ばす方法が紹介されているぐらいだ。太極拳では縮むようにする事は出来ないので、意念で緩めて伸びをコントロールする必要がある。自身はこれを緩め伸ばすと表現している。伸ばしたい部分に意念を集中し、血が流れたらゆっくりと伸びるイメージを持つ。そうすると少し伸びている感覚が得られてくる。鬆とはそのような感覚では無いかとも理解している。もちろん緊張している部分を緩める事でも似たような感覚は得られるので、太極拳の動作の中で緊張している部位を感じたら、緩めてみて伸ばせるかを試して欲しい。慣れてくると骨のコントロールにも繋がってくるので、体内観察を深めていって欲しい。
経穴への意念の使い方として、手五里と手三里をご紹介したい。ただし、これは自身の感覚から得た要領で、誰かから習ったものでは無いので、その点はご理解頂きたい。先ず、手五里であるが、自身はこれを擠の時に意識している。擠は四正の中で最も分かりにくい感覚のため、人に伝えるのが難しいが、手五里を意識すると擠が比較的習得しやすくなる。内側の手で推す事で擠をされようとする方がおられるが、擠はあくまで外側の腕で行うものであって、内側の腕は添えている程度だと考えて欲しい。とりあえず、外側の手五里の経穴を意識し、内側の腕を添えて擠を練習される事をお薦めする。次に下腕の旋回と手三里との関係について述べてみたい。下腕の旋回は掌が切り替わるとも表現可能だが、掌を意識すると力みが生じる。尺骨と橈骨を入れ替える意識でも良いが、手三里を意識するだけでも、力みの少ない下腕の旋回が可能となる。手三里及び手五里を意識すると、敏感な方であれば、大腸経の経絡が刺激される感覚があるかも知れないので、ネットで大腸経の絵を見ながら、擠なり上腕の旋回なりを練習してみて欲しい。