2024年も無事F1が開幕しました。しかし今シーズンは、本当に開幕前に色々なことがあったので、普段より休みが短かったように感じました。まず驚きの1つ目は、昨シーズンの最終戦の出走ドライバーが、所属チームを変えることなくそのまま出走するということでしょう(ただしチーム名の変更はあり)。史上初の出来事だそうです。なんか楽しみが1つなくなったような気がします。これはベテランが重用されているということがあるとは思います。実際昨今のルーキーは、テスト走行が制限されたりフリー走行が短くなったりして、よほどの才能がないとF1に慣れることにすら苦労するので、起用しにくいということもあるのかもしれません。
そして何と言っても、ハミルトンが2024年をもってメルセデスを去り、フェラーリへ移籍すると言うスーパービッグニュース。これには本当に驚かされました。昨年まではメルセデスブランド、イコール、ハミルトンですからね。ただ驚いたのは確かですが、正直言うとハミルトンがフェラーリへ来る可能性は個人的には20 %くらいはあると思っていました。ただし、キャリアも終盤になったこの時期にフェラーリにやって来るというのは予想外でしたけどね。でも、これによってスクーデリアに大きく貢献してくれたサインツがバンプアウトされてしまうのは少し悲しいですね。
さて、なぜハミルトンがフェラーリへ来ると思っていたかと言うと、確か以前インタビューでハミルトンがスパ(ベルギー)で初めてF1を現地観戦していたことを話していたのですが、その時深紅のフェラーリを駆るミハエル・シューマッハがとても印象的だと語っていたからです。それを見た時、別に確証がある訳ではなかったのですが、ちょっとピンときたという訳です。そのデビューするはるか前の時期からフェラーリへの憧れはあったのかもしれませんが、所属したチームはそのライバルチームばかりだったので、フェラーリへの憧れを口にすることはできなかったと想像できます。チームのモチベーションが下がりますからね。いずれにしろ、今シーズンは始まったばかりですが、来シーズンがとても楽しみになりました。
あとレッドブルに色々問題がありましたが、ここでは触れないでおきましょう。早く解決してレースに集中できる環境になるといいですね。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
バーレーン・インターナショナル・サーキット(サクヒール)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:5.412 km
レース距離 :308.238 km(57 laps)
特徴:・長短4本のストレートで構成される中高速サーキット
・スタート後から気温と路面温度の変化が大きく変化するトワイライトレース
・風が強くて路面が汚れやすい。走るほど路面が改善される
・リアタイヤに厳しい
・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン4
タイヤのコンパウンド:C1〜C3(硬い〜中間)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)
2位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
3位 63 G・ラッセル(メルセデス)
4位 55 C・サインツ(フェラーリ)
5位 11 S・ペレス(レッドブル)
6位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
7位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
8位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
9位 44 L・ハミルトン(メルセデス)
10位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)
11位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)
12位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
13位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
14位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)
15位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)
16位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)
17位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)
18位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)
19位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)
20位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
Pole Position Time:1:29.179(218.47 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:1:29.165(218.51 km/h @Q2)
16 C・ルクレール(フェラーリ)
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)
2位 11 S・ペレス(レッドブル)
3位 55 C・サインツ(フェラーリ)
4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
5位 63 G・ラッセル(メルセデス)
6位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
7位 44 L・ハミルトン(メルセデス)
8位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
9位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
10位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
11位 24 ジォ・G(キックザウバー・フェラーリ)
12位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)
13位 3 D・リカルド(RB・レッドブル)
14位 22 角田裕毅(RB・レッドブル)
15位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
16位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)
17位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)
18位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
19位 77 V・ボッタス(キックザウバー・フェラーリ)
20位 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)
Winner's Time:1:31:44.742(201.6 km/h)
Fastest Lap Time:1:26.993(210.4 km/h @lap 39)
1 M・フェルスタッペン(レッドブル)
/*・・・Summary:プロローグ・・・*/
2024年の最初の優勝はフェルスタッペンでした。しかもポールポジション、ファステストラップ、全周回リーダー達成というグランドスラムでの優勝です。昨年の勢いそのままという感じですね。シーズン前テストから言われていますが、今回の結果を見ても、やはり今シーズンもフェルスタッペンを中心に回っていくことでしょう。そして他の19人のドライバーは、フェルスタッペンの「おこぼれ」を狙って争うことになるでしょう。ただし、彼らが優勝というおこぼれをもらうのは非常に難しいと思いますが。
しかし予選という点で見れば、ルクレールも健闘したと言えるでしょう。Q3こそフェルスタッペンに0.2秒以上差をつけられましたが、Q2では今週末最速となるタイムを叩き出しています。クオリファイング・アーティストの面目躍如ですね。ただ、その他のドライバーにももっと見せ場を作ってほしいところです。
とは言え、フリー走行まではフェルスタッペンにここまでの圧倒的な強さは感じませんでした。おそらくPUのパワーを落としていたのでしょう。また、タイムアタックでも複数回アタックできるだけの燃料を積んでいるので、フェルスタッペンの正確な位置は分かりようがありません(ただしこれに関してはフェラーリ陣営も同じです)。唯一ロングランでのデグラデーション(連続走行におけるラップタイムの落ち幅)の圧倒的な低さは隠しきれませんでしたが、1発の速さでもここまで強いというのは想像以上でした。現実を見せつけられたような気がします。
2位はペレスでした。相変わらず予選のタイムアタックが強くないので5番グリッドからのスタートとなりましたが、マシンのパフォーマンスを生かして2位まで盛り返してみせました。やはりレッドブルのマシンの完成度が高いということの証です。ただしフェラーリやメルセデスがトラブルに見舞われていなければ、ここまで簡単には2位を手にすることはできなかったかもしれません。
3位はサインツでした。さすがにレッドブルには勝てませんでしたが、ペースに関してはペレスに匹敵していたと言えます。これは非常に良かったと思います。また、昨シーズンまでの最大の懸念事項だったデグラデーションも小さくなり、明らかに改善されています。予選のアタックでもトップから0.3秒ほどとものすごく大きく遅れている訳ではないですし、今シーズンのフェラーリ・サインツの先の見通しは明るいと思います。ただし、どこでもいつでもパーフェクトなドライブができるフェルスタッペンが相手になるので、今シーズンも優勝することができるのかどうかは分からないですけどね。
もう1人のフェラーリ、ルクレールは4位でした。しかしレース序盤から中盤はブレーキトラブルが発生してその対処に四苦八苦し、オーバーテイクされるはオーバーシュートするはで、正直見ていられませんでした。ただ、ルクレールが万全だったらレッドブルにどこまで迫れたのかは分からないので、逆にそこは希望があります。反対にバーレーンはルクレールが得意とするコースだったので、彼がフェラーリの持てる限界の結果を見せてくれたかもしれないのにそれが見られなかったという意味において、現実を知れず残念でした。
5位はラッセル、7位はハミルトンでした。ラッセルは予選、レースとも活躍したと思いますが、ハミルトンの方はまだマシンに対して悩みがあるのか信頼できないのか、週末を通じてパッとしませんでした。ただし2人ともにPUのトラブルが出たので、それがなければ今シーズンもフェラーリにとって非常に厄介なライバルになるであろうことは想像できました。
6位はノリス、8位はピアストリでした。マクラーレンはマシン特性的にストップ・アンド・ゴーの性格を持つコースでは強くないと言われていた上に、実際シーズン前テストでも強さを感じなかったので、チームの序列としては意外と上位に来たように思います。ただ、オールラウンダーのレッドブルを相手にトップ争いするには力不足なのは明らかです。次回以降、違う性格のサーキットでどれだけの結果を見せられるかに注目です。
9位はアロンソ、10位はストロールでした。昨年の序盤戦での強さが鮮烈だったので少し物足りない結果でした。アロンソは追い抜かれまくってスターティンググリッドから大きく順位を落としました。明らかにペースがありませんでしたね。反対にストロールは入賞圏外からよく10位まで上がってきたと思います。やはり5番目以上のチームとそれ以下とでは、マシンの速さもチーム力も大きく違っているということです。今シーズンも彼らまでの5チームでポイントの大半を争うことになることでしょう。
/*・・・Next:サウジアラビア/ジッダ・・・*/
次回はサウジアラビアグランプリです。市街地コースでのナイトレースとなります。ただこの市街地が独特で、コーナー数こそグランプリサーキットの中で最多の27を数えますが、その大半をフラットアウト(アクセル全開)で走るため平均スピードがとてつもなく高くなります。コンクリートに囲まれた市街地の、ミュー(摩擦力)が小さい路面を平均250 km/hで駆け抜ける、危険と隣り合わせのトラックです。もちろん300 km/hをはるかに超えるスピードの区間もあります。
また、それらのほとんどストレートと言ってもいいコーナーについてですが、腐ってもコーナーなので、コンクリートウォールで視界が遮られてドライバーは後方の確認がほとんどできません。特にフリー走行や予選において、アタックラップ前後のスロー走行時には、アタックして迫ってくるマシンに道を譲ることが非常に難しくなります。そこでエンジニアが各ドライバーの「目」になって、ドライバーの補助することが重要になります。もしそれができなければ、確実に大事故が起こります。現在はトラッカー(出走ドライバーの走行位置表示システム)があって本当に良かったですね。というか、トラッカーができたからこそこういうトリッキーなコースでもレースができるようになったと言うべきかもしれません。
** 2023年シーズン結果 ******
Pole-sitter:11 S・ペレス(レッドブル)
Winner:11 S・ペレス(レッドブル)
Fastest lap:1 M・フェルスタッペン(レッドブル)
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さて昨シーズンは、ポールポジションからスタートした好調のペレスを、不運に見舞われて下位グリッドからスタートしたフェルスタッペンが本気で追いかけるというマッチレースが見られました。今回はどんなレースが見られるでしょうか。また、バーレーンから各チームの戦力関係に変化は見られるでしょうか。
事故なく、興奮に満ちたレースが見られることを期待しています。