あの朝、ふたりで朝ごはんを食べてたとき。 突然、ケイトさんが着替え始めてひと言。
「1万円出せ」
先日勝手に下ろした5万円はもう消えてるし、実家からもらったお小遣いの5万円も使い果たしてる。
だから「もう出せない」って言うと、
「いいから出せ。じゃぁカード」
「俺、来週から入院なんだろ?」
「出せよ!」
「てめぇ、殺すぞ!」
声色がどんどん凄みに変わってきて、怖くて震えが止まらない。
それを悟られたら余計に荒れるから、必死にこらえて1万円を渡したら、すぐに出かけていきました。
その夜、ケイトさんが帰ってきたのは夜10時過ぎ。
そしてウィスキーを煽りながら、いきなり別れ話を切り出してきました。
きっかけは銀行の口座がゼロになって、お金が下ろせなかったからみたい。
「出ていけ」って言ったかと思うと、「今夜はいていいよ」って言い出す。もうめちゃくちゃ。
最初は「酔ってるし、本気じゃないよね?」って思ってたけど、だんだんエスカレート。 ついには、
「今すぐ出て行け!お金は全部くれてやるから!」
「早く行けよ!」
「ぶっ殺すぞ!」
その言葉に、全身が震えて涙が止まらない。
泣きながらパジャマを脱いでたら、心の中で何かが崩れていくのを感じました。
もう嫌だ。 これ以上、どうしろって言うの?
怖くて体が動かないし、頭もパンクしそう。
とりあえずホテルに泊まろう。
もう何も考えられない。
疲れた。ほんとに疲れた。
ケイトさんが家財道具や壁に当たるようになってからは、私はいつでも逃げられるようにバッグに必要最低限のものだけまとめていました。
それをひとつ抱えて、夜の11時過ぎ、逃げるようにホテルに入りました。
ベッドに倒れ込んだ瞬間、今日初めてホッとした気持ちになりました。
でも同時に、「明日どうしよう……?」っていう不安が押し寄せてきて。
そんなとき、ふと頭に浮かんだのが、母の昔からの友人。
ギャンブル依存の夫と別れて、シングルマザーで娘3人を育て上げた人。
「そうだ。明日はそのおばちゃんの家に行ってみよう。きっと助けてくれる」
そう思ったら、心がちょっとだけ軽くなって。
安心感に包まれながら、いつの間にか眠っていました。