2024年 第9戦 カナダGP | Glass Labyrinth

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僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

全24戦予定の2024年のF1ももう中盤戦。第9戦はカナダグランプリでした。カナダは色々波乱が大きなトラックとして有名ですが、今回はフェラーリにとってはなかなか刺激的な週末でした。ここはカナダの、そしてフェラーリの英雄たるジル・ヴィルニューヴの名前が冠されたトラックです。それに恥じないようなレースが見たかったです。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

サーキット・ジル・ヴィルニューヴ(モントリオール)

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:4.361 km

レース距離:305.270 km(70 laps)

特徴:・コンクリートウォールで囲まれた半公道の中高速サーキット

   ・4本のストレートをシケインやヘアピンで繋いだようなレイアウト

   ・いわゆるストップ・アンド・ゴータイプのためブレーキと燃費に厳しい

   ・セーフティカーの導入が多く、荒れた展開になりやすい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン13

タイヤのコンパウンド:C3〜C5(標準〜非常に軟らかい)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 63 G・ラッセル(メルセデス)

2位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

4位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

5位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

6位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

7位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

8位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

9位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

10位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

11位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

12位 55 C・サインツ(フェラーリ)

13位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

14位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

15位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

16位 11 S・ペレス(レッドブル)

17位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

18位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

19位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

20位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

 

Pole Position Time:1:12.000(218.05 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:1:11.742(218.83 km/h)

63 G・ラッセル(メルセデス)

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

3位 63 G・ラッセル(メルセデス)

4位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

5位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

6位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

7位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

8位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

9位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

10位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

11位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

12位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

13位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

14位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

15位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

Ret 55 C・サインツ(フェラーリ)

Ret 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

Ret 11 S・ペレス(レッドブル)

Ret 16 C・ルクレール(フェラーリ)

Ret 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:1:45:47.927(173.12 km/h)

Fastest Lap Time:1:14.856(209.73 km/h @lap 70)

44 L・ハミルトン(メルセデス)

 

 

/*・・・Summary:惨敗・・・*/

優勝はフェルスタッペンでした。フェルスタッペンはこの勝利でついに通算60勝に到達しました。前戦モナコでの苦戦から、ここモントリオールでも苦戦が予想されましたが、微かな勝機を確実にものにしました。こういうレースをされると、やはりフェルスタッペンの強さをまざまざと見せつけられたと感じざるを得ません。

 

レッドブルは今回もフリー走行から苦戦気味で、開幕当初の余裕がなくなってきているのは確かだと思います。でも予選はQ3でラッセルとトップタイムを分け合い、ドライ路面になった決勝後半ではライバルに競り勝ったところから、まだ少しだけレッドブル(フェルスタッペン)がトップを堅持しているように見えます。まあ、モントリオールが特殊なサーキットなので次戦のスペインではっきりした姿が見えてくるとは思いますが、まだレッドブル(フェルスタッペン)が1歩、いや少なくとも半歩ライバル勢の前にいるような気がします。

 

2位はノリスでした。ノリスはダンプ状態(雨が降ってきて路面が濡れ始めた状態、あるいは雨は止んでいるが路面は濡れている状態)で抜群に速く、天候によっては2勝目も見えていたと思います。でも、ドライになるとフェルスタッペンをフォローすることができず、逆にメルセデスに接近を許してしまいました。ノリスはセーフティカーやタイヤ交換のタイミングでトップを逃しましたが、でもどう展開しても最後にはフェルスタッペンに仕留められた確率が大きく、今回は勝つのは難しかったかもしれませんね。

 

3位はラッセルでした。ハミルトンも4位に入り、メルセデスとしては今シーズン最高のリザルトでした。(ラッセルのみにではありますが)前回モナコで投入したアップデートの効果がここでも出たと見ていいと思います。この好調がこの先も続くかは興味ありますね。確かにマシンは速くてある程度結果が出せたとは言え、今回のラッセルはミスが多すぎました。レース中に2回もミスをしては勝てるものも勝てなくなってしまいます。レースではちょっと勝負弱いんでしょうかね。ラッセルは来シーズンからメルセデスを引っ張っていく立場になるのに、こういうレースをされるとチームは少し心許なくなるかもしれません。

 

また、アルピーヌが2台とも入賞したことは正直驚きでした。これまでは入賞ギリギリのこの位置にはアストンマーティンやRB、ハース、ウィリアムズのアルボンなどがいました。もちろんそれらライバルの一角やフェラーリが戦線から消えたことが大きいのは確かですが、モナコに続いての入賞ですからね。ここにきてようやくルノーワークスの力を見せ始めたのかもしれません。次のスペインでどの辺りに来るのかは注目したいです。

 

メルセデスやアルピーヌが復活の兆しを見せたのとは反対に、今回のフェラーリは悲惨でした。Q3には2人とも進出できず、レースではフェルスタッペンはおろか、マクラーレンにもメルセデスにも大差をつけられ、挙句には中団に埋もれてしまいした。これについては現実のものとは思えず、非常に大きなショック受けたので、ぼくはここではもうこれ以上この話に触れるつもりはありません。チームは原因を突き止め、今回だけのものとして次回からはこのような姿を晒さないようにしてほしいものです。

 

 

/*・・・Next:スペイン・・・*/

次回はヨーロッパに戻ってスペイングランプリです。ここからオーストリア、イギリスと本格的なヨーロッパラウンドが幕を開けます。ただ次のスペインからは3連戦で、1週空けてさらに2連戦と、体力的にも本当に厳しい戦いが待っています。何だってこんなにぎっしり詰め込まれてしまったのでしょうか。かつてはほどんどのグランプリが2週間に1回のペースだったのですが(2連戦があっても年1回くらい)、その頃が懐かしいものです。

 

愚痴っても終わらないので話を進めましょう。舞台はバルセロナのカタロニア・サーキットです。このトラックは高速から低速までバランスよくコーナーがレイアウトされていて、マシンの実力と相対的な位置を測るには打って付けのコースです。実際かつては、シーズン前やシーズン中にF1でテストすると言えばこのバルセロナでした。ここ2戦は、いわゆる高速コーナーのない特殊なサーキットが続いたので、第7戦のイモラ(エミリア-ロマーニャ)以来久しぶりの、マシンの総合力をチェックする機会になると言えるかもしれません。

 

またこのカタロニアは、かつてオーバーテイクが非常に難しいトラックとしても知られていました。しかし、昨年のレーストラックの改修や、一昨年の新規格のマシンの導入などによって徐々にオーバーテイクしやすくなってきたようですね。特に、ホームストレート直前のシケインの撤廃はぼくも良かったと思います。あれがあることで、唯一の勝負どころとなるターン1へ繋がるロングストレートに大きなギャップとはっきりした序列をもって向かうことになり、その差を1 kmのストレートの間にDRSだけで追いつくのは難しいからです。まったく同じ例えという訳ではないですが、レースのスタートでPPのマシンが2グリッド後ろのマシンに追い抜かれることがあまりないようなものに近いと思います。つまり、シケイン前までにどれだけ追い詰めても、マシンの全長と最低限の車間距離でシケイン出口では前走者と6〜7 mまで詰めるのが限界なのですが、その差はDRSがあってもあまりに大きかったということです。

 

さて、ここバルセロナには各チームが大幅なアップデートを持ち込むということもあって、今後のシーズンの流れも見えてくるかもしれません。特にトップ3のレッドブル、マクラーレン、フェラーリと今回善戦したメルセデスの位置関係がどうなるのかはとても楽しみです。特にメルセデスは、一時期はトップ3に大きく遅れるどころか、中団に飲み込まれそうなところまで来ていてワークスの面目丸つぶれだったので、どこまで速くなったのかは興味深いです。

 

** Playback 2023 *********

Pole-sitter:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

Winner:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

Fastest lap:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

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昨年のスペイングランプリではフェルスタッペンが自身3度目のグランドスラムを飾りました。マイアミで逆転勝利を収め、モナコを無難にものにした後、このバルセロナがモンツァ(イタリア)まで続くあの伝説的な連勝の足掛かりとなったように感じます。ここでの圧倒的な速さが、2023年シーズンの流れを決定づけたのではないでしょうか。

 

また、この後にフェルスタッペンのライバルとして頭角を現すマクラーレンも、ここの予選でノリス3位、ピアストリ10位となって、その活躍の片鱗をほのめかせていたのも興味深いです。元々マクラーレンはカタロニアが得意なマシンを造ってくることが多いのですが、シーズン開幕当初の惨状を考えるとこの結果は予想外でした。他方、2-3フィニッシュを飾って調子が良かったメルセデスは、モナコでマシンに大幅なアップデートを入れた効果が出て反転攻勢かと思わせましたが、ここがピークだったようでこの後徐々に存在感を無くしていきました。

 

たくさんのバトルが見られたらいいなと思います。