僕はアルフレッド・ヒッチコックの作品はほぼ全部観てる。昔の白黒もフィルムセンター(昔にあった)で観た。人は自分が好きな事にしか努力しない。
一番好きな作品は1938年の白黒映画「バルカン超特急」だ。これは辛口のニューヨークタイムズ誌のその年の年間1位である。スパイモノの「知り過ぎた男」や交換殺人の「見知らぬ乗客」も好きだ。イングリッド・バーグマンの美しさに見とれた「白い恐怖」もある。
もう「鳥」や「サイコ」や「めまい」や「裏窓」は古典と言える。
ヒッチコック作品はスリルとサスペンスに必ずユーモアがあった。それに女優を見事までに美しく撮った
ブライアン・デ・パルマは作る作品が全部ヒットする。「アンタチャブル」(戦艦ボチョムキンのパロディがある)や「ミッションインポッシブル」もあるが、最高傑作は「殺しのドレス」だ。
ヒッチコック好きのデ・パルマがヒッチコックに捧げたオマージュである。
浮気して性病を貰った中年主婦が
エレベータの中で滅多刺しされる。
アンジーデキンソンがこの主婦役を演じるが、やたら色っぽいのだ。
ここまで長々と書いたのは理由がある。
1945年、第二次世界大戦が終焉すると世界の強国はアメリカとソ連だった。
アメリカは小さな政府と個人主義だ。ソ連は大きな政府に集団主義だから油と水だ。
アメリカは共産主義が嫌いだが恐れた。アメリカはドナルド・トランプのように飛んでもない政治家が現れる。当時に現れたのがマッカシー上院議員だ。
彼はアメリカ国内の共産主義者を公職から追放しょうとした。マッカシーに協力したのは後に大統領になるドナルド・レーガンやリチャード・ニクソンだ。
日本のニユースでは地震で潰れた街や津波を見せるが死体は絶対みせない。外国は死体を見せる。そうでなければ本当の悲惨は伝わらないと考えるからだ。
まして原爆投下後の広島は無抵抗
状態だ。米軍機が撮影しない分けがない。
原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーはその写真を見た。恐らく死屍累々の死体だろう。オッペンハイマーは恥じた。原爆は作るべきではなかったと。
だから彼は水爆実験に反対する。するとアメリカの水爆実験に反対す
るのは共産主義だとオッペンハイマーを公職追放にしてしまう。
チャップリンは「モダンタイムズ」の中で機械に翻弄される人間を描いたがそれが共産主義的と国外追放になる。
ヒッチコックは追放にはならなかっが映画作りを止められる。
チャップリンもヒッチコックも英国で映画を作るようになる。
マッカシーのレッドパージ(赤狩り)は余り酷いと選者やマスコミの中の戦うジャーナリスト達の抵抗によりマッカシー上院議員が追放されるはめになり、さしものレッドパージは終わった。
文明・文化は進歩するが人間の資質は中々進化しない。馬鹿で無知である。
このレッドパージの影響がベトナム戦争に繋がったと云われる。