大阪環状線外回り | 錦鯉春助の冒険

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日常の恐ろしき風景

 アメリカの南北戦争の如く大阪は地域別でハッキリとキタとミナミに分かれてる。


 北大阪人は東京に憧れ南大阪人は東京を馬鹿にするか憎む。僕のように。

 

 大阪以外の関西人や観光客が入って来るのはキタである。


 グリコの看板でお馴染みの道頓堀はミナミだけど、生粋の南大阪人に云わせると道頓堀は観光用のミナミである。


 本当にDeepな大阪は環状線外回りで新今宮(西成)、天王寺、寺田町、桃谷、鶴橋、玉造、京橋の間だろう。


 何しろこの地区の建物の古さと密集度は日本一らしいから地震が来たら目も当てられない。倒壊と大火。消防車も入れぬ路地。


 世界有数のコリアタウンもこの地域にあり、環状線・鶴橋駅の電車のドアが開くと焼肉の匂いがする。


 まぁ、大阪市自身が埋立ばかりで海抜が低いから巨大津波が来たら大阪城しか残らん。大阪駅あたりは湿地だったからね。


 我が家の妻もこの地域で生まれ育ったからバリバリの大阪女だ。


 大阪女の特徴は徹底して安物を自慢する事だ。ここらは東京女と正反対だと思う。


 若い頃から妻がブランド品を身に着けた記憶が僕にはない。僕は物に興味なく腕時計なら投売りの千円でいいから助かる。


 それに妻も小さい頃から吉本新喜劇の世界を見ながら育ったから昨年末に亡くなったアホの坂田師匠の形態模写が物凄く上手い。


 喧嘩して口も聞かぬ時、妻は坂田師匠の形態模写を行きなり僕の目の前でやるから、思わず笑い転げて喧嘩にならない。


 〔沈黙は金〕のことわざは大阪では通用しない。沈黙してると了承だと思われどんどん片隅に追いやられる。だけどこれは共通するアジアのテイストではなかろうか。


 韓国のソウルも東京ではなく大阪に似ている。他のアジアの都市も大阪との共通点が多い。騒がしく自己主張が激しくてカオスに満ち溢れる


 東京のGDPは一都だけで世界の国ランク10前後に入る。人口は大阪府と兵庫県を合わせたほど多い。


 あらゆる施設が完備して大企業の本社は殆ど東京だ。大学の数も半端なく国立大学だけも


 東京大学、一橋大学、東京農大、東京工大、東京芸大、東京医科歯科大、お茶の水女子大学.....まだまだあるだろう。


 それに公園が多くて緑が豊かだ。特に明治神宮の杜は素晴らしい。僕は東京が羨ましいと思った事はないがあの森は羨ましい。


 大阪にはあんな森を造る計画も発想もない。それはどうしてなのか?


 元々大阪は太閤秀吉の時代に完成してた街なのだ。高台は大阪城だけで市中は川や運河が張り巡らせ現代の高速道路の役目を担ってた。


 時代が進むに連れ道路の役目を失った川は埋められた。継接ぎだから森を作る土地はない。


 京都人に云わせるとその上に天皇までかっさらって行ったとなるらしい。


 しかし東京へ行くと東京人は幸せには見えない。何処か暗くて疲れてる。常に他人を意識して、画―的で画ー的を望んでいるように見える。


 だから帰りの新幹線が横浜を過ぎるとホッとする。田舎者のひがみであろうが。