友達はみんな死にました | 錦鯉春助の冒険

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日常の恐ろしき風景

 昨年の暮にテレビニュースを観て久しぶりに爆笑した。


 それは元気で独り暮しをする92歳の高齢者のインタビュー中だった。


「お爺さん、お元気ですね。お名前とお年を伺ってよろしいでしょうか?」


「○○○○、92歳。友達はみんな死にました」


 アッケラカンとした自然的な発言に僕は爆笑するのだ。


 スティヴン・キング原作、トム・ハンクス主演の〔グリーンマイル〕も、友達はみんな死にましたを描いている映画だ。


 映画は108歳の元刑務所死刑執行官トム・ハンクスの回想から始まる


 もう50年前の死刑執行時にトム・ハンクスは超自然現象を受けて以来病気ひとつしなくなる。


 ところが時が過ぎるに連れ親しい友達達が次々と亡くなり、最愛の妻も失う。


 彼は次々と友人や妻を看取るが自分は決して友人達から看取られる事はない。


 孤独の中でトム・ハンクスは自問自答する。長生きは神が与えた罰なのではないか?


 ここに描かれているのは老人の孤独についてだ。長生きすればするほど知り合いは少なくなる。


 90歳を過ぎると下手したら自分の子供達も亡くなる可能性も小さくはない。


 長生きは神が与えた罰なのか?現在の日本では罰だろな。


 第一、古今東西、歴史上にも高齢者を大事にする国家は存在しない。


 馬鹿コメンテーターは直ぐに北欧と比較するが、コロナ禍の時に高齢者のコロナ患者を集中治療室に入れなかったのは北欧だ。つまり若いひとより先に死んで下さいだ。日頃から国家と高齢者との厳しい取決めがあるのだ。


 日本とは死生観が違う。ただ長生きするのを人生だとは思っていない


 国家にとり良民とは税金を納める人間であり、愚民とは税金を使う人間である。これが高齢者や障害者に対するすべての基本姿勢だ。


 高齢者は時代を作ってきた先駆者だ。高い税金も社会保障費も支払ってきたのだから国の宝だと。


 だがそれは建前だ。ハッキリ書けば社会的役目を果たしたら、さっさと死んで欲しいのだ。社会的風潮がありありと示している。


 40歳の人間がアクセルとブレーキを踏み間違えてもニュースにならないが80歳が間違えると散々ニュースに取り上げる。


 その裏の本心は高齢者からさっさと免許証を取り上げろだろう。


 今度の地震も良く聞いていたら、やたら高齢化問題が出て来る。例えば高齢者は耐震改修工事をやらないから被害が増えたと。


 高齢者は老害だと疎まれる。長く生きるのを害だと断定してる。


 長生きは神が与えた罰なのか?