歳を取るとやたら涙脆くなる。
特にテレビで猫を観たら泣いてしまう。昔、飼っていた猫の記憶が鮮明過ぎるからだ。
僕が死ぬ時はあの猫が迎えに来ると本気で信じてる。
「やっとこの日が来たな。迎えに来たよ」
「お前も歳を取ったな。部屋中を飛び跳ねていたのに」
「お互いにボロボロだよ。人間も猫も。だから新しい世界へ行き新しい生活を始まるのさ」
「OK!」
猫では泣くがもう女では泣かない。
女には散々泣かされた。ヘラヘラ笑いながらナンパができるほど男女の世界は甘くない。
投手はマウンドに立たないと勝ち負けはつかない。金田正一は通算400勝の日本プロ野球界の金字塔を打ち立てたが、また298敗の最多敗戦の持主でもある。
ところが最近はマウンドに立たない投手ばかりだ。断っておくが勝ち負けは相手に対してでなく自分自身にだ。
勝ち負けに関わりたくない投手が多すぎる。だから平凡で無難で多数に紛れる生活しか望まない。
人間の身体は不便さを覚える必要がある。負荷を与えないと筋肉も骨も精神も発達しない。
今のままだと人形みたいな人間で一生を終える事になる。
もう少し頑張ろうぜ。人生は一度しかないのだから。
地獄も極楽も現世にしかない。そして無駄で無意味な人生などない。
我々の人生は奇跡であり貴重なのだ。