2024年 第4戦 日本GP | Glass Labyrinth

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僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

F1第4戦は日本グランプリでした。昨年9月の開催からわずか半年での開催となりました。これからの日本グランプリの開催はこの時期が当たり前となっていくのでしょう。今シーズンに関しては、桜の開花が例年よりも大幅に遅れていて、ちょうどF1の開催の時期に重なってよかったですね。綺麗だったと思います。でも今年は例外で、来年の開花はおそらくもっと早まるでしょうから、来シーズンも同じ時期に開催されるとすると今年のようにちょどいいタイミングになるという訳にはいかないかもしれません。見方を変えると、開花時期が連年通りになるということは、F1開催時期は気温、路面温度とも上がっていて、秋開催の時期とまでは言わないまでもタイヤへの負担が大きくなって、レース展開も今年とは少し変わってくることになるでしょうね。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

鈴鹿サーキット(鈴鹿)

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:5.807 km

レース距離 :307.471 km(53 laps)

特徴:・中高速コーナーがメインでレイアウトされた高速サーキット

   ・PUの出力が大きいほどラップタイムが上昇する

   ・タイヤへの負担が非常に大きく、デグラデーションも大きい

   ・ラインの自由度が小さく、オーバーテイクが難しい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン13

タイヤのコンパウンド:C1〜C3(最も硬いセット)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 11 S・ペレス(レッドブル)

3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

4位 55 C・サインツ(フェラーリ)

5位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

6位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

7位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

8位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

9位 63 G・ラッセル(メルセデス)

10位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

11位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

12位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

13位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

14位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

15位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

16位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

17位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

18位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

19位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

20位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

 

Pole Position Time:1:28.197(237.03 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 11 S・ペレス(レッドブル)

3位 55 C・サインツ(フェラーリ)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

6位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

7位 63 G・ラッセル(メルセデス)

8位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

9位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

10位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)

11位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

12位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

13位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

14位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)

15位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

16位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

17位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

Ret 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)

Ret 3 D・リカルド(RB・レッドブル)

Ret 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:1:54:23.566(161.27 km/h)

Fastest Lap Time:1:33.706(223.09 km/h @lap 50)

1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

 

 

/*・・・Summary:実力テスト結果・・・*/

優勝はフェルスタッペンでした。昨シーズンの日本グランプリに続いてのハットトリック(PP、優勝、ファステストラップ獲得)達成の完勝でした。鈴鹿は、ドライバーの実力もさることながらマシンの実力も結果を大きく左右するコースなので、予選、決勝ともに1-2を達成したレッドブルは現時点でシーズン最高のマシンであることは確かでしょう。しかし、惨敗を喫した翌戦の日本グランプリで圧倒的に勝ってしまうシナリオまで昨シーズンと同じとは、という感じです。

 

実は今回、土曜午前のフリー走行の3回目まではフェルスタッペンもレースを完勝できるというほどの出来ではなかったと思います。もちろん、予選以前で本気を出すはずはないということは十分承知していますが、完全に実力を隠すこともテスト走行する意味がまったくなくなるので、やはりあの時点でレッドブル陣営が多少なりとも苦労していたことは確かだと思います。特に今回はフリー走行の2回目がウエットでまともな走行ができなかったので、予選とレースを占う試金石だった予選直前の3回目のフリー走行でのタイムは重要で、そこでのペース不足は致命的だったはずです。

 

でもそのどん底(他のチームには失礼ですが)から予選へのリカバリーは素晴らしいものがあり、終わってみればフェルスタッペンとレッドブルの力をまざまざと見せつけられる結果となりました。フェルスタッペンは本当にいいマシンとチームを手にしていると思います。鬼に金棒とはまさにこのことでしょう。いや金棒に加えて、頑丈な盾までも手にしているかのようです。鈴鹿でこの出来なので、フェルスタッペンとレッドブルはしばらくの間(少なくとも特殊なサーキットでなければ)安泰ということです。

 

2位はペレスでした。今回のペレスは、予選でフェルスタッペンに0.066秒差まで迫れたことが何よりも大きな収穫だったのでないでしょうか。でもいかに差は小さくても、PPが獲れなかったのはやはり負けも同然です。今のフェルスタッペンはレースペースもタイヤ管理もバトルも完璧で、レースでは付け入る隙はないので、予選で前を獲ること以外にフェルスタッペンに勝つ術はありませんからね。それでも、次回の予選は少し楽しみになりました。

 

実は、今シーズンのペレスはここまですべての予選でQ3に進出していて、そのQ3でも0.328秒(バーレーン/5.412 km)、0.335秒(サウジアラビア/6.174 km)、0.359秒(オーストラリア/5.278 km)とフェルスタッペンに0.4秒以上を付けられていないのは小さくない成長だと思います。まあ、最強の名をほしいままにするレッドブルのドライバーの1人としては少々甘い評価かもしれませんが。でも、昨シーズンはフェルスタッペンと0.7秒差なんてざらでしたから、それと比べると全然ましです。あとはレースペースとタイヤのデグラデーション(性能劣化によるタイムの落ち)の管理を向上させる必要があります。以前のペレスはタイヤ管理が上手いというイメージがありましたが、いわゆるグランドエフェクトカーになってからはそうでもありません。成長する余地はまだまだあるということです。

 

3位はサインツでした。予選ではノリスの後塵を拝しましたが、レースペースではマクラーレンを圧倒しました。一方レースペースの面では、レッドブルのペレスとは同等に近かったですし、彼に及ばなかった開幕戦以降の他のレースでもこの傾向は一貫しています。サインツは開幕以来タイムアタックでもレースペースでも、SF-24のスピードを限界まで引き出せていると感じます。ただ、そうだとしてもフェルスタッペンとの差はあまりに大きく、まだまだマシンに大きな改善の余地があると感じます。本当はフェラーリはマクラーレンではなくレッドブルを目標としてほしいところですが、今回レッドブルが投入したアップデートでまた差を広げられてしまった感があります。

 

4位はルクレールでした。鈴鹿をミディアムタイヤ→ハードタイヤの1ストップで乗り切り、4位を獲得したことは賞賛すべきでしょう。スターティンググリッド(8番手)を考えれば上出来です。少なくとも昨シーズンまでのデグラデーションが酷かったフェラーリではこの結果は考えられませんでした。それだけタイヤ管理の容易さについては進歩したと言っていいと思います。ただルクレールに関しての問題は、サインツとは対照的に、まだSF-24を完全に手懐けているようには見えない点です。まあ、ルクレールはいつもシーズンの中でこういう時期があって、数戦で速さが回復してくるのでそこまで深刻に捉えてはいないのですが。もう少し様子を見てみましょう。

 

5位はノリス。そしてもう1人のマクラーレンのピアストリは8位フィニッシュでした。現時点ではおそらく3番手のチームと言っていいと思います。ノリスとしてもサインツにアンダーカットされたのは痛恨だったでしょう。確かに途中でハミルトンに引っかかったのは痛かったですが、以降のレースペースを見ても現在のフェラーリを倒すのは至難だったんじゃないかなと思います。実際タイヤの扱いが上手くないピアストリはデグラデーションに苦労していて、5位はノリスだからこそ獲得できた結果ではないでしょうか。でもフェラーリには比較的近い位置にいるので、今後投入されるであろうアップデートの出来には要注意です。

 

6位はアロンソでした。これもアロンソだからこそ手にできた結果でしょう。終盤わざとピアストリを近づけてDRSトレインを作り、ペースの速いラッセルからの攻撃を防ぐという戦法は、昨シーズンのシンガポールでのサインツを見ているかのようでした。後続マシンをDRS圏内に近づけるけど抜かれないようにその差をコントロールするという芸当は、いかに抜きにくい鈴鹿とは言え、非常に高度なテクニックが必要なのは言うまでもありません。でも、それをいとも簡単にやってのけているように見せてしまうところが、さすがアロンソです。そのアロンソを持ってしても、今のアストンマーティンの実力ではこれが限界ということです。

 

メルセデス勢は、ラッセルは7位、ハミルトンは9位でした。スロースターターのハミルトンもここにきてようやく速さを見せ始めてきた感がありますが、レースではトラブルに巻き込まれてペースを失ったようで残念でしたね。でもハミルトンが万全だったとしても、結果はラッセルと大きく変わらなかったでしょうし、ノリスを脅かすことは到底できなかったでしょう。これが現在のメルセデスの実力です。まさか、数年前まで無敵だったメルセデスがここまで凋落することになるとは思いませんでした。でも、こればかりは一朝一夕にどうなるものでもありません。ポディウムまではまだまだ険しい道のりが待っています。

 

その下ではRBが少し抜けていて、ハースとキックザウバーのボッタスが続く構図です。その少し下にアルピーヌとウィリアムズのアルボンが控えているという感じでしょうか。実質ワークスなのに1ポイントも獲れていないアルピーヌは少し、いや少しどころではなく結構屈辱なシーズンでしょう。ぼくが当事者なら恥ずかしくてF1から撤退したいくらいですが、続けることにも意味があるので彼らには結果を残せるくらい進歩して欲しいものです。

 

 

/*・・・Next:中国/上海・・・*/

次回は中国グランプリです。COVID-19によるパンデミックが発生する前の2019年以来、実に5年ぶりの開催となります。舞台は上海インターナショナル・サーキットです。もちろん初開催ではないものの、5年前の今と違う規定のマシンとタイヤで蓄積された知識はもはや使用することはできないですし、トラックの路面も再舗装されていてマシンがどういう反応をするか詳しいことまでは読めないので、実質初めてドライブするコースと同じような扱いをせざるを得ないようです。

 

ただ、右に回り込むコーナーが複数ある(ターン1〜3、ターン6、ターン11〜13、ターン14)ので左フロントタイヤに厳しくなることは間違いないでしょう。また、常設のグランプリサーキットでは最長の部類に入る約1.2 kmロングストレートがあるので(アクセルを抜かないコーナーを含んむ全開区間という意味では、このストレートよりもはるかに長いものを持つトラックもある)、PUのパワーはもちろん、DRSの空力効率とブレーキングの安定性も重要なファクターとなります。また、気候は日本と似たようなものなので暑さは厳しくないでしょうが、雨がレースの演出家に加わることは大いにあり得ます。

 

あと忘れてはいけないのが、ここで今シーズン初のスプリントフォーマットが実施されるということです。つまり、初走行に近いトラックでフリー走行が1回60分しかないということです。これは波乱を呼ぶのに十分な「仕掛け」ですね。もしフリー走行中にレッドフラッグでも出てしまえば、ほとんどぶっつけ本番でスプリントの予選に入ることになります。またスケジュールに関しては、今シーズンから金曜日の後半のセッションにスプリント予選、土曜日の前半にスプリント、後半にグランプリレースの予選が行われるように改定されました。そしてスプリントの後からグランプリ予選の間にはパルクフェルメが解除され、マシンのセッティングを自由に変更することができるようになります。これが週末にどんな影響をもたらすかも興味深いですね。

 

** 2019年シーズン結果 ******

Pole-sitter:77 V・ボッタス(メルセデス)

Winner:44 L・ハミルトン(メルセデス)

Fastest lap:1 P・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

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5年前はメルセデスが敵なしの状態でしたね。まさにメルセデスにとっては「この世をばわが世とぞ思う望月の 欠けたることもなしと思えば」状態。もちろんフェラーリにもそんな時期がありましたが、もうそれは遥かな太古に感じられます。でも意外なのは、これがシーズン3戦目にして初めてのメルセデスのフロントロウ独占だったということです。ちなみに2番手チームはフェラーリ、現在無敵のレッドブルは3番手でした。レースはセカンドロウのフェラーリ勢が優勝争いに絡むことなく、ハミルトン、ボッタスが危なげない1-2を達成しました。また、レッドブルに所属したばかりのガスリーがファステストラップを奪っている点も意外ですね。予選もフェルスタッペンとの差は小さく(Q3で0.141秒遅れ)、今のレッドブルの2人の差と比べてもかなり健闘していたことが分かります。さて今回はどんなレース展開が見られるでしょうか。

 

白熱するレースが見られればいいなと思います。