その日 男は訪問したヘルパーが自宅に入る前に声をかけた
「お金のことで何か言っても 適当に流しといて
さっき ちょっと(喧嘩を)やっちゃったもんでね」
どうしてわざわざ外にでてきてまで そんなことを言うのだろう
ヘルパーは疑問におもったが 仕事をこなすべく自宅に入った
普段通りに彼女に声をかけ トイレに行きたいと言う彼女を介助し ベッド脇のポータブルトイレに移乗させた
トイレに腰掛けて暫くして彼女の身体がグラッと大きく揺らめいた
異常を感じたヘルパーがすぐに彼女をベッドに寝かせた
脳出血だった
救急車で病院に運ばれたが 既に意識はなく 彼女は人工呼吸器に繋がれていた 今日明日がヤマ場といわれ 手術をしても助かる見込みは少ないという
病状は深刻だった…
病院側は 身内との連絡が必要だったが 親戚縁者は誰も受け付けなかった 最終的には男が身元引受人ということで 病院側も納得せざるを得なかった
男は彼女の手術を拒否し 延命措置も拒絶した
自然にまかせたいというのが言い分ではあったが 男の口が饒舌になっていた
男はすぐにレンタルのベッドの引き取りを要請してきた
葬儀は自宅でおこなう ベッドがあっては邪魔だ
ヤマ場といわれた二日を過ぎても 彼女は昏々と眠り続けた
三日目 男は 私のところに来てこういった
病院には 彼女が亡くなったら 自分が引き取りに行くといってある 葬儀社には頼まないよ
親戚連中はどうせこないし 自分でなんとかするつもりだ
どうやって連れて帰るおつもりですか?
別に今乗ってる車に乗せて帰ればいいじゃないか
病院には それがいけないって決まりはないって聞いたよ
さらに男は私を驚かせることを次々と話す
それに お棺を作ったんだよ 焼き場に電話して聞いたら別に既成品でなくてもいいってことだった ベニヤ板が一番良く燃えるって聞いてね それで 作ったよ それから骨壷は お寺にいって 今ある分が割れたからと 2千円で分けてもらった 死んでから先 いくらお金を掛けた所でいっしょだし お経は知り合いの坊さんに来てもらってあげてもらう予定だ
それで充分だろ
(ー’`ー;) ウーン 手作りのお棺ねぇ。。。
最愛の人の手作りだったら やっぱ嬉しいのかなぁ?
しかし ベニヤ板はないでしょ~~
あまりにも 彼女がかわいそうな気がする。。。
内容はともかく 最後まで責任をもってするという男
私の胸中は複雑だった・・・

