玄関を開けた瞬間、
おばちゃんは満面の笑顔で私をギュッとハグ。

「よく来たねぇ!」

その温もりに肩の力が抜けた――けれど、
次の瞬間ふわりと漂うアルコールの匂い…💦


「…こっちもお酒かぁ」 と胸がチクリ。

 

 

おばちゃんはギャンブル依存の夫と離婚し、
シングルマザーで娘3人を育て上げたパワフルウーマン💪✨


生活保護に頼らず、ガソリンスタンドで汗だくになりながら
家族を守り抜いた人。

 

そんな強さに憧れて来たはずなのに、
今夜のおばちゃんはウイスキー片手に“おしゃべりモードMAX”。

 

「あなたも大変だったわねぇ」

最初は優しく寄り添ってくれていたけど…

二杯、三杯と進むうちに
過去の武勇伝と持論が滝のように溢れ出す。

 


時計を見たら──午前3時。
私は相槌ロボットと化していました😅

 

おばちゃんは
ふたりの娘さんを亡くし、残る一人とも疎遠。


想像を絶する喪失と向き合ってきた人。

「私に比べたら、ぶらうすちゃんの悩みなんて…」

そう繰り返されるたび、胸がジクジク。

 


比べるものじゃないとわかっていても
心がじわじわ削られていく。

 

「もっと強くならなきゃダメよ」
「私はね、あんたよりずっと酷い目に遭ってきたんだから」

止まらない苦労話。


遮れない自分にも嫌気がさす。

逃げ場なし、居場所なし。


夜が深まるほど悲しみが膨らんで
ソファの端っこで小さくなる私――。

 

「ここに来たのは間違いだったのかな…」

そんな後悔を抱えたまま、
夜明け前の静けさに耳を塞ぎ、
ただ目を閉じることしかできませんでした。

 


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あの朝、ふたりで朝ごはんを食べてたとき。 突然、ケイトさんが着替え始めてひと言。

 

「1万円出せ」

 

先日勝手に下ろした5万円はもう消えてるし、実家からもらったお小遣いの5万円も使い果たしてる。

 

だから「もう出せない」って言うと、

 

「いいから出せ。じゃぁカード」 

「俺、来週から入院なんだろ?」

「出せよ!」

「てめぇ、殺すぞ!」

 

声色がどんどん凄みに変わってきて、怖くて震えが止まらない。 

 

それを悟られたら余計に荒れるから、必死にこらえて1万円を渡したら、すぐに出かけていきました。

 

 

その夜、ケイトさんが帰ってきたのは夜10時過ぎ。 

そしてウィスキーを煽りながら、いきなり別れ話を切り出してきました。

 

きっかけは銀行の口座がゼロになって、お金が下ろせなかったからみたい。

 

「出ていけ」って言ったかと思うと、「今夜はいていいよ」って言い出す。もうめちゃくちゃ。

最初は「酔ってるし、本気じゃないよね?」って思ってたけど、だんだんエスカレート。 ついには、

 

「今すぐ出て行け!お金は全部くれてやるから!」

「早く行けよ!」

「ぶっ殺すぞ!」

 

その言葉に、全身が震えて涙が止まらない。

泣きながらパジャマを脱いでたら、心の中で何かが崩れていくのを感じました。

 

もう嫌だ。 これ以上、どうしろって言うの?

 

怖くて体が動かないし、頭もパンクしそう。 

 

とりあえずホテルに泊まろう。

 

もう何も考えられない。

疲れた。ほんとに疲れた。

 

ケイトさんが家財道具や壁に当たるようになってからは、私はいつでも逃げられるようにバッグに必要最低限のものだけまとめていました。 

 

それをひとつ抱えて、夜の11時過ぎ、逃げるようにホテルに入りました。

 

ベッドに倒れ込んだ瞬間、今日初めてホッとした気持ちになりました。

でも同時に、「明日どうしよう……?」っていう不安が押し寄せてきて。

 

 

そんなとき、ふと頭に浮かんだのが、母の昔からの友人。

ギャンブル依存の夫と別れて、シングルマザーで娘3人を育て上げた人。

 

「そうだ。明日はそのおばちゃんの家に行ってみよう。きっと助けてくれる」

 

そう思ったら、心がちょっとだけ軽くなって。 

安心感に包まれながら、いつの間にか眠っていました。

「人事が、奥さんも来てくれって」
「明日14時にって言われたから、朝イチで帰るね〜」

 

そんなLINEが、まるでちょっと遊びに行ってきただけみたいな軽いノリで届きました。
何事もなかったかのように…。

ほんと、毎度のことながら呆れるしかない。

 

 

ケイトさんは、ここ最近ずっと、

  • 出勤しても数時間で帰宅
  • そもそも会社に行けない
  • 無断欠勤…

そんな日が続いていました。

 

だから正直、
「あぁ…ついにその日が来たか」

という気持ちでした。

 

 

そうよね。
やっぱり、こうなるよね…。

退職勧告かな。
正直、行きたくないなぁ…。

 

でも――
ケイトさん一人じゃ、バックレる可能性が高いし。
もう、会社にも随分迷惑かけてるし。
私が行かないって選択肢、ないよね…。

 

そんなふうに、心の中で「でも、でも…」と
シーソーみたいに気持ちが揺れ動きながら、
私は彼と、会社の最寄り駅で待ち合わせをしました。

 

 

あぁ、緊張でお腹痛い…
呼吸、浅くなってる…

 

そんな私の気持ちなんて知らないのか、
ケイトさんは終始ソワソワ。
なんだか妙に落ち着きがなくて、それにもイラッとしちゃう。

 

 

でもね。
人事課で待っていた彼の上司は、
私が思っていたよりも、ずっと温かくて、ずっと寛大な人でした。

 

「アルコール依存症は、回復できる病気です。
 しっかり治療に専念して、元気になったら戻ってきてください」

 

そう言って、休職を勧めてくれたのです。

 

その言葉を聞いた瞬間、
私の肩から、何か大きな荷物がすとんと落ちたような感覚がしました。

 

ああ……
やっと、治療に向き合える環境が整った。


これでケイトさんも、少しは落ち着いてくれるかもしれない――

心から、そう思いました。

 

 

そして始まった「休職期間」。
彼の様子も、最初のうちは落ち着いているように見えました。

 

でも……それは、ほんの束の間のことでした。

肌寒さが増してきた、11月のある日。
その夜、私は職場の飲み会から帰ってきたところでした。

 

ふぅ…やっと一息。
そう思ったその時――

 

ガチャッと玄関のドアが開き、
泥酔したケイトさんが、ふらふらと帰宅。

 

「5万、おろしてきたからね〜。俺の小遣い」
「ちまちま渡されてもつまんないからさ〜。5万おろした〜」

 

……絶句。

 

私に何の相談もなく、
ゆうちょの通帳を勝手に持ち出して、引き出してきた。

 

しかも、アルコール外来の予約をすっぽかして、
パチンコに行っていたみたいでした。

 

なんで……?
もう、何を信じたらいいのか分からない。

 

 

翌朝。
まだ外は真っ暗なうちに、
「上司と話してくる」とだけ言い残して、ケイトさんは家を出ていきました。

 

その瞬間、私の中で警報が鳴りました。

――昨日、通帳が返されてない。

 

慌ててキャッシュカードを探して、
残金を全額引き出し、別口座に移しました。

 

ようやく、少し安心した矢先。
LINEにメッセージが届きました。

 

「実家に行きます」

 

……え?

 

急いで駐輪場を見ると、自転車がありません。


駅まで乗って行ったんだと気づきました。

実家に行くのに駅に自転車で行ったの...?


駅に自転車を放置しておくわけにはいかない。

何日も置いてたら、駐輪代がえらいことになるし……。

 

翌日、仕事終わりに駅の駐輪場まで行って、
自転車を引き取りました。

 

 

その日の深夜。

スマホに何度も着信がありました。

 

……この時間は、きっと酔ってる。

そう思って、電話には出ませんでした。

 

すると今度はLINE。

「出ない。サヨナラ」


「わかりました。サヨナラ」――私。

 

 

そのやりとりから、2日後。
日中にメッセージが届きました。

 

「人事が奥さんも連れて来いってさ」

……もう、何も感じなかった。


返事をする気力も、湧きませんでした。

冷え切った空気が、
そのまま私の心にも、じわじわと染み込んでいくようで――

 

 

こういうやりとりを、私は何度繰り返してきたんだろう。
「慣れた」と思っていても、心は冷たくなるばかり。

 

突き放されては、また近づいてくる。
拒絶されたかと思えば、次の日には何もなかった態度。


そのたびに、私は少しずつすり減っていった気がします。

 


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夫の「蒼いケイト」と私は、どちらも再婚同士です。

 

ケイトさんは、最初の奥さまとは死別、
その後再婚した奥さまとは、彼女の借金問題が原因で離婚していました。

 

私はというと…
前夫からのDVが原因で調停離婚。
家族の力を借りながら、シングルマザーとして息子たちを育ててきました。

 

そんな私たちが出会ったのは、共通の知り合いを通じてのこと。
お互いの境遇を自然に理解し合える相手だったからこそ、最初からすぐに打ち解けて――
気づけば、すごく深いところで共鳴し合っていたように思います。

 

子どもたちもすでに自立していたので、2年後には「事実婚」という形を選び、一緒に暮らし始めました。

 

 

 

今になって振り返ると……
あの頃のケイトさんは、すでにアルコール依存症の状態だったんだと思います。
そして私は、深く共依存に陥っていました。

 

もしかしたら――
そんな「傷」や「弱さ」を持っていたからこそ、私たちは惹かれ合ってしまったのかもしれません。

 

 

その数年後。
ケイトさんが転職したあたりから、飲酒による問題行動が一気に悪化していきました。
まるで、ふたりで坂道を転がり落ちていくような感覚。

 

私は「これはもう普通の飲み方じゃない」と思い、何とかして専門病院を受診。
そして「アルコール依存症」と正式に診断されました。

 

 

でも――
私はそのとき、自分が「共依存症」であることを受け入れられませんでした。

 

「私が何とかしなきゃ」
「私が変えなきゃ」
「支えきれない私が悪いのかも」

 

そんな思いにとらわれて、ひたすら一人でもがいていたんです。

 

 

一方でケイトさんは、診断を受けても
「俺は違う」と否認を続け、飲酒も止まらず。

 

仕事へ行っても途中で帰ってきてしまったり、
職場のシフトに穴をあけることが増えていきました。

 

そして、それと同時に
私に対する暴言もどんどん激しくなっていって――
気づけば、家計はお酒とパチンコで常に火の車。

 

「私、こんなに頑張ってるのに……どうして何も変わらないの?」
「いつまでこの苦しさ、続くの……?」

 

振り返ってみても、あの頃は本当に、地獄のような日々でした。

 

こんなふうに、自分のことを誰かに話すのは勇気がいりますが、
同じような経験をしている方が、もしいたら……
「一人じゃない」と思ってもらえたら嬉しいです。

 


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もし興味があれば、ぜひ選択肢のひとつとして考えてみてくださいね。