2023年 第16戦 日本GP | Glass Labyrinth

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僕の視点からF1での Ferrari のレースと Formula1 Grand Prix について書いてみます。

今週は、ついに日本グランプリが開幕しました。いつも日本グランプリは10月に開催されるというイメージでしたが(決勝日が11月になったことはありますが)、今シーズンは初めて9月に開催されました。そのおかげもあってか、セッション中に一瞬雨が振ることもありましたが、概して晴れてくれたことは良かったですね。

 

そして秋に開催されるグランプリは今年が最後となり、来シーズンからは4月上旬の開催となります。日本の4月の初めはまだ肌寒く、風の強いですし、雨も意外と多いのでどんな展開になるかは読めません。ただドライバーもチーム関係者も、今回までの鈴鹿とはまったく違った印象を持つことになるでしょうね。

 

 

/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/

鈴鹿サーキット(鈴鹿)

(Formula 1®から抜粋)

 

コース長:5.807 km

レース距離:307.471 km(53 laps)

特徴:・中高速コーナーがメインのテクニカルな高速サーキット

   ・PUの出力が大きいほどラップタイムが向上する

   ・路面が荒く、タイヤに非常に厳しい

   ・自由に取れるラインが少なく、オーバーテイクが難しい

   ・主なオーバーテイクポイントはターン1とターン13とターン16

タイヤのコンパウンド:C1〜C3(硬い〜やや軟らかい)

 

 

/*・・・Qualifying:予選・・・*/

PP 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 11 S・ペレス(レッドブル)

6位 55 C・サインツ(フェラーリ)

7位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

8位 63 G・ラッセル(メルセデス)

9位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)

10位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

11位 40 L・ローソン(アルファタウリ・レッドブル)

12位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

13位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

14位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

15位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

16位 77 V・ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)

17位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

18位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

19位 24 ジォ・G(アルファロメオ・フェラーリ)

DNF 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

 

DNF:Do Not Finish/完走せず。

 

Pole Position Time:1:28.877(235.2 km/h)

Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ

 

 

/*・・・Race:決勝・・・*/

WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

2位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)

3位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)

4位 16 C・ルクレール(フェラーリ)

5位 44 L・ハミルトン(メルセデス)

6位 55 C・サインツ(フェラーリ)

7位 63 G・ラッセル(メルセデス)

8位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)

9位 31 E・オコン(アルピーヌ・ルノー)

10位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)

11位 40 L・ローソン(アルファタウリ・レッドブル)

12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル)

13位 24 ジォ・G(アルファロメオ・フェラーリ)

14位 27 N・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ)

15位 20 K・マグヌッセン(ハース・フェラーリ)

Ret 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)

Ret 2 L・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス)

Ret 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)

Ret 11 S・ペレス(レッドブル)

Ret 77 V・ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ)

 

Ret:Retire/リタイア。

 

Winner's Time:1:30:58.421(202.8 km/h)

Fastest Lap Time:1:34.183(222.0 km/h @lap 39)

1 M・フェルスタッペン(レッドブル)

 

 

/*・・・Scope:リターン・・・*/

優勝はフェルスタッペンでした。先週のシンガポールでの苦戦が嘘であったかのように、フェルスタッペンが今週末の鈴鹿を支配しました。そして、このフェルスタッペンの活躍でレッドブルが2年連続のコンストラクターズ・チャンピオンのタイトルを獲得しました。おめでとうございます。他のチームの誰もが羨むような素晴らしいマシンを造ったレッドブルは賞賛されるべきだと思います。でも全22戦中16戦目での戴冠ということであまりにも早く勝負がつきすぎなので、来シーズンは他のチームも追いついてきて、もっと接戦のレースが見られればいいなと思います。

 

ごくたまにではありますが、レッドブルのマシンはトップ5チーム(レッドブル、メルセデス、フェラーリ、アストンマーティン、マクラーレン)の中でもそこそこの出来であって、フェルスタッペンが圧倒的な仕事をしているだけだという指摘もありますが、これは個人的にはあまりフェアな見方だとは思えません。なぜならその論拠は、ここ最近のペレスの走りと他のチームのドライバーたちの走りと比べているからです。今シーズンの開幕から数戦を振り返ると分かるように、この時期はほぼずっとレッドブルとその2人のドライバーは圧倒的でした。ただ、(第3戦のオーストラリアでその兆候はありましたが)第6戦のモナコ以降ペレスは明らかに調子を落としているので、彼を比較対象とした議論はナンセンスだと考えます。やはりレッドブルは今シーズンで最も素晴らしいマシンなのであって、フェルスタッペンという並外れたドライバーがそのマシンからほぼすべてのパフォーマンスを引き出すことができている、と考えるのが自然でしょう。

 

さて、他のチームの実力も見てみましょう。この鈴鹿というコースはマシンの素の力が明らかになるサーキットだけに、決勝結果がほぼ現在のチームの実力順だと言えるかもしれません。つまり今はレッドブル、マクラーレン、フェラーリ、メルセデス、アストンマーティン、アルピーヌの順と言っていいでしょう。まあ、フェラーリとメルセデスの着順は交互になっていますが、これはこの2チームが接戦で、予選順位などでフェラーリの方がやや上だったから、という解釈ができます。ただ今回のハミルトンはスタート直後のインシデントで手負いになっていた可能性があり、本来の力を出し切れていたかどうか分からないということを加味することが必要かもしれませんけどね。ただ、この2チームはコンストラクターズ2位を巡ってバチバチとやり合っているので、これからも目が離せません。

 

正直言うと、今回はタイヤに厳しい鈴鹿ということでフェラーリはメルセデスにも勝てないんじゃないかなと思っていたので、ルクレールの4位獲得は驚きました。今週末のルクレールはずっと調子が良く、後半戦以降の彼個人の物足りない結果を払拭するドライブを見せてくれました。ただ、あくまでフェラーリは(結果的に)サインツ好みのマシンで行く方針なので、ルクレールは今後もこういう良いドライブを見せ続けてくれるのか興味深いですね。

 

サインツは、後半戦以降では珍しくルクレールに遅れる出だしでしたが、決勝までにはなんとか復活できました。レースペースは悪くなかったと思います。最終盤のメルセデスとの攻防もワクワクしましたしね。フェラーリの2人のドライバーは特別仲が良いと言われている訳ではありませんが、フェラーリに良い結果をもたらすことができるよう互いに努力して、場合によっては助け合っているところはもっと評価されるべきだと思います。

 

あと、最後に1つ。ぼくはここで、今シーズンのタイヤの中で最も硬い「C0」が初めて使用されるのかなと思っていましたが、結局使用されることはありませんでした。今シーズン残りのサーキットを見ても、もう「C0」を使用するトラックはなさそうなのでちょっと残念ですね。しかも、今回は気温、路面温度なども含めて明らかに「C0」向きのサーキットだったので、ちょっとなんかその存在が勿体ないなぁという感じです。もしかしたら、ピレリはリソースを抑えるためにシーズン初めから「C0」を使用する気も、タイヤ自体を製造する予定もなかったのかもしれませんけどね。もしそうならば「C0」の存在なんか初めからほのめかす必要はなかったのに、と思うのですが、なんかちょっと変な感じがしますね。

 

 

/*・・・Best Overtaking:ハミルトン・・・*/

VS アロンソ(@lap 21/ターン15)

今回はハミルトンのオーバーテイクを選びました。やはり130Rでのオーバーテイクはとても豪快で、かつ印象的ですね。この高速コーナーで仕掛けるのはとても恐ろしく、結構な勇気と確固たる自信、そしてもちろんテクニックが必要です。この時点ではハミルトンの方がアロンソよりも6周ほど新しいタイヤセットというアドバンテージがあったのもあり、アロンソに対して「チャンスがあればどこでも行くぞ」という気迫を感じましたが、本当に130Rでも行くんですね。

 

一方アロンソは、オコンとバトルしていて彼からのスリップストリームも効いていたので、バックストレートでハミルトンにあれほど迫られたのは少し意外でした。それでもぼくは、ハミルトンはシケインでは仕掛けてもまさか130Rで仕掛けるとは思っていなかったので、もしかしたらアロンソもぼくと同じように虚を衝かれたのかもしれません。ここ最近は安全路線で安牌中の安牌のもの以外はオーバーテイクは控えめなことが多くなったハミルトンですが、この時はすごくハングリーに見え、かつての「アグレッシブなハミルトン」の健在をアピールしましたね。

 


/*・・・Next Battle:カタール・・・*/

次回は、2021年以来の開催となるカタールグランプリです。舞台は砂漠の中に造られたロサイル・インターナショナル・サーキットです。今シーズン4回ある中東イベントの3回目になります。2004年にバーレーンで中東初のF1が開催されてから20年。個人的には、まさか中東でこんなにたくさんのグランプリが開催されることになるとは思っていませんでした。バーレーングランプリが初開催される前は、本当に砂漠でF1が走るのか、みたいな怪訝な雰囲気でしたからね。

 

さてこのトラックですが、コース図を一見するとストレートは1本しかなく、特に何の特徴もないトラックに見えますが、実はとんでもない高速コースなのです。というのも、2021年のデータでは、このトラックで100 km/h以下になるコーナーはターン6の1つだけで、他のほとんどが中高速コーナーだからです。しかも、ターン6を除く15のコーナーのほとんどが150 km/h以上という常軌を逸するトラックなのです。ただ、今回はナイトレースが行われるため路面温度こそ高くありませんが、それでもタイヤへの負荷は相当なものでしょう。ちなみに、このサーキットのぼくのお気に入りのセクションは、ターン12〜14のトリプルエイペックスの右の高速コーナーのシーケンスですね。ここは是非、現地で駆け抜ける姿を見てみたいセクションです。

 

チャンピオンシップに関しては、コンストラクターズタイトルは決まったものの、メルセデスとフェラーリの2位争いが熾烈です。ポイント差は僅かに20ポイントです。ここ最近はフェラーリの調子が良く、メルセデスを上回る結果を残しています。両チームとも今シーズンの開発は終了しているので、ドライバーとエンジニア陣の力量と、今あるものでの総力戦となります。また、今乗りに乗っているマクラーレンが、シーズン序盤を席巻したアストンマーティンを追い上げて4位争いを繰り広げているのも面白いですね。事実上、超ベテランのアロンソ対、若手の有力株であるノリスと脅威のルーキー・ピアストリのコンビとのバトルになります。こちらは49ポイント差。最近のマクラーレンがポディウム争いをしていること、アロンソが低迷、もう1人が混迷していることを考えると、マクラーレンの4位奪取もあながち、ですね。

 

またドライバーズタイトルも、フェルスタッペンがスプリントイベントで決める可能性があります。まぁ、これもいつ決まるかが問題でしたが、まさかスプリントで決まることになろうとは、本人も思っていなかったことでしょう。スプリント嫌いで有名なフェルスタッペンが、もし本当にスプリントでタイトルを決めてしまったらどういう気持ちになるんでしょうかね。でも、フェルスタッペンはどんなレースでも負ける気はないでしょうから、スプリントでわざと負けてグランプリで決める、なんてことはしないでしょうけど、ぼくなら是非そうしたいです。ポイントに色がついている訳ではなく、どんなポイントも1ポイントは1ポイントですが、グランプリの歴史と伝統、格式があってのF1ですからね。やはり、ぼくはスプリントのポイントは、コンストラクターズポイントのみに限定するのが良いのではないかなと感じます。

 

激しいバトルが見られるといいですね。